大腸内視鏡検査に行った話。
備忘録として体験を書いておきます。
年に一度の人間ドックで初めて便検査が引っかかった。
いやもう歳だし、そうなっても全くおかしくはなかったわけだけど!
心電図以外の項目が「要精密検査」になるのは初めてで、それなりにショックであった……。
※ちなみに心電図はもう何年も前から引っかかっており、精密検査をしても異常がないので「そういう体質の人」認定されて「経過観察」となっています。
1.予約
便検査の精密検査って? ……腸の内視鏡……?
この時点ではあんまり想像がついておらず、ただ面倒そうだなというイメージだった。
正直、最初は無視しようかなと思った。きっとたまたまだろうし、来年また引っかかってからでもいいか、とも思った。
けど、ずっと気掛かりでいるのもまた嫌だし、来年もし手遅れになっていたとしたら絶対に後悔する。なので、思い切って検査を受けることに。
とりあえず、人間ドックを受けた近所の総合病院に予約を取りに行った。
しかし、ここで早くも後悔することになる。
ちょっと早計すぎた。もっと下調べをしてから行くべきであった。
麻酔も鎮痛剤も使わないとのこと。
「うちはそういう方針なので」的なことを看護師さんは言ってるけどさー。どうしても痛い場合は鎮静剤を使うから同意書にサインしろという。
え、そんな痛いものなの?
この時点でもあまりピンときていなかったが、説明を聞いているうちにテンションが下がってくる私……。
帰宅してからネットを検索しまくり、どうやら胃カメラより大変らしいと知って、やっと「これはやばい」と焦った。
なぜなら、昨年、この総合病院で受けた胃カメラがやばかったからである(笑。
その時も初めての胃カメラだったから、何もわかっておらず、麻酔も何もなしで受けて大変な目に遭った。もう二度と受けないと心に誓ったほどである(よって今年の人間ドックは胃の検査を省略した)。
数日悩んだ挙句、結局、胃腸科専門の個人病院の方へ行くことにし、総合病院はキャンセルしました。ごめん!
※ちなみに、後にやはりこれが正しい判断だったと思いましたよ。
あの胃腸科病院(仮にN病院とする)なら、うちの親もよくお世話になっているし、親自身も「そうしなさい。その方が良い」とか口を揃えて言う(笑。
これは信頼できる! 知らんけど!
改めて、N病院に予約をしに行った日は採血と説明。
この病院、めちゃくちゃ実績のある病院なのだが、古い上に明らかにスペースが足りておらず、いつもカオスになっている。
しかし、この雑多ぶりが素敵なところで、もし改修してスタイリッシュでクールな病院になったりしたら「こんなの、N病院らしくないよ」とか思ってしまいそうなタイプの病院である。
看護師さんが熱心に説明してくれる中、私のすぐ後ろのストレッチャーで、ご老人がぐったりしててめっちゃ気になるんですけど!
あと一点、心配なことが。
N病院は自宅で腸を空っぽにするタイプの病院でした。
当日、朝から自宅で2リットルの洗腸剤を飲み、自分で便の状態をチェックしてから病院へ出向くタイプです。病院で洗腸剤を飲むパターンのところもある。最初に予約した総合病院がそれでした。
初めてなので自宅で飲むのは心配だと訴えたのだが「まあ、若いから大丈夫でしょ。何かあったらすぐ来れば良いから!」とか宥められて終わった(笑。
2.検査前
数日前から消化の良い食事をするよう言われたのを真面目に守り、3日前から粗食。これはさほど苦にはならなかった。
昨年の夏に更年期障害が勃発して以来、基本的に消化の良いものぐらいしか食べられないまま現在に至るからである。※更年期障害自体はもうだいぶ良くなっています。
重いものも消化に悪そうなものも「食べたいのに食べられない」のではなく「全く食べたくならない」ので、気楽で簡単な食生活です(お昼は少しなら油っこいものも食べられるし美味しいです)。
それでも、いつもよりは食べ物が制限されるから、飲食店などの前を通ると、つい「いいなー」と思ってしまう。
検査終わったら好きなもの食べよう、とささやかに自分を慰めるのであった。
そして前日は検査食。
これが意外ときつかった。検査食しか食べられないのに仕事をするのは、さすがにカロリーが足りないんです!
