めんどくさい女が嫌いだ
私は面倒くさい女が嫌いだ。
正確に言うと、女の面倒くささが嫌いなのかもしれない。
男性達がよく、
「嫁が生理前で機嫌悪くて・・・」
とか、
「彼女がメンヘラで・・・」
みたいな会話をしているのを知っている。
私はそんなことしない。
生理前でも不機嫌になんてならない。
なんなら低気圧でもアタマ痛くならない。
女性ホルモンにも台風にも影響されず、平常通りの生活を送れるほどには身体が丈夫だ。
メンヘラなんてもってのほか。
彼氏が出来たとたん女友達との約束を全部キャンセルなんてしないし、
「ねえ、私のこと好き?どれくらい好き?100回好きって言ってくれなきゃ死ぬから!!!!」
とか絶対言わない。(メンヘラの定義合ってる?)
私は男性にとっていたって扱いやすい、さっぱりした女だ。「ここに、世にも珍しい面倒くさくない女がいますよー!見つけたあなたはラッキーですよー!」と叫びたい。なんなら自粛生活のおかげで料理の腕も上がったし、良い物件じゃないかオイと思う。
彼氏はもう5年いない。
なんで?
年齢?
35歳ってそんなに重い?
私、「もう歳も歳なんで結婚前提の人としか付き合いません。」とか言わないよ?
そんなもん、付き合ってみなきゃわからないじゃない。ホラ、さっぱりしてる。
あれか。高嶺の花とか思ってんのか。
もう全然、一緒に行ければ吉牛でもいいタイプよ。
お高めのイタリアンで乾杯は泡一択とか、言わないよ。(高嶺の花の定義合ってる?)
そんな時、ある男友達に言われた。
その友達は精神医学の専門家で、恋愛相談を得意とするカウンセラーでもある。私もたびたび相談に乗ってもらい、彼のことはとても信頼している。
「なっちゃんは、めんどくさいよ。」
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
(文字を重ねればなんか面白くなると思っている。)
なんということでしょう。
面倒くさい女が何よりも嫌いな私が、面倒くさいだなんて。
ありえないありえないありえない。
いや、、でも、、
信頼する人にそう言われて、初めて今まで見ないようにしていたものに目を向ける気になったのですよ。
自分が面倒くさいかもしれないという証拠に。
(ちなみに彼は私をディスる意味で面倒くさいという言葉を使ったわけではない。)
そうあれは、まだそれほど親しくない異性の知人何人かととある打ち上げで居酒屋のテーブルを囲んだときのこと。
「で、今の彼とはどれくらい付き合ってるの?」
おおおおおおお。
ある男性(イケメン)が私に唐突にこう聞いた。
これは、なんか、気のある女にかけるセリフやないか。
だって私は「彼がいる」なんて一言も言ってない。
それなのに、そんな聞き方するってことは、
「君は当然、彼がいるほど魅力的な女性だよ。でももし彼がいないのであれば、それは教えて欲しいな」というメッセージ以外のなにものでもない。
そしてそのテーブルには同じように私の返答を待ちわびる(ように見える)男性達。
なんか・・・・モテてる・・・?!
どういう答えがベストなのか。
どういう返事をすればこの後もモテを継続できるのか。
考えた私が絞り出した答えは、
「・・・・・・・・・・・ナイショ♥」だった。
このようにぼやかすことで、ミステリアスないい女を演出できると瞬時に考えたのだ。
且つ、「付き合うという口約束なんてしていないけど、いい感じの相手は当然います。ところがはっきりと付き合ってはいないので、あなた方にもチャンスはあるということですよ。」というメッセージも送ったのだ。
当然そんな相手は、いない。
おぅ、ちょっぴり、面倒くさい。
というかまどろっこしい。
また、私はあるコミュニティでメンバーとのやりとりにSlackというツールを使っている。Slackでの投稿にはスタンプでリアクションを表明することが出来る。
こんなかんじ。
そのスタンプの中に『好きです』というものがある。
これ。
(6というのは6人このスタンプを押したという意味。)
当初私は自分の投稿についた『好きです』を見て、
「え・・・、この男、私のことが好きなのか?まだ1、2度しか会ってないのに・・・?」とちょっとドキドキしていた。
その後、このスタンプが「いいね」と同レベルで使われていることに気づいた。
「好きです」だなんて、誰にでも軽々しく言うもんじゃない。
・・・・・・・狼少年になるぞ!!
うむ、割と面倒くさい。
なんか、面倒くさいと言うよりただの自意識過剰女のエピソードみたいになってしまっているけれども。
しかしどんどん記憶が蘇ってくる。
去年ちょっとした病気で入院したとき、近況報告をしたFacebookに何もリアクションをくれなかった男友達について「あの人は私が入院しても何も反応してくれなかった」と愚痴っていた。
彼氏でも何でもないのに。
なんなら最近連絡取り合っていなかったのに。
あ、これはもう正真正銘めんどくさい。
仲良くしていた友達にTwitterのフォロー外されただけで「なんで大事な友達のフォローを外したりするんだろう?」という考察をわざわざブログに書いたりした。
えーー、めんどくさっ!
よく考えたら「なっちゃん、イライラしてるのすごいわかる。態度に出てる」
と言われたこともある。
そのときはムカついて認めなかったけど!
実際は生理でもないのにしょっちゅうイライラしてるし!
隠せてるつもりだったけど!!
出てたんだねーーーーーーーー
めんどくせーーーーーーー!ごめん!!
わかりました。
私に彼氏が出来ない理由が。
自分の「面倒くささ」を認めず、隠していたからです。
本当の自分を偽って人と関わっても、上手くいくわけないじゃないね。
あぁぁ残念。
私は自分が思っていたような、さっぱりした扱いやすい女じゃなさそうです。
こんなこと言ったらますます彼氏が出来ないと思っていたけど、ほんとうは、私がイライラしてても受け止めてくれるような、大らかな男性と付き合いたい。
高級イタリアンには興味ないけど、オシャレな古民家カフェくらいには連れて行って欲しい。
「きゃー!かわいいっ♥」とか、言いたいやん。好きな人の前で。
結婚だって、好きな人が出来たらそりゃ意識はしちゃうよ。お年頃だもん。
そんなことを考え始めていたら、不思議なもんで、今月の生理は珍しくちょっと重かった。
加えて、なんとなく湿気の多かった日に、どうもアタマがぼんやりした。
あれ?私何だか、自分の身体に正直になってきているのかもしれない。
今まで無視してきた面倒くさい自分に、気づき始めているのかもしれない。
そんな女、嫌いだったけど。
男性に「さっぱりしてて付き合いやすい」って言われたかったけど。
これが、このめんどっちいのが私なのだから、そろそろ認めないと。ねえ。
そして私は薄々気づいている。
「嫁が生理前で」とか
「彼女がメンヘラで」とか言ってる男性達が、どことなく、嬉しそうなことを。ふふん。