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越えて、飛び越えていくもの
どんなに違う人どうしでも、同じものに何かを感じて、それぞれに惹かれることがある。
バックグラウンドも今いる場所も違うのに、ブラックホールに吸い寄せられるように、様々な人たちが集まる。
見回せば、反目したり、異なる考えをもった人が隣にいたりする。
でも、音楽のみならず芸術の素晴らしいところは、そこではないだろうか。
国境も思想も生き方も性別も年齢も言語も、みんな越えていける可能性を秘めたもの、それが芸術だから。
どれほど悪と指さされた人でも、どれほど他者に嫌われた人でも、同じ芸術を愛しているのならば、そこに心を見いだすことができる。
触れたら揺れる気持ちがあることも、響くものがあることもわかる。
だから、同じものを好きだということを理由に争うことは望まない。
どのような人であれ、人間だ。
芸術をよからぬ形で利用しようとする人も、過去にはたしかに存在しただろう。
でもそうと確実にわかっているわけではないケースならば、猜疑心に急かされて決めつけるのはかなしいこと。
わからないことにとらわれすぎた結果、憎しみの感情に縛られるのはやめることにしている。
キリがないから。
誰かの「すき」を尊重しながら、触れずに過ごすこともできる。
「すき」は自らの中で、そっとしっかり育てればいいのだから。いつか自分という枠を飛び越えていくとき、明るい言葉で広がるように。
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