【チャレンジ】人生を豊かにする三点倒立
人間の能力は、千差万別だ。
みんなが当たり前にできることでも、私には実現が難しいことがある。
一方で、私が簡単にできることであっても、みんながそうではないことだってある。
完璧な人間など、この世にはいないのだ。
序章:最近の悩み
私の名前は"ざりがにがーる"。京都の郊外で暮らすサラリーマンだ。
最近、私には"ある悩み"がある。
部屋に・・・なんかこう、あるのだ。
点が。
引っ越してきたときには、こんなものはなかったと思うのだが・・・いつの間にか出現していた、意味深な三つの点。
普段はカーペットを敷いて暮らしているから、気がつかなかったのだろうか。
最近は暖かくなってきたので、床に直接布団を引いて暮らしている。
なので、こんなものが床にあっては・・・
"気になってしまって、夜も眠れそうにないよ。困ったな"
これが、最近の私の悩みである。
第1章:呼び覚ます
わざわざ出現したからには、何か意味のあるものなのだろう。
最近流行りの"謎解き"の一種かもしれないし。
そう思った私は、この謎を解明することにした。
三つの点を観察すると、以下のようになっている。
黄色が2個、ピンクが1個
三角形に配置
中央には、意図的に用意されたような余白
"ひとまず、「三角形」というのが大きな特徴みたいだな・・・。"
家の中から"三角形のもの"をたくさんかき集めて、並べてみた。
"・・・何も起こらないね。"
第2章:こちらから行く
"この、色分けされている意味って・・・もしかして、こう・・・?"
"いやいやいや・・・"
"あ〜〜〜ね、うん・・・"
"ああ〜〜〜〜〜!!"
ズデンッ!!!
第3章:できないので専門家に聞く
今更な話ではあるのだが・・・私はこれまでの人生で、ただの一度も三点倒立ができたことがない。
おそらく、小学校の頃に、体育の"器械体操"で習ったはずだが・・・どういうわけかやった覚えが本当に全くない。体が、全身が、未知の領域(の体勢)に戸惑いを隠せていない。これじゃあまるで、生まれたての子鹿じゃないか。
30半ばを過ぎて生まれたてはないだろうって?
現実ってこんなもんですよ。
どんなにかっこつけて生きていても、ヒトの人生は"三点倒立"一つでアレな感じになりかねないんだ。
なんてことだ・・・。
"・・・誰か助けて〜!!"
独学では埒があかないので、私はコンテンツを漁ってみることにした。
しかし、どれも「三点倒立は比較的簡単な技ですよ♪」と、いかにも楽ちん♪な感じで成功させて見せるばかりで、基本姿勢すらできていない人間には、全く再現できない。腕の角度も、頭の位置もおかしいし、背中は丸いし。
そもそも、逆さになって自分の頭に体重をかけたことなんか、今までの人生で一度もなかったのだ。
そんなことをして、首が折れたらどうするんだ。
あながち、楽観視できない状況にあるんだぞ、今。
もう何も分からない・・・と、半ば心が折れそうになっていた時。
"幼児もできる、三点倒立の練習方法・・・"
"こ、これだ・・・!!"
見た感じ"できそう"だったのに加え、壁に向かってやる練習は、実際に"できた"ような気がします。
あと、こちらの"アクロバットマン"さんの記事も良かった。
静止画と動画で、倒立に至るまでの各展開を見せてくれていて、分かりやすかった・・・。
色々と見て回った結果、おそらくコツは以下の感じ。
・手と頭は正三角形に近い形にする
・腕を90度にする
・頭頂部を床につける
・お尻をまっすぐにあげる
・勢いをつけなくても、ちゃんとやれば上がる
・お腹や手にも力をグッと入れると良い
〜格闘すること、3時間〜
うお〜〜〜〜〜!!!
なんかそれっぽくなったぞ!!!
"壁際じゃんって?"
"すみません、本当もう・・・首と腕が限界で。及第点ってことで勘弁してください・・・"
カッ!!
パアアアアァアア・・・・!!!
"トライアングル・・・?"
"トライアングル・・・"
"トライ、アンドゥ・・・ルァ・・・"
"トライ・アンド・エラー!"
"何事も、チャレンジするのが大切、ってこと!?"
"なるほど、そういうことだったのですね・・・"
皆さんも、"三点倒立"一度はチャレンジみてはいかがでしょうか?
それでは、またお会いしましょう!
エピローグ:2ヶ月前のこと
あれは、長年お世話になったメンバーを送別するべく、社内で集まれる人たち数名でzoom雑談会に参加していた時のことだ。
みんなでワイワイ話していると、送別されるMさんが思い出話とばかりに、こんなことを言い出した。
「Nさんってさ、なんかのzoom飲み会の時、三点倒立してたでしょ。俺ら画面越しだからよく分からんかったけど」。
(は!?・・・な、なんだそれ・・・!?)
「そうーーー!!なんかね〜、酔っちゃってて〜」
動揺を隠せない私とは裏腹に、Nさんは笑って答えていた。
さも当たり前のように会話が進んでいるけれど、web飲み会の最中に、なんの合図もなしに画面越しで三点倒立をし始める人間を、私は未だかつて見たことがなかった。
Mさんも言っている通り、web飲みの場で自分が突然倒立をしたとしても、当然、画面の向こうの反応は確認できない。
倒立をしている最中、メンバーの画面に自分の何がどこまで映っているのだろうか?などが気になったりはしないのだろうか。
そして、もしも私がそんな現場に遭遇してしまったら、咄嗟に気の利いたことが言えるだろうか?ただ狼狽えてしまうのではないのか?
ずっと、考えていた。
私は、Nさんが羨ましかったのだ。
Nさんみたいに、なりたかった・・・。
三点倒立ができない君へ
(※この記事で書いた内容は、フィクションを含みます)