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「かけがえのないみんなだ」 【YOASOBI・第72回NHK紅白歌合戦】
YOASOBIというユニットにはいつも驚かされる。新曲もライブもラジオも、そして紅白歌合戦も─。
どうにもTwitterの140字の制限があるツイートにはうまく綴れず、noteのアプリを開いてみた。とはいえ文章がうまくまとまる未来が見えないが笑。とりあえず書いてみる。
第72回NHK紅白歌合戦
2021年大晦日。第72回NHK紅白歌合戦。舞台は有楽町・東京国際フォーラム。テーマは「Colorful〜カラフル〜」。そのテーマには、
去年から続く新型コロナのために、わたしたちの日常の暮らしは変わりました。
なんとなく彩りの欠けた日々や景色が、当たり前のことになってしまいました。
そんな時代だからこそ、2021年最後の夜は世の中を少しでも「カラフル」に彩りたい、わたしたちはそうした思いを込めて、紅白をお届けします。
そして「カラフル」には、多様な価値観を認め合おうという思いも込められています。
あらゆる色が集い、重なり合い、称え合い、素敵な大みそかを彩る。それが今年の紅白です。
という意味があるようだ。
YOASOBI with ミドリーズ「ツバメ」
LiSAさんの「明け星」から宴は始まる。6組の披露に続くのは、1つ目の企画、YOASOBI with ミドリーズ「ツバメ」。
まずは司会の川口春奈さんの地元ロケの映像から始まる。海の環境を悪化させるアイゴという魚と、それに向き合う暮らしについて描かれていた。
映像が終わると画面はスタジオに切り替わる。川口さんのトークを挟んで、アオ・キイそしてミドリーズの紹介がされる。
流れ出す「ツバメ」。12月2日放送「SONGS」やダンスミュージックビデオでは(サビの合唱を除いて)ikuraさんだけが歌っていたが、紅白ではikuraさんは歌わずミドリーズの5人で歌うシーンも見られた。みんな踊りながら歌ってるのに音がしっかり取れてて、とても上手だ(なんか上から目線でごめんなさい笑)。ikuraさんも伸びのある歌声を響かせる。袖がひらひらとした青色の衣装は鳥のツバメを意識したものだろうか。
振付を練習したという川口さんをはじめ、大泉洋さんや鈴木雅之さん、乃木坂46のみなさんなどもダンスで盛り上げる。全国のテレビの前では一緒に踊る子どもたちもいたかもしれない。
YOASOBIというアーティストの歌の披露というよりかは企画としてこの歌が流れているので、こういうわちゃわちゃとした感じというか一人一人が自由に音楽を楽しむ雰囲気もいいのかもと個人的に思う。
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夜の宴はまだ始まったばかり。多くのアーティストの歌が続く。スケートボードで登場した松平健さんが歌う「マツケンサンバⅡ」は明るく楽しく盛り上がってる様子が印象的だ。
YOASOBI「群青」
ニュースを挟んで後半へと突入。無事三山ひろしさんのけん玉は成功し、生田絵梨花さんのラストステージでは乃木坂46の原点のきっかけが披露される。藤井風さんに続くのはYOASOBI「群青」だ。
自分の信じた道を進もうとする若者たちへの応援歌です。お聴きください、YOASOBIで「群青」。
そんな川口さんの曲振り。国際フォーラムのガラス棟へと切り替わった映像には、青い衣装に身をまとうikuraさんの姿が映る。前奏とともにエスカレーターを降りてくる。
彼女を出迎えるのは、ダンサーとオーケストラ、バンドメンバーにAyaseさん。中央の赤いステージへと足を運ぶ。
カメラはikuraさんやAyaseさんだけでなく、ダンサーやオーケストラの方々も映し出していく。彼らの踊りや演奏も今日の「群青」に欠かせない。さらに数え切れないほどのライトも華を添える。
個人的にはあっという間に感じた。いつの間にかラスサビへ。キレのあるダンサーの間を通り抜け、カメラは2人のもとへ向かう。
迎える最後。少し間を空け、大きく息を吸う。ぎゅっと拳を握る。そして左手を広げ、彼女は叫んだ。
かけがえのないみんなだ
カメラはズームアウトし全景が映し出される。ダンサーは向きを変え中央のステージへ手拍子をおくる。ガラス棟にいた全員が心をひとつにし「群青」という楽曲を全国へ届けているように感じた。
スタジオへと映像は戻り、大泉さんは
感動しましたね。紅白らしい演出だった。
とコメントを残した。そして宴の主役は鈴木雅之さんへと渡った。
多くのアーティストの方々の披露が終わり、いつの間にか2021年も残り30分。MISIAさんの圧倒される歌声とともに全ての演目が終了する。結果は紅組の優勝。そうして大晦日の夜の宴は幕を閉じた。
「かけがえのないみんな」
「群青」の最後でikuraさんは「ありのままの かけがえのない僕だ」を「ありのままの かけがえのないみんなだ」と叫んだ。彼女がどんな意図でそう叫んだのかはわからないが、「みんな」とはなんだろうかと少し考えてみる。