特に午前中は本気で倒れそうな気がして、職場のウォーターサーバーで砂糖水作って飲んだ(笑。
その日の晩は夜9時に300ccの水で下剤を服用。
寝る前にこんなもの飲んだら、夜中に何度もトイレに行くのでは? とみんな考えると思いますが、少なくとも私は朝まで何事もありませんでした。
3.当日
・洗腸剤
当日朝は7時頃起床し、下剤のおかげか普通に排泄。
そして7時20分頃より洗腸剤(ニフレック)を飲み始めました。
もらった説明書には「コップ1杯を10分かけて飲み、次の10分で軽く体を動かす」これを繰り返すとある。
10分間、敢えて体を動かすのは長いなと思い、タイマーをかけてひたすらお掃除をした。キッチンの普段行き届いてない部分とか、洗面所とか、トイレとか。
洗腸剤は想像してたほど不味くはなく、ポカリの甘みを抑えて塩気を強くし、遠くでレモンの味がする感じです(伝われ)。
最初のうちは時間を守ってゆっくり飲んだためか、1リットルぐらいまでは結構普通に飲めた。
「多くの場合、1リットルを飲んだ頃に最初の排便があります」と書かれていたけど、これはかなり個人差があると思う。
なぜなら私は、1リットル飲むまでにすでに5〜6回トイレに行ったから!
なんならコップ2杯目を飲んでる最中にもう便意を催しましたし!
3杯目、4杯目と飲んでいるうちに、少し飲んだらすぐトイレに行くように……。
ちなみに三度目の排便から水様便になりました!
1リットルを越える頃にはお掃除をする余裕が無くなりました!
でもコンロと洗面所が綺麗になって良かったわ〜。
結局、何回トイレに行ったか覚えてないけど、1.5リットルぐらいまで飲んで、嫌になってやめた(笑。
その頃には検査ができそうな状態になっていたので、もうこれで病院に行くことに。
病院までは徒歩30分程度。普段は自転車だけど、今日は麻酔を入れるので自分で運転する乗り物は禁止。
この際、初めてタクシーアプリを使いました!
半信半疑だったけど、ほんまに来た! 10分もしないうちにタクシー到着。
クレカを登録しておけば、支払いも一瞬で、めちゃくちゃ便利!
これからも必要なとき使わせてもらうわ。
・待合
病院に着いたのは10時半頃。
受付を済ませて着替えて待機。その間、再度トイレに行って、すっかり落ち着きました(笑。
そもそも更衣室がないので、X線検査室で着替えたし! いや、危なくない? 大丈夫?
廊下の奥に置かれた狭い長椅子で、見知らぬおばちゃん二人と一緒に座って待つ(いや私も充分おばちゃんだけど、もっとご年配のお姉さまたちだったもので)。
もちろんおばちゃんたち、旧知の仲のように喋りだす。
お二人は今日は胃カメラらしい。うち、お一人は大腸カメラのご経験もあるとのこと。「寝てる間に終わるから大丈夫やよ」と言われ、最強に安心する私。
その間にも、狭い廊下をお医者や看護師やストレッチャーや事務の人が慌ただしく行き交う。
おばちゃんのお一人が先に呼ばれた後、私も呼ばれて、残ったおばちゃんに「気ぃつけて」と見送られる。ありがとう、おばちゃん。おかげで落ち着いて検査を受けられました。
・検査
検査自体は麻酔と鎮痛剤を入れるので平気でした。
「はい、ぼーっとしてきますよー」と言われたけど、結構、意識ははっきりしていたような。
カメラがどんどん入っていく感覚があって、途中で体位変換されて、またどんどん入ってちょっと痛くなってきて「あー、これ痛いな。大丈夫かな」と思ったあたりで終了。
「はい、ポリープ無かったですからね」と言われ、ぼーっとしながらも嬉しくて「ありがとうございます」と返事する私。
「わ〜、ほんとにアトラクションみた〜い」とかいう看護師さんの声が聞こえる(幻聴ではない)。
そのまま別室へ運ばれて点滴。
運ばれるとき、あの見送ってくれたおばちゃんがまだ待機していて、すれ違いざま、スローモーションのように会釈し合った。
ドラマチックだった。我々は戦友。知らん人だけど!
