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M1.CYAN
モノづくりの苦悩と喜び。
康司さんパートで「楽しい」だけじゃない本音が見えて、それを健司さんの歌と歌詞が包みこんでいく。両方が見えるから説得力がある。
AIR-G' FM北海道「イマリアル」というラジオ番組の放送700回記念イベントに参加したとき、パーソナリティのもっちょり(森本優)さんが番組が始まった当初の話をしてくれた。
ほぼ新人だったもっちょりさんが1人でパーソナリティを務める、平日5日間ゴールデン帯ぶち抜きの新番組がスタート。強い批判もあったようで、なんでそこまで?というくらいの酷い言葉をぶつけられたことも多々あったそう。生放送中に原因不明の咳が止まらなくなり放送が終わると治る、という生活。
それでも続けて1年2年経ったら、ラジオに出てくれた学生やアーティスト、企業など、番組ともっちょりさんの味方が少しずつ増えていった。
そして今は8年目、放送回数は700回を超えた。
私は一昨年あたりから番組を聴き始めたから、始まった当初のことを全く知らなかった。想像を遥かに超える、聴いていて息が苦しくなるような話だった。それでもラジオを続けていてくれた。ラジオが大好きだといつも言っていた。
だから私は出会えた。大事なときの心の支えでいてくれた。イマリアルがあったから、フレデリックをより好きになった。
この話を聴いてから、CYANを聴くともっちょりさんのことを想うようになった。インタビューのとき、CYANで一番響いた歌詞は「誰のため」だ、ともっちょりさんが言っていた。
続けることの厳しさとその先に見える景色の両方を知る人の言葉を、表現を、音楽を、私が真剣に向き合わずして何になる。ただの消費にするつもりないから。そんな気持ちで聴いてる。
M2.煌舟
今回はリリース前に一切情報を入れず、CDを一番最初に聴いた。
フレデリックの曲はあるとき「私の曲」になる瞬間がある。曲によってタイミングやきっかけは違えど、楽曲の解釈に自分なりの答えが出たり、ふとしたときにたまたま聴いていたフレーズに救われたりする。
煌舟は、初めて聴いた瞬間から私の曲だった。こんなことは今までなかった。
「私しかできないを 私しかできない」
「『私しかできない』があなたに刺されば」
今書いているこの文章も、音楽やライブを通して感情を抱くのも、それを発信するのも、私しかできない。それにどんな価値があるかは分からないけど、私は私の信念を持って音楽と向き合っているし、自分の感性を信じている。そう思えるまでに長い時間がかかったけど、そう思えるようになったのは間違いなくフレデリックのおかげだった。
所詮は自己満足。でも誰かの目に留まってほしい。
反応が欲しいわけじゃない。でももし本人が見てくれたんだとして、私の言葉で1mmでもプラスの感情が生まれてくれるのなら。あなたの作品に救われた人間がここにいるんだということを少しでも伝えられるのなら。
曲やライブの感想を書くなんて誰にでもできる。
誰にでもできることを、自分にしかない言葉で表現で伝えたかった。
映画「数分間のエールを」の感想として書いたこの文章。烏滸がましいことを言うと、ファンレターに返事をもらったような気持ちだ。
これまでの自分を肯定してくれるこの曲に、自信を持って出会えたことが嬉しい。聴いていて自然と涙が溢れた。
CYANがモノを作る側の曲だとしたら、煌舟はそれを受け取る側の曲のように思う。「安泰」「飛び出せ(飛び出して)」といったCYANと共通するワードもあるのもそう感じさせる。
「重荷にならぬ愛をあなたへ」
私にとって「あなた」はフレデリックであり、応援している、愛するものすべてだ。
M3.Happiness
初聴きは今年のライジング。1曲目から未発表の新曲、突き刺さってくる音楽と真っ赤なライティング、「僕が描いた幸福論は 君があっての前提なんだ」という歌詞で鳥肌が立った瞬間が忘れられない。
この曲は来年のアリーナ公演の主軸になるのかな、と思う。神戸ワールドのTOGENKYO、武道館の名悪役それぞれに通じる雰囲気を感じるし、それだけフレデリックの信念が変わらないことも意味しているように思う。
フレデリックの歌詞は毒と希望のバランスが黄金比。1曲をまるまる毒づくだけ、ポジティブな言葉だけには絶対ならないから気持ちがどんな状態でも聴きやすくて、聴き続けられる。
M4.sayonara bathroom
