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eSailingジャパンカップを開催してみた

みなさんeSailingをご存知でしょうか?
セーリング競技のeSportsで、いくつかソフトウェアはありますが、メジャーなのでいうと、Virtual Regatta Inshore(以下VRI)といったゲームがあります。

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2018年からVRIを使ったWorld Sailing主催(世界セーリング連盟、以下WS)のeSailing World Championship(以下ESWC)が開催されたり、今年2020年にはSailGPのeSailing版、eSailGPや、各国のセーリング連盟が代表者を選出して戦う国別対抗戦、Nations Cupが行われました。今年のESWCの決勝はオリンピックチャンネルで放映されるなど、注目度も高まっています。
他のeSportsと同じく、ロックダウンの影響で人口も増え、大会も増えて、益々盛り上がってきています。
またセーリング競技で活躍するトップ選手、プロセーラー、オリンピアンなどがこのVRIで活躍しているのも特徴です。2020年のeSailingのワールドチャンピオン Joan Cardona はSailGPスペインチーム所属のプロセーラーであり、Finn級のオリンピックセーラーです。

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さて、そんなeSailingですが、今年の9月に日本初の全国大会、eSailing Japan Cup(以下EJC)が開催されました。WS公認およびJSAF(日本セーリング連盟)公認のeSailingの日本一決定戦です。
大会自体は、eSailingの黎明期から海外レガッタを中心に活躍してきたベテランSean Bondを、劇的な逆転劇で破った新鋭KG-Rの優勝で幕を閉じました。
私(Vegas)は幸運にもEJCでの成績で国別対抗戦のナショナルチームに選抜いただいて、チームキャプテンを務めました。

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Bulkheadマガジンによるレポートはこちら
KG-R氏のブログはこちら
大会ストリーミングはこちら

実はこの大会、一度もリアルで会ったことがないメンバー有志で準備、実施したものなのです。今日はここまでの道のりを少しご紹介したいと思います。

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出会い

今年5月くらい、所属する会社ヨット部の活動がまったくできなくなってしまった折に目をつけたのがVRIです。部のメンバーに声をかけて部内レガッタを開催しました。そして部の後輩のJPN842とともにすっかりハマったのです。
以前から、学連を卒業してからヨットから離れてしまうセーラーの多さ、戦術・ルールを合理的に学び・実践する方法の少なさ、そして日常的にヨットに触れることの難しさ、を課題に感じていた私にとってVRIはぴったりでした。
「これはぜひ全日本を開催したい!」と、すぐにJSAFの理事をしていた大学ヨット部の先輩、Nippon_Compassに連絡を取り、JSAFのメンバー、Ygo31、Gacky、Hiraide、jpnkururuを紹介してもらいました。

コミュニティ始動

この時に紹介してもらったJSAFのGackyと共に、よなよなディスカッションを重ねました。当時は、日本はVRIのdiscordもなく、コミュニティ化されているとは言えない状況でした。「まずは日本のコミュニティを作って活性化しよう!」と当時の日本ランク1位(世界ランク当時20位くらいだったかな)のKG-Rさんにいきなりメッセージを送りました(Gackyが)。
そんな突然のメッセージにも関わらず、同じ課題感を感じていたKG-Rが考えに共鳴、日本VRIクラブ(JVRIC)のdiscordサーバを立ち上げます。
当時のランキング上位者を中心に声をかけ、Sean Bond、Tacitus、Pauline3、Sohei Nippon、Sea Man Shipらが集まり、そこからどんどん広がっていきました。毎週のクラブレースも徐々に人数が増えてきました。
Facebookのグループも立ち上げ、毎週練習レースを開催し始めたのもこの時期です。
日本唯一(?)のeSailing YouTuber優月さんの動画経由でも入ってきてくれました。

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大会準備

同時にWorld Sailingとの契約条件交渉、そしてJSAFとの調整が始まります。
VRIはゲームですが、これを使ってeSailing World Championshipを開催、仕切っているのがWSです。国別対抗戦Nations CupもWSの管轄なので、彼らとの契約と条件交渉が必要になってきます。
実はWSの条件は「ゲーム内のランキング(年間ランキング)を使って日本人上位10名を選抜し、10人で全日本選手権を開きなさい」というものでした。
これをやってしまうと、今から始める人が参加できない、門戸の狭い大会になってしまいます。この条件を外してもらうためにWSとの交渉を繰り返し、さらにJSAFの関与する大会としては特例に近い形でJSAF会員以外にも門戸を開いた大会にしました。
時に、WSのイギリス人担当者と喧…もといアツいディスカッションを重ねました。

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海外視察(?)

VRIは実はヨーロッパで盛んです。特にデンマークのLukas MohrやスイスのKjoobが主催するクラブやレガッタを中心に、スペイン、フランス、イタリア、アメリカなど各国がdiscordのサーバやレガッタを開催しています。
その中でもよくオーガナイズされているのが、デンマークチャンピオンシップを主催したデンマーク王者のLukasが主催するレガッタです。
とにかくどんな運営をしているのかは飛び込んでみないとわからないので、既に海外のクラブでも有名人だったSeanさんにお願いして、レガッタやサーバに招待してもらいました。
当時VRI歴2ヶ月で海外の大会に出ても、後ろから数えた方が早いくらいでしたが、おかげでdiscordによる大会運営をいろいろと吸収し、eSailing Japan Cupのレースフォーマットと運営スタイルの雛形を作りました。
SailGPからもTim Morishima選手の参戦が決定し、艇種にF50も盛り込まれます。

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告知

大会の日程は9/27予選、28決勝に決まりましたがWSとの契約交渉が難航し、レース公示ができたのが大会2週間前でした。
合理性を重視し、NoRSIなどは全てgoogle docsで管理し、柔軟に変更できるように。JSAFチームのhiraideさんを中心にリアルセーリングの知見を動員して作りました。discord上の運営もリアルの大会を参考にしたり、新しくしてみたり。
告知ページもgoogle slideで作り、キービジュアルやロゴ、アイコンなども手作り。
Bulkheadマガジンの編集長、0517のツイートやポストで瞬く間に広がり、100名を超えるエントリーがありました。

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大会実施

大会運営もマニュアルを事前に作り、ボランティアメンバーで運営、ボランティアは予選免除されたシード選手です。
27日に予選の運営を手伝ってくれた、Sohei_NIPPON、Pauline3、Tacitus、Sean Bondと事前にリハーサルを重ねたおかげでトラブルもなく、予選を消化。
動画配信も、大会2日前に協力を申し出てくれたinshore Stream社のおかげで実現、急遽Gackyがコメンタリーとして活躍しました。
決勝は既報の通り、激戦が繰り広げられました。
ぜひお時間ある方はストリーミングをご覧ください。こちら

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最後に

本当にここまで様々な人たちに助けられここまできました。
構想から5ヶ月で公認の全国大会を開催し、国別対抗戦にまで参加できるようになりました。

以下は一番初めにKG-RさんにGackyがメッセージを送った時の返信内容です。
ここからわずか数ヶ月で日本人トップランカーは倍増、さらには国別対抗戦で、優勝候補フランスを破るなんて予想もできてませんでした。

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今はEJCに参加してJVRICを知ってもらった方や、EJCによってそもそもVRIを知って来れた方がたが続々と参戦、ますますの盛り上がりを見せています。
どうすれば日本のeSailingコミュニティが盛り上がるか夜な夜な議論していた頃が遠い昔のようです。
ここからはさらに輪を広げつつ、海外との交流も増やしていきたいと思います。

この辺りの話は次回のブログにでも。

興味持たれたかたはぜひJVRICへ。

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