そして別室で、死屍累々と点滴受けて寝てる人たち。
ドア開けっぱなしだから廊下から丸見えやけど、逆に楽しいわ!
廊下で不安そうに待機してる人たちめっちゃ見えるわ!
すぐ傍でお医者さんやら看護師さんやらも忙しそうに動き回ってて、ぼんやり観察するのも楽しかったです。
予約した日に説明を受けた部屋、ここだったのね!
そのまま30分ぐらい点滴を受けたのかな。
「はい、もう帰っていいですよ〜。今日は消化の良い食事ね」って言われて、起き上がったらフラフラしてました。もっと寝ていたかった(笑。
詳しい検査結果はまた後日、ということで、再びX線検査室で着替え。
腸に空気がめちゃ入ってて、かがむと痛い。正直、検査よりこっちのがつらい気がするよ。
フラフラしながら会計まで行ったけど、その前にまた一度トイレに行って、だいぶ楽になりました。
たぶんこの日は人生で一番トイレに行った日だと思う。
・帰り
病院を出たのは12時半頃でした。
暑いけど、ゆっくり歩いて帰ろうかなと逡巡していたら、あの、先に呼ばれたおばちゃんとばったり!
「駅までタクシーで行くから、一緒に乗ってって」と言われ、ありがたく乗せていただくことに。駅は帰り道の半分ぐらいのところ。ありがとう、おばちゃんー!
降りる時、お代を払おうとしたら「いい、いい! 一人でも同じやから!」って払ってくれて、最後の最後までお言葉に甘えてしまいました。
そして駅から自宅まで徒歩で帰る途中、スーパーでまたトイレに行きました(笑。
これから受ける方は、自宅と病院間のルート中に自由に入れるトイレを把握しておくと安心ですよ!
そんなわけで、一日中、お医者さんに看護師さん、そしておばちゃんたち、本当にお世話になりました。
慣れない状況でも不安にならなかったのは、N病院の厳粛とは程遠い雰囲気と、優しいおばちゃんたちのおかげです! おばちゃんは世界を救う。
ずっと懸案だったけど、検査受けて良かったな。
4.検査結果
数日後、詳しいお話を聞きに病院へ。
なんの問題もなかったのでめっちゃ簡単に終わった。画像見ながら説明されたけど、我ながら綺麗な腸壁でした。
検診で引っかかって内視鏡検査を受ける人の3人に2人は異常がないとのこと。
次は3年後ぐらいに受けたらどうかな、って言われたけど……うん。先のことはまだ考えられないな!
でもこんな機会でもないと一生受けなかったかもしれないし、経験できて良かった。
5.終わりに
しかし、この検査、個人差があるだろうけど麻酔なしだときついんじゃないかと思う。麻酔と鎮痛剤を使用していても、消耗が激しかったらしく、帰宅してから一日ぐったりだった。
また、検査前日の検査食や下剤の量、当日の洗腸剤の飲み方など、細かい部分は病院によってだいぶ違うので、リサーチも大事だと思います。
洗腸剤を自宅で飲むのは心配だったけれど、終わってみれば、自宅の方が楽な気がする。自分のペースで飲めるし、気兼ねなくトイレに行けるし、自分の判断で終われるので(といっても多分、便の状態がダメだったら病院で追加で飲まされただろう)。
病院で洗腸剤が余ったことを申告しましたが、便の状態をチェックされて「このくらいなら、まあ大丈夫か」って言われて、無事に検査を受けられました。
検査結果の画像も概ね空っぽの腸だった。
今回、初めてだったので、事前にネットを検索してたくさんの体験談を読みました。
人それぞれ体感は全然違っていて、病院によって段取りにも違いがあり、色んな状況の想定ができて心の準備ができました。
また、体験談のひとつに「苦労よりも得られるものの方が多い」と書かれていました。この言葉にはとても勇気づけられたし、本当にその通りだと思います。
私の拙い体験談も、誰かのささやかな一助にでもなれば幸いです。
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