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「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」映画から受け取る幸せ

116.ザ・ピーナッツバター・ファルコン(2019)

家族に見捨てられ、養護施設で過ごすダウン症の青年ザック
憧れのプロレスラーになるため、施設を脱走する
兄を失い、投げやりな日々を送っている漁師タイラーと出会い、2人はアメリカ南部を巡る人生一度きりの特別な旅に出る


主人公ザックは、実際にダウン症の青年(ザック・ゴッツァーゲン)が演じています

以前ご紹介した「コーダ あいのうた」では主人公の女子高生の父、母、兄には実際に耳の聞こえない俳優陣が起用されていました

ハリウッドでは、障害をもつ俳優たちがその障害の役を演じることは多いように感じます

そのあたり、さすがアメリカ

ザックは生き生きとしていて、朴訥ながら色々なことを話してくれるし、夢を持っていて周囲に好かれやすいタイプ(なんでこんないい子を家族は見捨てたのか)

一方、漁師のタイラー(シャイア・ラブーフ、ちなみに「コンスタンティン」でキアヌ・リーブスの相棒役として出演していたあの子)はかなりひどい

蟹漁の権利を持っていた兄を失い、漁ができなくなったあとは蟹を盗み、道具を傷つけ、それを問い詰められクビになったあと腹いせに放火する

さらに兄を失ったのも、自分の飲酒運転が原因?みたいなシーンもあり

権利を買い戻したかったが金がなかったと言っていますが、そんなこと悪行の理由にはなりません

罰せられて然るべき男なんですが、ザックと出会い、最初はそんなつもりはなかったのに打ち解け、面倒を見、プロレスラー養成学校に連れていくことを約束します

こういうところはいい奴なんですが

見る角度を変えると人間ってわからないですね

前々回ご紹介した「君が生きた証」でも、父親が船で音楽をガンガン流しながらヨット大会の真ん中を突っ切り、中指を立てながら大会を妨害するシーンがありましたが、なんでそんなことするんですかね(ポカーン)

他のレビューなどを読むと、このシーンは人気でした(ロックだとかカッコいいとか)

私は最初から、湖の管理をしている人を真面目すぎる風に描いてバカにしているところや、反発している主人公が嫌でしたが

主人公が悪さをするシーンをカッコよく描くことは洋画に多い気がします

こっちとしてはたいして笑えない

文化や感覚の違いかもしれません

さて、話を「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」に戻します

施設からザックを探しに来る看護師は、美人で性格良し

上司に、州に報告したくないからザックを連れ戻せと言われて、今すぐ報告すべきだと反論しますが結局上司の言う通りザックを探すことに

何故か、どんどんザックに近づいていく(アメリカって広いのに)

タイラーが1人で買い出しに来ている店でバッタリ会い、口説いてくるようなタイラーの態度に嫌悪感を出していました

結局看護師はザックを見つけ、でも施設に戻りたくないザックを強引に連れ戻すことはせず、タイラーも含め3人で食事をしたり、海に飛び込む遊びをしたり、生活を共にします(上司の命令はどうなった?施設の車はどうなった?有給休暇とりまくりですか!?)

さらに、何故かタイラーと恋愛関係に

ツッコミどころが多めなので、現実味を求める人には向かない映画かもしれませんが、カッコいいシーンやいい言葉が出てきます

ザックがとうとうレスラー養成学校にたどり着いた時、もう学校は閉鎖されていましたが、憧れの往年のプロレスラーがいました

学校がないのでプロレスを教わりようがなく、帰っていく3人の前に、往年のプロレスラーが車でザザーーーっと砂埃をあげながら停車するシーンはめちゃくちゃ良い!

そしてザックのこのセリフも◎

「友達は自分で選べる家族」

いろんなものが心の中で溶けていってくれる、魔法の言葉のよう

救われますね

タイラー役のシャイア・ラブーフが撮影中、泥酔して迷惑行為で逮捕され、公開が危ぶまれる事態もあったそうですが、その時のザック(本作が俳優デビュー作となるザック・ゴッサーゲン)のセリフもいいです

「君はもう有名だけど、これ(映画)が僕のチャンスなんだ。それを台無しにした」

まっすぐに伝えたんだろうなぁ

それを聞いたラブーフは更生することを誓い、アルコール中毒の治療に真剣に取り組むことにしたのだそうです(問題行動多すぎなので、ウィキはほとんどそういうことで埋め尽くされている。ラブーフ、ちゃんと生きてや~)

最後になっちゃいましたが、冒頭のシーンのハリウッドの汚しテクというか、ケンカでボロボロになる時のハンパない感じが納得です

タイラーが蟹漁の権利云々で問題のある態度をとって、制裁として殴られ蹴られ、倒れたところに唾をはきかけられ足でザッと砂を浴びせて全身汚くなる

こういうのは、邦画だとここまでしないというか(絶対してほしいわけでもないですが)

キレイに殴られ蹴られ倒れるイケメンの顔や身体にちょっと土がついているだけ、とか多い気がします

ハリウッドの汚しテクは「これ結局映画だな」というシラケた感情を抑えてくれています

というわけで、よかったらみなさんも観てみてください

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映画から受け取る幸せ34 終了
ザ・ピーナッツバター・ファルコン(2024年8月28日視聴)

「映画は自分に元気を与えてくれる、テンション上げてくれる必要なもの!」という強い意識で観るようになりました

幸せになる方法として役立ってくれている映画たちの紹介の続きです

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