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タリンの楽しいストリートファニチャー

エストニアの夏はグラスゴーのように短く暑い日なんて続かないと思っていた。その予想は大きく外れて、何とも過ごしやすい夏を6月から2ヶ月間過ごした。以前タリンを訪れたのは11月終わりから12月半ばにかけて。街は白い背景にクリスマスの飾り付けを始め彩っていた。気温はマイナス12度。クリスマスマーケットで買うホットドリンクもちょっとした会話の間に冷めてしまう。こんなに冬の街に果たして夏なんてやってくるのだろうかと信じられなかった。
今年の夏は雨が多かった、と地元の人は言っているが割と夜中に降ったのでそんなに雨ばかりの印象はない。高い建物があまりないのでスカッと青い広い空が印象的だ。エストニアの国旗🇪🇪は空、森、雪を象徴した配色になっている。

さて、タリンで見かけたストリートファニチャーについて書く前に少しタリンの冬と夏の様子に触れたのは2つの季節での環境の違いに触れたかったから。絵本に出てくる冬の国のモデルのような冬があり、暑すぎず寒すぎない快適な気分を過ごせる夏がある。長くて暗い冬が過ぎてついに夏を迎える気分がどれほど特別か想像するのは難しくない。

海の向こうに見える旧市街地のスカイライン、そして発着するフェリー

エストニアの人口は134.9万人だが、去年タリンを訪れた観光客の数は295万人を記録したという。タリンの港には大きなフェリーが毎日ひっきりなしに発着する。観光の目玉はなんと言っても中世の街並みを残した旧市街地であるが、今回紹介するストリートファニチャーはこの旧市街地の中心にある広場で見つけたもの。冬はツリーが飾られてクリスマスマーケットでにぎわうこの広場が夏には観光客が憩う場になる。

夏の広場のストリートファニチャーは花壇と一体型


写真に撮りそびれたけれど、本棚やブランコもヘキサゴンの形の中に組み込まれている。

ついに来た夏を存分に楽しむ意気込みが、このヘキサゴンの家具から伝わってくる。見ているだけで楽しくなるようなデザイン。


Noblessner Harbourのベンチはヨット型

もう一つ、タリンの国際線の発着ターミナルからは少し西の方にあるNoblessner Harbourは2010年に再開発されオープン。潜水艦工場だった建物を改修して商業施設にしたり、新しく集合住宅を建てたりしていて楽しそう。タリンで初めてヒューマンフレンドリーな計画がされた海辺空間だそうだ。

クレーンをイメージした照明がとても好き。

ここでストリートファニチャーについての面白いポッドキャストのエピソードがあるのでついでに紹介しておく。今まで私は見ているだけで楽しい人を快適にするデザインを上げてきたのだけれど、ストリートファニチャーには居心地の悪さを念頭にデザインをする例もあるというお話。このエピソードを聞くとまた街歩きが楽しくなる。エピソードの最後の部分を引用:

"Whether you think a certain form of design is exclusionary, but serves a greater good, or just hostile and offensive, it's important to be aware of the decisions that are being mode for you. Because most likely, unpleasant design is put there to make things more pleasant for someone like you."

Unpleasant Design & Hostile Urban Architecture - 99% Invisible


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