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「スカートめくり?なんだそれだけのことか」のすりこみ

「Stop it at the Start」…そんなタイトルのTVCMがオーストラリアで反響を呼んだ。

セリフはこうだ。

Father: C’mon then, what happened?
(父:さあ、何があったんだ?)

Son: I got detention just for flicking up a girl’s skirt.
(息子:居残りさせられた。女の子のスカートをめくっただけで。)

Fahter: What? That’s it?
(父:なんだ、それだけでか?)

Brother: Doesn’t she know that’s just boys being boys?
(弟:彼女、男の子ってそういうものだって分かってないのかな?)

Sister: Yeah, I mean, I’ve already accepted that as I grow up I’ll probably be harassed and even abused.
(妹:ええ、私は育っていく中で、嫌がらせにあったり暴力をふるわれるかもしれないってこと、もう受け入れてるわ)

Father: Sorry…that’s… not what I meant.
(父:すまない…そういうつもりじゃなかったんだ。)

父と子のそんな会話の積み重ねがやがて、ハラスメントや性暴力につながってしまうという警鐘を鳴らす動画だ。これはオーストラリア政府がTVCMとして制作したものだという。

キャンペーンの詳細や、他の動画はここにまとめられている。(最後の長い動画は暴力を振るうシーンも出てくるので、ご注意下さい。)

思えば子どもの頃に見ていたアニメの中にも、毎回流れるオープニングの映像で男の子が無邪気にスカートめくりをするシーンがあった。入浴を覗き見するシーンも描かれていた。

でもそれは、”悪ふざけ”の一環だと思っていた。スカートめくりは女の子にされても本当は嫌だった。だけど「悪ふざけなんだから怒る方がおかしい」と無意識のうちに思い込んでしまっていたかもしれない。学校の先生も時折思い出したように注意はするものの、問題として扱われたことはほとんどなかったと思う。

これはある種の”刷り込み”に近かった。何気なく触れているメディアや、周囲の大人の態度や言葉は、育つ過程で心の中に堆積していく。

例えば公的な機関が、過度に性的な部分を強調して描いた女性のイラストをキャラクターとして使うことが度々あった。「女性はそういう風に見られても致し方ない」と暗に言われているように感じてしまう。それを無批判に提示してしまう組織があるこへの違和感もある。

でも、そういうものを受容することが「大人」なのだと、以前の私はどこかで思ってしまっていた。

そして結局それは、問題の”先送り”でしかなかったのだと思う。「相手の尊厳を傷つける」行為が折り重なって、取り返しのつかない暴力へと発展してしまうことを、このキャンペーンは鋭く示していた。

大きな声の人や機関の態度は、人々に広く伝わり、それだけ影響力もある。政府レベルでこうした発信ができることの意味は大きいはずだ。

そして日本は、どうだろう?


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