山家の郷の御柱(おんばしら)その1
7年に一度、寅年と申年に諏訪大社で行われる有名な「御柱祭」のことは、信州人なら誰でも知っていますが、ここではご存じない方もいらっしゃると思うのでご紹介します。
正式には「式年造営御柱大祭」と呼ばれ、全国に1万以上ある諏訪神社の総本社である諏訪大社の最大の神事です。上社と下社の2つの社殿の周りに4本づつ計8本。氏子たちが、樹齢200年ほどの樅の巨木を曳き建てる行事です。
私は30数年前、諏訪市に住む知人に誘われて間近で観たことがありますが、その凄まじい熱気と荒々しさに熱狂し、そして驚愕しました。現在と違って当時は規制線のようなものもなく、私のすぐ目の前を何トンもの御柱が傾斜30度の坂道をドドーーッ!!!!と滑り落ちて、怪我人続出、死者も何人か出たのです。
2016年の先回も、その前回も死者が出ていて、16年には東京の弁護士が、諏訪社の宮司を業務上過失致死容疑で告発したという、ウソのようなホントの話もあるくらいです。
と、あれこれ長くなるので、諏訪の御柱に関心のある方は以下をどうぞ。
そして、2か月ほどかけて行われる、諏訪大社の御柱祭の翌年の卯年と酉年に、近隣の諏訪社とゆかりのある神社で「小宮祭」と呼ばれる″小規模″な御柱祭が執り行われます。
で、ウチの町内の須々木水神社で、5月5日に「里曳き」と「建て御柱」が行われました。3日4日には御船祭りがあったわけですが、これは毎年行われるこの神社の例祭で、7年に1度の御柱とは関係ありません。もちろん参加する氏子たちは同じ人たちで、つまり今年は3連ちゃんの春祭りイヤーだったのです。
1か月ほど前に「山出し」という行事があって、近くの山から木を伐り出して近くの空き地にしばらく安置します。伐り出したときは4トンほどの重量があったそうですが、皮を剥ぎ乾燥させると3.5トンくらいになり、長さは5丈5尺(およそ17m)の杉の樹です。
朝8時から、簡単な神事と木遣りの奉納があり、氏子たちがいっせいに綱をとって曳き始めます。かつては男性のみ、最近は女性も曳きます。ご他聞にもれず、圧倒的に曳き子が少ないため、2分3分曳いてはひと休み。町内ごとにカートが用意されていて、酒やジュースがふるまわれます。
神社の参道に入るところが最大の難所で、棒を持った「てこ衆」という男たちのてこさばきに合わせて無事90度の転回に成功しました。
参道を一直線に須々木水神社に向かいます。御柱の先頭で采配を振る青年が、何といっても一番の花形ですが、どうやって選ぶのか聞いてみたら、30代で、卯年か酉年の氏子なんだそうです。ところが今回は該当する人がおらず、この青年は子年だそうです。(続く)