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【大喜利のお題を選んで小話を書きなぐる105】一寸法師の知られざるもう一つの物語とは?

本日もお疲れ様でした。今日も淡々とやっていきましょう。

本日のお題は・・・「一寸法師」!

数ある日本のお伽話の中でも、「一寸法師」はちょっとマイナーですよね。最後に打ち出の小槌で普通の人間の大きさに戻るところは覚えているのですが・・・中盤のストーリーはあんまり覚えていません。お茶碗に乗って鬼退治に行くのでしたっけ?やはり、鬼退治といえば「桃太郎」の方が有名なので、「一寸法師」でスピンオフをやるには若干弱いのかもしれません・・・。

一寸法師とは

とりあえず、あらすじを確認してみましょう。出でよ、ウィキペディア!

子供のない老夫婦が子供を恵んでくださるよう住吉の神に祈ると、老婆に子供ができた。しかし、産まれた子供は身長が一寸(現代のメートル法で3cm)しかなく、何年たっても大きくなることはなかった。子供は一寸法師と名づけられた。
ある日、一寸法師は武士になるために京へ行きたいと言い、お椀を船に、箸を櫂(かい)にし、針を刀の代わりに、麦藁を鞘(さや)の代わりに持って旅に出た。京で大きな立派な屋敷を見つけ、そこで働かせてもらうことにした。その家の娘と宮参りの旅をしている時、鬼が娘をさらいに来た。一寸法師が娘を守ろうとすると、鬼は一寸法師を飲み込んだ。一寸法師は鬼の腹の中を針で刺すと、鬼は痛いから止めてくれと降参し、一寸法師を吐き出すと山へ逃げてしまった。
一寸法師は、鬼が落としていった打出の小槌を振って自分の体を大きくし、身長は六尺(メートル法で182cm)になり、娘と結婚した。御飯と、金銀財宝も打ち出して、末代まで栄えたという。

出典: 一寸法師フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

端的にまとまっていて、とっても分かりやすいですね!さすがウィキペディア・・・しかし、ここら辺も諸説あるようで、

しかし御伽草子に掲載されたものは、今のようなこととは少し話が異なっている。
・老夫婦が、一寸法師が全く大きくならないので化け物ではないかと気味悪く思っていた。そこで、一寸法師は自分から家を出ることにした。
・一寸法師は宰相殿の娘に一目惚れし、妻にしたいと思った。しかし小さな体ではそれは叶わないということで一計を案じた。神棚から供えてあった米粒を持ってきて、寝ている娘の口につけ、自分は空の茶袋を持って泣き真似をした。それを見た宰相殿に、自分が貯えていた米を娘が奪ったのだと嘘をつき、宰相殿はそれを信じて娘を殺そうとした。一寸法師はその場を取り成し、娘とともに家を出た。
・二人が乗った船は風に乗って薄気味悪い島に着いた。そこで鬼に出会い、鬼は一寸法師を飲み込んだ。しかし一寸法師は体の小ささを生かして、鬼の目から体の外に出てしまう。それを何度か繰り返しているうちに、鬼はすっかり一寸法師を恐れ、持っていた打出の小槌を置いて去ってしまった。
・一寸法師の噂は世間に広まり、宮中に呼ばれた。帝は一寸法師の両親である老夫婦が、両者ともに帝に所縁のあった無実の罪で流罪となった貴族の遺児だと判明したこともあって一寸法師を気に入り、中納言まで出世した。

出典: 一寸法師フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

なんと。一般的にこうしたお話の主人公というのは好青年であるのが基本なのですが、このパターンの法師はクズですね・・・自分のハムスター級の可愛さを利用し、娘に濡れ衣を着せるとは・・・そしてその娘を嫁にするのだもんなあ、鬼から助けてくれたとはいえ、スタート時点ではこんな人と一緒になりたくないよね・・・事あるごとに牛耳られ、責任転嫁されそうでこわいよね。

ウィキペディアでは「民俗学」項目に以下の記述も。

巨人が知恵の欠落により鬼や笑われ者へと転落するのに対し、小人は悪知恵を働かせて最後は成人の姿になりめでたく家に帰還する。社会層にとっては力よりも現実的な困難をするりとかわして行く狡知のほうが求められたのだろう。小童だからこそ悪質ないたずらも許される。

「社会層にとっては力よりも現実的な困難をするりとかわして行く狡知のほうが求められたのだろう。小童だからこそ悪質ないたずらも許される。」

ちょっと、悪質って〜〜〜!!こんな主人公は嫌だシリーズやん・・・。いや、分かるけどね!分かるけども・・・!!

一芝居打つことで理想のお姫様をもらい、機転をきかせて鬼を退治する・・・自分で仲間を集めて鬼退治へ向かう「桃太郎」とはちょっと違ったヒーロー像ですね。狙って獲物は逃さないサイコパス感がある。

一寸法師の知られざるもう一つの物語とは?

「一寸法師」のいいところは、「小さい自分では嫁をもらうことなど困難である」という現実をしっかり飲み込んだ上で行動している点ですね。これがダメ主人公だと「どうせ僕は一寸だから・・・」と、コンプレックスを抱いてしまうのが普通だと思うので。

しかし、これはあくまで一寸法師目線での話。濡れ衣を着させられたお姫様はたまったもんじゃない。汚名をかぶり、住みなれた実家を追い出されて、自分を泥棒に仕立て上げた張本人と旅に出るはめになるなんて・・・しかも、後に鬼から守ってくれて、身長が180センチを超える青年になり、出世した挙句プロポーズされるなんて・・・・・・憎もうにも憎めない、めちゃめちゃ複雑な乙女心が芽生えているに違いありません。

というわけで、このお姫様視点で展開されるラブコメにしたらどうでしょうか。性格の悪い男性がモテるというのは少女漫画界ではよくある話ですし(花より男子とか・・・)、嫌いな男と一緒に旅に出るはめになるとか胸熱ですね。嫌いな男ではあるものの、基本的に体長が3センチしかないから、やろうと思えばどうにでもしてやれるわけで。そうした強気の姿勢を時々見せようとする主人公の姫ですが、そういう時に限ってちょっとだけ優しい一面があったり、ピンチに陥ったり、同情してしまったり・・・「私ったらいつもそう。強気になりたいのに、どうしていつも言いなりになってしまうの・・・!」って感じで、ことごとくうまくいかない。基本的に体長が3センチしかないから、もともと小動物が好きな姫は不本意ながらしょっちゅうときめいてしまうのですよね。野良猫に好かれまくる法師を見てキュンキュンしたりとか(法師にとっては天敵で、毎度助けを求めて大騒ぎになる)。最後の、等身大の青年に変身するところは感動でしょうね。それまでは、めちゃめちゃ複雑な乙女心をこれでもかと展開していきたいぞ・・・。

そういうわけで、

あの日、私は家を追い出された。悪夢のような日だった・・・。

っていうモノローグから始まる、小動物系性悪法師とお姫様のちょっと変わった恋愛要素ありの冒険物語で行きましょう!


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