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先入観を手放す

あなたは、文章を書くときに
大切にしていることはありますか?

私がインタビューライターとして、
いちばん大切にしていることは
先入観で決めつけないことです。

まずインタビュー前に
相手について下調べは徹底的に行います。
どんな人柄だろう?と想像もする。

でも、いざインタビューが始まったら
その事前情報から感じたイメージを
一度ぜんぶ手放します。

まっさらな気持ちで
目の前の人を見る。

そう思うようになった原体験は、
高校生の時にさかのぼります。


新聞で友達が全然違うキャラに


高校生のとき、絵が得意な友人
(Yちゃんとします)が、
絵画コンクールで大きな賞を取りました。

それは全国的にも有名なコンクールで、
地元の新聞社が取材に来るほどの快挙でした。

数日後、そのインタビュー記事が
片面1ページを割いて掲載されました。

でも、その新聞を読んで、私は驚きました。

Yちゃんが私の知る普段の姿とは
まるで違うキャラクターとして
記事の中で描かれていたからです。

もちろん、記事に書かれたYちゃんが
嘘だと言いたいわけではありません。

ただ、あまりにも違う。

ドラえもんで例えるなら
しずかちゃんとジャイ子くらい違いました(笑)。

私は翌日、学校で彼女にこう話しかけました。

「新聞見たよ。本当にすごいね!
でも、なんだか普段のYちゃんとは
ちょっと違う感じで書かれてる気がするんだけど……」と。

すると、彼女は「そうなの」と言いながら
へにゃっと悲しそうに笑いました。


忘れられない友人の表情


Yちゃんがその記事に納得していたのなら
その後私は気にしなかったと思います。

でも、その時のYちゃんの悲しそうな表情を思い出すと
今でもきゅっと心が苦しくなります。

私がその文章から感じたのは、
書き手の「女子高校生はこうあるべき」
という先入観が強く出ているということ。

なぜ目の前のYちゃんに向き合わず
記事として出ちゃったんだろうと思いますが

おそらくその方が
ウケがいいからです。

私はひとのことなのに勝手に怒りを覚え、
そこから「先入観で決めつけない」が
自分の中で大切な価値観になりました。

もちろん、先入観を
完全にゼロにするのは難しい。

それでも、インタビューの場では、
できるだけまっさらな気持ちで
目の前の人と向き合うことを心がけています。

一次情報を大切にするともいえると思います。

私の先入観や思い込みではなく、
その人自身のストーリーを言葉にする。

これが、私がインタビューライターとして
大切にしていることです。

そして、どんなにつたない文章でも、
すべての人に届かなくても、
誰かを悲しい顔にさせる文章だけは、絶対に書かない。


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ナツキ @ライター&コーチ
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