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山家(やまべ)の郷の御船祭り
ここ30年来の私の住処は、松本の美ヶ原高原の麓、里山辺というところです。といっても日本にいた時間の方がはるかに短く、ここは元々、友人と2人で家財道具置き場として借りたところで、たまに帰国するとここで生活することになります。
で、我が家のすぐ近くに須々岐水神社というのがあって、5月3日4日が例祭でした。この神社は、傍らを流れる薄川流域に古代人が定着して農耕が始まったころに創建されたのではないかといわれています。
この例祭は、「御船祭」と呼ばれていて、里山辺地区の9つの町内から9基の船型の山車が引き出されて神社に奉納されるというものです。海のない長野県の、高原の麓で、なぜ船なんでしょう?
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古代史に関心がある方はすぐにおわかりでしょうが、この辺りを開いたのは海を越えてやって来た渡来人だということです。私となつめのお散歩コースも、高句麗からの渡来人の墳墓、積石塚古墳がある公園です。
長野県は積石塚古墳がとても多いところです。諸説あって、渡来人が日本海側からやって来たのか、太平洋側から上陸し、伊那谷を通ってやってきたのか(その両方?)、古代史ファンにはワクワクする話に満ち満ちています。
御船祭りは以前にも一度観たことがあるのですが、今回はコロナ騒動で3年ぶりということで、ご近所のみなさんも常にも増してソワソワしているようでした。家を出た子どもたちや親戚などが続々と集合します。
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我が家がある地区が、薄町といって、神社に一番近い位置にあって、何かと一番先、先頭に立つ組です。これが薄町の御船。何でもコロナの間に修理したそうで、3000万円ほどかかったとか、ほんとう?
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側面の彫刻などは違いますが、御船の大きさ形は、どの町内もほぼ同じです。むしろかかっている幕というか、布はちょっとづつ特徴があります。私はこの巨大な一枚布をどうやって用意(織る)するのだろうかと気になったのですが、聞いてみたら、「以前から、船の木部より、幕を破らないように気をつけろと言われた」そうです。木の部分は細部に分かれているので修理はできるけど、布はもう織ったり染めたりする人がいないのだそうです。
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朝9時頃から、各町内の蔵に収めてあった山車を引き出して、神社の近くにある教文センター前の路上まで曳航され、ここでしばらく待機です。
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須々岐水神社の鳥居から正面に北アルプスが望めます。この参道を山車が一台づつ曳航されて来るのです。
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普段は人影など滅多に見ない境内ですが、屋台もたくさん出て賑わっていました。この木造の一の鳥居は相当に古いもののようです。
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今は何でも500円が相場のようです。子連れのお父さんお母さんは大変ですね。
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山車が参道に揃ったところで、一台づつ境内に引き入れます。山車が何トンあるのか″諸説″あってはっきりしなかったのですが、見ている限り、みんなハーハーと息を切らせて大変そうでした。ご他聞に漏れず、若者の数が減って、曳子が圧倒的に足りないのだそうです。昔はもっとパフォーマンス性があって、地域のみんなで熱狂したようです。
それでもこの界隈は松本の中心部に近く、もちろん通勤圏です。各家庭どころか、各人に1台車があって、ウチの大家さんの庭にも4台の車が停まっています。おかげでバスがなくなり、私の移動はもっぱら自転車なのですが、山の麓なので、行きはよいよい帰りは……です。もっともっと地方の、過疎化が進行するような地域では、伝統的な祭りも行事も、いずれは消滅してゆく運命なのでしょうか?少子高齢化の波は、容赦なく日本の伝統や文化を破壊し続けているようです。
以下、村の若い衆の奮闘ぶりをご覧ください。