浴室には何も持ち込まない派なので、お風呂に入っているといろいろと考え事をしがち。その日にあった、言われた嫌なことを思い出してしまうのもお風呂。
「なんか言ったか えらく簡単そうに言うよな」
「正しさなんてさ 誰が決めたんだろうな」
消えない自己嫌悪とモヤモヤの隣で、背中を押すでも元気づけてくれるでもなく、傍にいてくれるだけの歌詞に救われる日がきっとこの先訪れる。
嫌な思いはなるべくしたくないけど、そんな日があっても大丈夫かも、と思えるお守りのような曲。
M5.ひとときのラズベリー
イントロのベースがあまりにも気持ちいいし、「あなたとわたしの夢の中」「あなたとわたしの胸の中」のメロディラインが「美味しい」。
元合唱部的に、音の動きは複雑だけどハーモニー全体に深みが出るようなハモリを「美味しい」と言う。
その美味しい音がそのままメロディになった感じ。この美メロを生み出してメロディラインに持ってくる決断をした康司さん最強。歌いたくなる。
函館元町、神戸の北野異人館街みたいなレトロな洋館が連なるような街並みが似合う曲。
秒数を見て本当にひとときすぎてびっくりした。たぶんフレデリックで一番短い曲かも。名残惜しさもまた魅力。
M6.ハグレツバメ
この曲を聴いて最初に思い浮かんだ景色は2021年の武道館公演。
その日の東京は天気も良くて北海道から比べれば春みたいな陽気だった。まだ2月だったけど、私にとってこの年の春はこの日から始まった。自分のやりたいようにやる、そう決心した日。
来年の武道館もそんな春を迎えられる日になればいいなと思うし、その場所に私がいられるように今頑張らなきゃいけない。この曲はきっと、長い冬を乗り越えるための灯火になってくれる。
M7.PEEK A BOO
去年のファンクラブツアーとWELL 噛 ONEツアーで先行して披露されていた曲。普段は音源を先に聴いてライブのアレンジに気づく、という流れが多いけど、この曲はライブ→音源の順でいつもと逆なのも新鮮だった。
音源の第一印象は、遊園地。特に間奏の音色とカオス感がそう思わせた。「恨めしや」はお化け屋敷のエリア。
私にとって遊園地といえば、JOIN ALIVEの会場にもなっている北海道グリーンランド。子どもの頃何度も連れていってもらった、最強の遊び場だった。今の自分にとっては夏フェスとして形を変えて、大人になってもなお大事な遊び場であり続けている。
遊具から流れる音楽とレトロでちょっと寂れたあの雰囲気。夕暮れ時の観覧車に向かう坂道。
この曲を聴いている間は10歳の自分がいる。10歳の自分が今の自分と一緒に手を繋いではしゃいでいる。
ノスタルジーと今この時間の両方を反復横跳びしてるみたいな、いろんな感情引っ括めて踊れる1曲。
M8.ペパーミントガム
このアルバムの中では一番最初にリリースされた曲。噛めば噛むほど味がする、という言葉の通り、リリースから時間をかけて自分の中に染み付いていった曲。
初めは、言わなくていいことを言わない美学だと思った。
ペパーミントガムがリリースされた頃、SNSが嫌になって少し離れていた。
誰かの自慢、愚痴、良い話から胸糞話まで、なんでもかんでも事細かに語られ、別の誰かに消費されていく他人の生活を見せられ続けることに耐えられなくなった。
「任すな 任すな 取り舵を 誰にも彼にもわかりゃしないよ」
「がたがた 抜かすな 取り巻きよ よくある話で終わらすなよ」
私は当時の人間関係に当てはめた。
良いことも悪いことも、誰かに横槍を入れられるくらいなら言わないほうがいい。私が良いと思ってこの人と関わっているんだから、間違ってない。そう思って聴いていた。
WELL 噛 ONEツアーで繰り返し生で演奏を観て、だんだん聴こえ方が変わっていった。
本当はずっと嫌な思いをしていた。自分の心を無視して、間違ってないと言い聞かせていただけだったことに気づいた。
その人の全部が嫌いなわけじゃないし何もかもを拒絶したくはない、でも絶対に受け入れたくない部分がある。
楽しかった思い出もある。けど、その記憶にもう味はない。これ以上自分の心を削られたくない。そう思うようになった。
それから少しずつぼかしながら距離を取るようになった。まだ根本の解決はしていないけど、いつか直接伝えないといけないと思っている。
人を拒むってこんなに難しかったんだ。
今の私にとってこの曲は、拒絶する勇気。
次にこの曲の味が変わるとき、今よりも心が晴れていたらいいなと思う。
今いる世界と地続きの好奇心の街は、建物も道も常に変化している。同じ景色はひとつもない。
この街での生活を長く永く愛していきます。