僕が最初に思い浮かんだ「みんな」とは、今この歌っている瞬間、この会場にいる「みんな」だ。Ayaseさん、バンドメンバーはもちろん、ダンスで支えるダンサーの方々、演奏で支えるオーケストラの方々。それだけでない、NHKのスタッフさん、会場設営に携わるスタッフさん、SONYのスタッフさん。YOASOBIの紅白の舞台を創ってくれた多くの人々がikuraさんにとって必要不可欠で大切な存在だったのではと思う。
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次に思い浮かんだ「みんな」はYOASOBIのファンだ。2021年はYOASOBIがはじめてライブを行った年。2回の配信ライブを経て、12月には日本武道館での有観客ライブも実現した。ファンの1人である自分が言うのもおかしいが、ファンという存在は、ikuraさんにとって大切なものだと思う。
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「みんな」=「チームYOASOBI」とも捉えられる。山本さんと屋代さんが一緒に飲んだ帰り道に思いついた、物語を楽曲に転換するユニットというアイデア。Ayaseさんの妹さんの家のこたつで産声をあげた「夜に駆ける」。吉野さんが加わり、初めての紅白で迎えたバンドメンバー。そんな何よりの仲間「チームYOASOBI」はikuraさんにとって「かけがえのないみんな」に違いない。
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「みんな」をぷらそにかと考えてみる。ぷらそにかはikura(幾田りら)さんが所属していたカバーソングユニット。(僕はぷらそにかの存在をYOASOBIのikuraさん経由で知った。ぷらそにかのことに詳しい訳でもないので、ここで深く触れることは避けておく。)そんなぷらそにかはこの「群青」のレコーディングに合唱パートで参加している。この曲をikuraさんが紅白で歌うにあたり、ともに歌ってきた大切な仲間のことを思ったかもしれない。
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紅白歌合戦を放送しているNHKからは少し離れてしまうが、「群青」は日本テレビ「スッキリ」の「ひとつになろう!ダンス ONEプロジェクト’21」のテーマ曲になった。ikuraさんが叫んだ「みんな」は青春の仲間とも考えられる。コロナ禍で制限された部活動。自分も(ダンス部ではないが)部活を含め通常のマスクのない高校生活を1日も送れていない学年である。そんな中「群青」がつないだ230チームの全国の高校生。同じ部活で一緒に踊る仲間はまさに「かけがえのない」存在だ。
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僕の思いつく限りの「みんな」を挙げてみた。まとめると、YOASOBIに携わるすべての人というふうになるだろうか。かわりになるものがないほど大切な「みんな」に、「ありのまま」にいて欲しい。そんなikuraさんの想いが込められてるように感じた。
僕の好きなYOASOBI
紅白歌合戦で歌うYOASOBIの姿を拝見して、僕はYOASOBIが好きなのではなく(もちろん2人のことも大好きだけど笑)、YOASOBIの音楽が創る場所に惹かれるのではないかと感じた(ややこしいけど)。
トリであるMISIAさんの前、大泉さんは次のように語ってる。
音楽には不思議な力があります。
音楽は1歩前に進む勇気を与えてくれます。
音楽は私たちの心を1つにしてくれます。
YOASOBIのすべての楽曲には原作がある。原作の作家さんがいて、その人が創る世界をAyaseさんが彼なりに音に吹き替える。ikuraさんの声が加わって曲ができて、MVやEP、ライブが創られる。そしてこの紅白の披露も、たくさんのダンサーや演奏家の方々を含めた234名によって創られた。
「群青」という楽曲がいろんな場面で「みんな」の心を1つにし、「かけがえのない」絆を生み出した。僕はYOASOBIの音楽が持つそんな不思議な力が好きなのかもしれない。
さいごに
NHK+の配信を見返しながら思うがままに書いてみました。YOASOBIを初期から応援してる方々に比べればファン歴は短いですが、精一杯書いたつもりです。音楽に疎いので、YOASOBI以外の部分はほとんど存じ上げない曲で結構省略しちゃいました。それでもやっぱり「書く」って難しいですね。最後の部分とか結局何が言いたいんだって感じにまとまってない笑。
ここまで読んでくださった方、こんなまとまりのない文章にお付き合い頂きありがとうございました。2022年も音楽の不思議な力で多くの人に幸せが訪れることを願ってます。
最後になりましたが、素晴らしい舞台を届けてくださったYOASOBIの2人、バンドメンバーの4人、SONYのスタッフのみなさん、さらに指揮の斉藤ネコさん、演奏の東京フィルハーモニー交響楽団のみなさん、振付のSotaさん、踊りのGANMI&Friends、滋慶COMダンサーズのみなさん、制作に携わってくださったNHKの関係者のみなさんに感謝申し上げます。ありがとうございました。