アートは友だち
「アートってよく分からないし、敷居が高い」
そんな風にずっと思っていました。
そんな私が約3年前、
一冊の本との出会いをきっかけに
アメリカのデトロイト美術館を訪れました。
📖『デトロイト美術館の奇跡』/原田マハ著
1組の夫婦
この小説のなかで
私が一番心を惹かれたのは、
1組の夫婦のアートへの向き合い方です。
アフリカン・アメリカンの両親のもとに
生まれたフレッド。
自動車産業で発展してきた、
デトロイトで60年以上暮らしています。
自動車の溶接工をしていましたが、
長引く不景気で自動車産業は業績が悪化。
人員削減のため解雇されてしまいます。
そして、妻ジェシカ。
献身的で、快活で明るい性格です。
夫が解雇されたときには
既に近所のスーパーでレジ打ちの仕事を
みつけて働き始めており、
「私が働くから大丈夫!」と
笑顔で励まし生活を支えます。
2人が住むのは
フレッドの父親が残した古い家。
経済的には決して豊かではなく
世間的には「哀しき労働者階級」と
呼ばれる存在かもしれません。
それでも、2人の間には、
深い愛情と互いを慈しむ絆があります。
ある日、ジェシカは知人の勧めで
デトロイト美術館を訪れます。
やがて夫婦で美術館に足を運ぶようになり
アートが2人の新しい楽しみになります。
この夫婦の物語を通して、
アートはただの鑑賞物ではなく
人生の苦しさや喜びを共有できる
「友だち」になり得るのだと教えられました。
アートはみんなのもの
この小説を読んで
どうしてもデトロイト美術館に行きたくなり、
実際に足を運びました。
館内は広々しており
肩の力を抜いて
ゆったりとアートを見て回りました。
一つひとつの作品と向き合いながら、
「この絵は何を語りかけているのだろう」と
考える時間がとても贅沢で、
まるでアートと対話をしているような
気持ちになりました。
だれにでも、アートを楽しむ権利がある。
それがこの小説を書いた原田マハさんの
伝えたかったメッセージなのかもしれません。
原田マハさんとデトロイト美術館のおかげで
アートとの距離感がぐっと近づきました。
この小説では、夫婦にとって大切な場所である
デトロイト美術館が存続の危機に直面し、
その行方に最後まで目が離せません。
アート好きの方にも、
そうでない方にも楽しめる内容なので、
ぜひ読んでみてください!
📖『デトロイト美術館の奇跡』
灯火さんの企画に参加させていただきました。
\11/22まで実施中!あなたの記事を読みたいです/
これまでアートについて書こうと思ったことがなく、お題をいただき、参加者の皆さんに触発されて書くことができました。
大切な思い出の箱が、あいたような気持ちです。
皆さんにも楽しんでいただけたなら
うれしいです🥀
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