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そうかな。

人の不幸は蜜の味、人の幸せを祝えるのは自らが幸せだからだ。
そう聞きはするけれど、果たしてそうかなあ、と思う。

色々ありすぎて周りも自分も限界にへとへとだと、他人の幸せが映画のように美しく見えることがある。
現実は自分の側にしっかりあって、他人の幸せとは隔絶されている。だから、ただただスクリーンの中のようにかけ離れた美しさを、ああ美しいな、と眺めるだけ。
美しいものを見ることで現実を一瞬忘れられるから、幸せが続いて欲しいと強く願ってしまう。
それはエゴに他ならないのだけれど、終わらないメリーゴーランドをずっと見ていたい。

他人様が幸せそうに見える、その裏側にも、それぞれの地獄があるのだろう。もしくは、これからそれを見てしまうのかもしれない。
そうだとしても、キラキラと輝いて見える時、輝きが続くようにと強く願う。
末永く幸せであってほしいと、祈ってしまう。

別に人の幸せだけでなく、まるで自然ドキュメンタリーのような美しい景色でもいい。
この世界がまだ捨てたものじゃない、まだまだ美しいのだと知らしめてくれるような何かが欲しい。

それって、おかしなことなのかしら。
 
 

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なつめ
なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」