星から月へ
◀︎前曲 エウリディーチェを失って
アリアの空気感をそのままに、二曲目もアリアを選曲して今度は月のお話へと繋げます。
ドヴォルジャーク オペラ「ルサルカ」より
〝月に寄せる歌〟
ルサルカというのは湖に住む水の精の名前で、月に向かって人間の王子に恋をした想いを歌うのです。
…あれ、こちらもどこかで聞いたことのあるお話…
そう、あらすじとしてはご存知「人魚姫」。
フィナーレがちょっと違うんですが(声が出せないルサルカから心変わりをしてしまった王子は、自分の不実を償うため自ら死を選びルサルカにキスをする。そしてルサルカもまた水の底へと沈んでゆく…という悲劇。王子、漢気あるなあ…)、だいたいのストーリーは同じです。
スラヴ民話やフーケ作「ウンディーネ」という作品がもとになっていて、ドヴォルジャークの手によりチェコ音楽を代表する人気オペラ作品となりました。
人魚と月夜って、なんとなくセットのイメージがありますよね。
王子さまを見染めるシーンだったり、アリエルが月をバックにしているイラストだったり、、
ロマンチックな場面は真昼間より絵になるよねー、って私は単純なことを思っていました。
一説によると、太陽は現実で、月は非現実に繋がっているという考え方があったようです。
天上や死後の世界とつながるとか(かぐや姫なんかもその系統かも?)、満ち欠けする月は狂気をもたらすとか(狼男とか魔女とか…ダークファンタジーの世界も月夜とセットが多いですよね)古くから別世界をたくさん生み出してきたのが、月夜でした。
そして太陽は直視できないけれど、月はじっと見続けることができるから人々は眺めながらさまざまな想いを馳せたのでは、という考え方にも、なるほど!と膝を打ちました。
私たちが「ロマンチック」と感じる源泉は古くからあったんだなぁ。
ルサルカが、地上という異世界に住む王子への想いを、願いを込めて月に語りかける。
ドヴォルジャークは月の光のように澄んだ美しいメロディと豊かなオーケストラで、水音や彼女の揺れ動く心情を表現しました。
印象的なメロディは多分みなさんどこかで耳にしたことがあったかと。。
あの歌を聴けてよかったです、って終演後にお声がけいただけたのも嬉しかったですね。
先日は中秋の名月でした🍡
日本の月のお話は、また今度に。