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大学を卒業しました。

2022年3月23日の水曜日。
人のいない道で不織布で出来たマスクの鼻先を摘んで顎の方に下げると、春に吹く甘い風の匂いがした。
気付けば私ももう22歳。
ささやかな感動では涙は流れなくなってしまった。
けれど、今日はずっと胸が苦しくて、鼻の奥がツンとする。
心の中では泣いているんだと思う。

一生の別れということでも無いのに、締め付けられるこの胸にどんな意味があるのだろう。
自分の身体であるのに今は全く自らのものには感じられない。
整理のつかない感情が私を支配して、ささやかな平穏が掻き乱される。
だけど、今だから感じられるもののはずで。
そう思うと、寂しさもこの胸の痛みも愛おしく感じる。
私が私として生きる中でうまれたものだから。

私の大切な友達のみんなは、これからどんな未来を歩んでいくのだろうか。
私はどんな世界を進んでいくのだろうか。
果たしてそれは何色をしていて、どんな風が吹いてくるんだろう。

春への期待を含んだ高揚と、まだ、寂しさが残っている。
強烈に感じる寂しさは、大好きな人たちとの別れへのものだけど、悲しくはない。悲しくない限り、私はずっと先の何処かを目指していける。

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