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掃除に目覚める夫

みなさんお疲れ様です。
主婦検定1級の夏木です。

外に働きに出始めたわたくしと、ほぼ一日中家にいる夫。
この状況を鑑みて、ある日夫が言い出しました。

「凛ちゃん、俺が家事やるよ!」

素晴らしい心意気ではありますが、一抹の不安を覚えた私は「じゃあ掃除だけお願いするね」と試験的にお任せすることに。

これは夫が掃除の意義を理解するまでの記録である。



掃除の承認欲求

家事宣言の翌日、まずは掃除機の使い方を教えた。
「掃除機ぐらい使えるでしょw」と思う方も沢山いらっしゃるだろうが、夫は単身赴任生活の際にルンバもどきお掃除ロボ(チャド)を使っていたのだ。
ダイソンの基本的な使い方を教えて私は仕事に行った。

帰宅後。
客数の多い日だったため、疲労感を滲ませて「ただいまー」と言い、能面のような顔で冷蔵庫に直行して缶ビールを煽った。
すると、風呂上がりで晩酌中の夫が苦言を呈してきたのだ。

「凛ちゃんさぁ、そんな顔で仕事してるの?もっと笑顔でやんなきゃダメだよw」

私は勤務中120%の笑顔で仕事をしているのだから終わったら顔面の筋肉を休めたい。普段どんな顔で仕事をしているのか知らない貴様に何故そのようないわれの無いそしりを受けなければならないのか。今現在貴様がやっている事といえば床を掃除することだけであり、それはもうルンバと同格だ。ルンバに説教されるような立場に私は無いから黙ってろ。

という言葉を飲み込み「仕事はちゃんとやってます」と伝えてその日は寝た。
殺意を覚えながら。

それから数日後。
仕事から帰宅するとキッチンの換気扇が綺麗になっていた。
「あー、換気扇掃除してくれたんだなぁ」と思いながらタバコを吸っていると。

「凛ちゃんさぁ、換気扇が綺麗になってることに気付かない?そういうのって自分から気付いて感謝するべきだよね」

じゃあ聞くけど結婚してからこれまで貴様は一度でも「掃除してくれてありがとう」と言ったことがある?無いよね?なのに自分が掃除した時だけ感謝の言葉を求めるなんてジャイアン的発想としか思えないんだけど。ルンバがちょっと進化したぐらいで調子乗ってんじゃねぇぞ。

という言葉を飲み込み「ありがとう」と言ってその日は寝た。
が、これはしっかり話をしなければならない。



掃除には2種類ある

翌日は休みだったので、頃合いを見計らって夫に話をした。

家庭においての掃除は2種類ある。
ひとつは「日々の生活で溜まる埃や軽い汚れを取る作業」。
もうひとつは「こびり付いた汚れを除去する作業」。

多くの人が認識していると思うが、家事とは365日発生する仕事である。
よく「おせちは正月三賀日をゆっくり過ごすため」などと言われるが、結局三賀日中にも掃除機をかけたり洗濯機は回す。

つまり「やった感」のある部分的な年末大掃除より、日々の掃除のほうがよっぽど重要かつ当たり前な作業なのだ。

夫が敢行した換気扇掃除は勿論有り難いが、それは鏡の曇りを拭ったり棚の上の拭き掃除をすることよりは優先順位が下である。

日常的な掃除と特別な掃除は違うということを丁寧に説明し、拭き掃除について教えた。
ルンバからクラスアップである。



掃除は日常である、という理解が得られるか

夫は元来キレイ好きな人間である。
掃除機と拭き掃除をマスターし、今度は家具の隙間などの埃が気になり始めたらしい。
なんと松居棒を割り箸で自作した。

が、これは失敗に終わったようで「ホームセンターで買ってくる」と言ってすぐに捨ててしまったので画像は無い。

それからも夫は掃除に真摯に向き合っている。
有り難いことではあるのだが、熱を入れすぎているのが少々心配。
というのも、家事にはゴールが‎無いからだ。

通常の仕事には「プロジェクトの完遂」とか「目標数値達成」などの到達点が必ずある。
しかし家事は今日一日完璧にやったとしても、また翌日に同じ作業が待っているのだ。
しかも給与は発生しない。

私たちは契約結婚をしているが、夫が仕事を辞めたことによりこの契約は一部更改された。
以前は私が夫から給与を貰っていたので完璧に家事(+夜の相手)をしていたけれど、今はボランティアなので掃除も放棄しているし料理も時間のある時にだけ作る(夜の相手も気分で断る)。

夫が掃除を日常として受け入れるかどうかが非常に気がかりなのだ。
その内に飽きてきたら、結局私が時間を作って全てやることになるだろう。

だから私はまだ夫に洗濯や料理は任せていない。
洗濯機のボタンをひとつずつ説明したり、まな板の漂白の仕方を教えることが徒労に終わる可能性もあるので。

夫がこのまま主夫となる日が来るのか来ないのか。
今は静観している次第です。


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