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B列車でも行けるはず

ちょっとリンクしているので承前。

 以前、こんなツイートをしたことがある。

 これはだいぶ語弊と主語の大きい(というより大きすぎる)何様ツイートなのだけれど、いまだに時々振り返る。

 わかりやすい情報、聞きやすい相手、そういうものを求めていると、専門家の情報には繋がりにくい。
 Twitterをしていると患者同士での質問ー解答の場面が多く目に付くけれど、医学的には疑問符がつきそうなお答えもよく見かける。交流は素敵なことだが、危なっかしいなと思うことも少なくない。とても高額なクリニックや、レリジョンと結びついた食事法の話も時々見る。
 そうした場合はお節介を承知の上で、かかりつけに電話することをすすめる。ダイレクトにいま情報が欲しい人には、学会のサイトや「がん情報サービス」など公的なものをすすめる。
 でもすすめているわたしも、立場は患者サイドなのだ。うーん、と唸る。

 折角いい情報発信があっても、そこに集うのは「ある程度元々興味があり」「情報の扱いには比較的長けていて」「読み解きに苦労しない」人が多いのではないか、これは本当に勿体ないことなのではないかと、いつも考える。考えたところで何が出来るわけでもないが、患者としても患者家族としても考えてしまう。お馴染みのアイコンがならぶ、それはとてもいいことだけれど、「お馴染みのアイコンが散見」になっていってほしい。
 勿論、そこに集った人たちがクチコミで広めることもあると思う。地道に、染み込むように広がっていくものだとも思う。

 でもそのタイムラグの中で、上手くコネクトできない人たちのことをどうしても考えてしまう。

 公的機関の情報発信は、昔にくらべたらだいぶ分かりやすい表現が増えたように思う。そうした情報発信には少しばかり覚えがあるので、体感的にでしかないがそう感じる。
 ただ、書籍やテレビや新聞から離れている世代、情報の扱いに慣れていない人たちが果たしてそれらを主体的に見ようとするのか、率直に疑問はある。情報ではなく娯楽を得ようとするのではないだろうか、と。
 
 地方・地域の情報発信には、見るべきものが多い。
 僅かばかり関わったことがあるから贔屓目で書くのではない。そもそもバックに公的機関やメセナ的な地元企業がつくケースもあるうえ、聴取率や視聴率の争いに所謂血眼ではないという事情がプラスに働いているのではないかと思っている。広報誌、地方紙、地方局、こうしたもので質のよい内容のものは幾つも目や耳にした。
 しかし如何せん衆目集まりがたい。キャパが小さい。もったいなくて、また唸る。

 メジャーなテレビやラジオにも、いいものはある。いいものとあまりよろしくないものが切り分けて語られないために、折角その分野の権威がエビデンスに基づく解説をしていても、「見ません」「聞きません」に阻まれているように見受けた2020年だった。色眼鏡やパターナリズムの弊害はあるように思う。
 ネットだけに依存するのは「ネットde真実」を想起してしまう。どの分野もそんなふうに情報を得ていていいのか、欲しいものだけ見て済ますやり方に慣れてしまうことの弊害を思う。エコーチェンバーは怖いものだ。

 同じ時間に「おもしろ動画」「インフルエンサーの配信」、もしくは「ゲーム」をしているならば、いいものも届かない。だが同等の面白さにしてしまうと、多分本質からズレていく。内容が粗くなる。  
 元々集っていた人たちが「派手になった内容」から離れていくだろうことも、容易に想像がつく。

 公的機関の情報がグッと敷居の低いものになり、なおかつある程度まとまりのある専門家集団がそれをやわらかく解説し、興味をひくような仕掛けがあること。
 どんなにいいポータルがあっても複数の情報を欲しくなるのは人の常、幾つかを安全に渡り歩けることは必要。しかもそれぞれが独立していないと、おそらくは陰謀論者がネタにする。

 どこかが天下を取るのではなく、「公的機関」と「学会」と「良質のメディア情報」「それよりも敷居の低い、安全な一般向け解説サイト」そして「より平易な、マンガやアニメなどを利用した啓発」をスムーズに行き来できるようになればいいのに、と思う。
 多分そうした中にあるのが、解説サイトは「SNS医療のカタチONLINE」であったり、マンガが「はたらく細胞」であったり、ああそうだ、ゲームでは「うんコレ」であったりするのだろう(これはまだ体験していないが)。
 いいものは既にある。あるのだ。ガイド役は一個人でいいのか。各所に負担が大きくはないか。お節介で余計なお世話だ、でももやもやする。何ができるわけでもないのに、勝手にもやもやし続けている。

 
 

 ◇ ◇ ◇

 
A列車と、B列車。
路線が違えば止まる駅は違うけれど、「その後どう進むか」によっては同じ目的地にたどり着ける。車、バス、タクシー、自転車、徒歩?
でもフリープランにできない、時間をかけていられない場合もある。

幾つもの中から合った方法を選べる、選ぶためのわかりやすい説明がある、間違えてしまっても戻れる、その経緯を罵倒や揶揄されない・・・・・・そういう環境も要るような。
 
 
 
 

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なつめ
なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」