見出し画像

「身近ではない」から報じないのかー「JAM THE WORLD」終了に寄せて

6年間、お世話になってきたJ-WAVE「JAM THE WORLD」が、3月31日で幕を閉じることとなりました。番組自体が積み上げてきた歴史は20年近く。リスナーさん、出演者さんには大きな感謝を抱いています。

私が担当している水曜日は、スタッフさんたちと相談をしながら、社会的マイノリティーの方々のこと、福祉の問題に重点的に取り組んできました。

それは、芸能ニュースやスポーツの話題のように、必ずしも数多くの人が「身近」に感じる話題ではないかもしれません。

以前、あるテレビ関係者の方が講師を務める大学での講義に参加したことがありました。講義で話題となっていたのは、ニュースの「身近さ」と「信頼」でした。

「確かに、一週間のニュースを振り返ってみると、藤井聡太さんと将棋の話題がより”身近”かもしれません。そして、その日だけのことを考えれば、ある程度『話題』で視聴率をとれるでしょう。でも、イラクでの戦争など、必ずしも”身近”ではなくても大切なニュースをやり続けることで、長期的に見て番組自体の信頼を高め、長く観てもらえるようになると考えています」

一時的な「話題」ではなく、「番組」自体の信頼を重ね、見てくれる人に届けていくこと。私が今でも影響を受け、大切にしているスタンスです。

これまで各地の小中高で講演を重ねてきましたが、そうした時に私が伝える、シリアでの戦争や難民の問題などは、子どもたち、生徒たちにとっては決して「身近」な話ではなかったはずです。

それでも数年たって、「あの時、講演を聞きました」という生徒さんたちが、写真展などに来てくれて、近況を報告してくれることがあります。「この春から、新聞社に入ります」「私はもっと直接支援に携わりたいと思ったので、医学部に入学します」。

もちろん、私の講義だけがきっかけだったとは思いません。ただ、伝えたことが誰かの心の中の「種」として残り続け、思わぬところで、その心の中の「種」が育まれることがあるのだと、励みをもらったように思います。

伝える仕事は、短期的な反応や利益だけを見て「意義」を決めつけてはいけないのだと感じます。

「JAM THE WORLD」は終わってしまいますが、やはりニュースや大切な話題を正面から掘り下げていく番組は続けたいと考えています。そこで私たちDialogue for Peopleでは、毎週水曜日にYouTubeラジオ「Radio Dialogue」を配信することとなりました。

▶3月24日(水)初回放送アーカイブはこちら

▶3月31日(水)22:00〜 (安田菜津紀/ゲスト 伊藤詩織さん)
配信URLはこちらです!

▶4月以降:毎週水曜日21:00から放送予定

よそしければチャンネル登録を、よろしくお願い致します。

私たちはJ-WAVEのような大組織ではありませんが、今後も番組を自分たちの手で継続するため、皆さんの支えが必要です。よろしければサポート、お願い致します。


いいなと思ったら応援しよう!