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那覇で観察した昆虫をちょこっと紹介

11月に学会参加のため那覇に行っていました。
滞在中の最低気温は24℃で昆虫は東日本の秋前半に似た雰囲気でした。

滞在期間中、日程の合間に観察できた昆虫の紹介です。
昆虫と言いつつ蝶と蟻だけですので悪しからず。

1.ツマムラサキマダラ
大きくて目立つ青い蝶です。他にもオオゴマダラやツマベニチョウ、ナガサキアゲハなど大きな蝶が普通に飛び回っているのは本当に南国という感じです。

ツマムラサキマダラ雄

2.ルリウラナミシジミ
とても青いシジミチョウが飛んでおり、ムラサキシジミの仲間かと思って追ってみると止まった姿は南国のウラナミシジミの仲間でした。

ルリウラナミシジミ

帰宅後、図鑑を見ると沖縄本島に生息するのはアマミウラナミシジミ。でも違和感あってよくよく見たら撮ったのは全てルリウラナミシジミでした。表が青かったのもアマミウラナミシジミには無い特徴です。
ルリウラナミシジミとアマミウラナミシジミは非常によく似ていると、南国の蝶を見慣れていない身からすると思っていたのですが、前者はJamides属(ceruleans)、後者はNacaduba属(lineblues)とのこと。青いシジミチョウが何とかブルーという英名なのなんか良いですよね、今回はセルリアンでした。コバルトの鮮やかな青、ぴったりの名称です。

3.オジロシジミ
見た時はクロマダラソテツシジミかな?近くにソテツ生えてるしーと思っていましたが図鑑を見ると模様が全く違います。
薄い暗斑紋、短い尾状突起とその付け根の橙色斑、オジロシジミでした。南西諸島に広く分布しますが減っているようです。全く認知していない種でした。

オジロシジミ

シジミチョウの2種は初見でした。

アリに移ります。

4.トゲオオハリアリ
沖縄本島に行った時は探そう!と思っていた普通種です。本州でよく見かける大きい(5mm以上)のアリと言えばクロヤマアリとクロオオアリですが、南西諸島にはどちらも分布しません。クロオオアリみたいな大きさのアリがクロオオアリみたいな感覚で歩いているのが本島ではトゲオオハリアリです。

トゲオオハリアリ

本州によくいるハリアリはせいぜい5mm未満のため、10mmほどもある本種は見応えありました。ただ一般的なハリアリと比べると体つきや毛の感じはクロヤマアリやクロオオアリに似た印象です。
滞在中に2ヶ所の公園で観察できました。

5.ホソウメマツオオアリ
ここから写真無し2つです、、
ホソウメマツオオアリは南西諸島で普通に見られる樹上性のアリで、本州南岸にも生息しています。学会会場の前の通りなども歩いていました。今回、初めて採集してじっくり特徴を観察できました。

6.アカヒラズオオアリ
採った時に唯一、属レベルで何だかわかりませんでした。くやしい。
オオアリ属のワーカーと比べても小さく、大きなシリアゲアリみたいなアリだと思っていました(シリアゲアリに擬態している種もいる)。
雪国住みの人間なのでヒラズオオアリ属自体が初見でした。

観察および同定できたアリは下記17種です。*を付けた6種は外来種と考えられています。初見は4種でした。
ナカスジハリアリ、トゲオオハリアリ、アシジロヒラフシアリ*、アワテコヌカアリ*、ヒメアリ、クロヒメアリ、ヒメオオズアリ、オオズアリ、クボミシリアゲアリ、アミメアリ、カドハダカアリ*、オオシワアリ*、リュウキュウアメイロアリ、ヒゲナガアメイロアリ*、キイロアシナガアリ*、ホソウメマツオオアリ、アカヒラズオオアリ

目に付く蝶とちょっと探した蟻以外はそんなに見てないですが、大量にトンボ(ウスバキトンボ?)が飛んでいました。


最後に
琉球には特異な生態系が形成されています。生き物好きは琉球に固有の生き物や南方系の生き物を見に行くわけですが、一方で外来種の姿も多いと思ってしまいます。参加したシンポジウムでも沖縄の外来種対策の話があり、社会生活に影響する喫緊の課題となっています。琉球の特異な生態系を繋いでいくために、自分たちがどう関わるか考えさせられるところです。

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