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ママ女医問題?医局問題?

40代の女医なつ🌱です。
こんにちは。

大学医局所属していましたが数年前に退局して、
現在非常勤フリーランスしています。


先週 ココ先生のポストが反響を呼んでいましたね。

ポストツリーの最後に「今泣いてる」と書いてあって、思わずおせっかいなポストしたら少しだけ私もXの炎に手をかざせました。体温まった。少し肌寒くなってきたからちょうど良かったわ。

私のポスト。

今日はこの一件から思ったことをダラダラ書いてみようと思います。


「ママ女医」の存在を問題としてる人へ。


ママ女医でXが炎上する度に思うけど、「ママ女医」ってだけで叩いてくる人いますよね。Xなんて、一緒に働いたこともない相手が前提なのに。

知らない人に急に突っかかるなんて、大体苦い経験トラウマがあるんですよね?そうでなければ、サイコパスか器の狭いやつか、ただの自己肯定感に低い性格悪いやつ。

過去、もしくは現在に仕事大量に残して平然と押し付けてくる上司のママ女医に、年次が上ってだけで毎日いびられたりしてそうですね。
そうだったらまじ可哀想だよね。時々いる、そういうママ女医。「私は子供もいるし大変なのよー」とか言って他人に自分のお尻拭かせる人。
女帝」とか言われてたりして。私も聞いたことあるし、見たこともある。最低だよね。同じママ女医として、というか、人としてまじで軽蔑する。そしてそんな人子供いない時から性格悪いよね。

嫌われる女医は女帝と呼ばれる.com


でも、意外とこういう女医さん、私の観測範囲だとそこまで多くない。個人的には、医師で男女問わず時折いるコミュケーション障害アスペルガー医者とかマウンティングお化け医者と同じくらいの出現率。あ、結構多い??

もし目の前に出現してたら不幸にもエンカウントしたキャラだから、職場変えるか、自分か相手かどちらか出向するか上長に相談した方が良いと思う。

職場のためには、臨床技術より人としてどうかしてる人がいなくなった方が良いと思うんだけど。
人が少ないマイナー、サブスペシャルな世界だと厳しいかもしれませんが。(しかし、悲しいかな、良い人から見切りをつけて去っていくことが多いこの世の中ですよね。)

「ママ女医問題」は「ママ個人の問題」ではなく、学会、医局の問題。


まあ、要は子持ちの女医さんで変な嫌なやつも確かにいるけど、それは男性医師にも等しくいるわけで、一定数の嫌な奴は置いておいて、「ママ女医」全てが「問題」「迷惑な存在」なわけないんですよ。

もし本当に「ママ女医🟰迷惑」を認めるんだったら、医師の世界ヤバすぎるし、昭和かよ?ってくらい時代遅れすぎて、一医師として咽び泣きたいよ。

結局「ママ女医問題」は、
個人の問題ではなくて、
職場の勤務環境の問題
だと思ってます。

経営側や学会制度つくる側の
「箱の問題」で、
個人の問題ではない。

同僚同士で争わないで.com

医師会がどう嫌がろうと厚生省管轄の労働環境として、医者の社会も等しく時短勤務が認められる時代なので、時短勤務者が仕事終わらず、通常勤務者に負担がかかりすぎているなら、不公平が出ないように通常勤務者のフォロー(仕事量、給与待遇などの調節)を考えるのも管理者の仕事です

個人の勤務態度の問題だったら上司が管理者として問題のある個人と面談して改善点を模索すれば良いし、上司が問題を放置して適切に動かないんなら、上司の問題、またはそういう管理者のいる職場の問題だよね。

なのに、皆すぐ「ママvsそれ以外」という同僚同士で敵対する構図になって言い争うんだけど、現場の下同士で争っても何も生まれまへんで。
禍根が生まれるだけで。

そしてママ女医だって、大抵の人は「働きたくないー!」じゃないんよ。
「すんません、、、くぅ、その時間は働けないっす。役に立てず、、すんません!」

なのよ。ママ女医アンチの人って、ママ女医に対して自分の価値観ゴリ押しの偏見すごいよ。
もうちょっと人間観察してみて。

あと、時間的に制限があり大した余白を持ってない人に、その人の大切なもの(家族や個人の考え方)を押し除けてまで、強制は良くない。これはお互い様。ママ女医は他の医師の時間を奪おうとしてない、そういう契約だから契約通り動いているだけ。他の医師の時間を奪おうとしているのは雇用者(病院側)だよね?

ママ女医に対して「当直月一回なら、オンコールだけなら、これくらいなら、どれくらいなら働けるっしょ」ってよく言ってる人いるけど、それは余計なお世話。一同僚や他人が口出して良いことじゃない。

だってその人の家庭環境(子供の年齢発達特性だったり、配偶者の勤務環境、親の育児サポート有無、介護の有無)わかんないっしょ。デリケートなプライベートなところだから、わかってても怖いし、なんや急に正義感出して首突っ込んでもだめ。個人の問題に、首突っ込んで相談する権利があるのは管理者の上司だけだよ。

自分だっていつ、自身の病気になったり、親の介護が必要になったり、職場に時短勤務や休職を申し出るかわからない。その時根掘り葉掘りプライベート聞かれたら嫌じゃない?嫌じゃない?あなたは嫌じゃなくても嫌な人はいるんだよ?

今日の誰かは明日の自分かもしれないよ?com


上記もXでポストしたら「子供産んだのは自分で選択したことでしょ?」ってきたよ。

極論で使い古された言葉すぎて笑っちゃった、かわいいね。
極論には極論返し。

それじゃ医者になったらみんな子供持っちゃいけないの?

今生まれた子供達があなたの将来を支えてくれるって、分かってる?

患者それぞれの考え方や家族背景含めて治療考えて寄り添う仕事をしているはずなのに、その視座の低さで医者やっててトラブルない?大丈夫そ?

そんなこと言ってない!キー!って怒るんだろうね。

逆に心配になるレベルだよ!com


「俺もママ女医になりたい!!」


ママ女医への風当たりの強さも問題だけど、それ以上の問題は「男性医師や子なしの先生たちの待遇」だと個人的には思ってる。

この方々が見合った報酬を受けてないから、なぜか不満の矛先がママ女医にねじれて突き刺さる。

昔、私がレジデントで大学本院で働いた時(もちろん独身小娘)に、先輩の男性医師が医局カンファで「俺もママ女医になりたいです!!」と言っていた。

後輩の立場で失礼ですが、その先輩は、色々不器用だしsmartとは言えない先生でした。しかし、いつでも誰に対してもとても優しくて人の良いところを見つけて褒めてくれる、自分ができなかった経験が多かった分、初期研修医やレジに経験談含めて優しく教えるのが上手で、初期研修医の優秀指導医ランキングにいつも名があるような先生でした。

そんな優しい先生が、子供を持って、家で育児に大変そうな妻を見て、そして器用な方じゃなかったので、大学病院の勤務時間と仕事量に限界を迎えて、上記の発言につながったんだと思います。

急に「ママ女医になりたい」は語弊があるけど、(こういうところが不器用なんだよな、、、)、「僕(男性医師)にも育休や時短勤務取得など、人生できつい時に休める働き方や権利が欲しいです。」ということだったんだと思う。

当時レジデントで入局したての私は「先輩が何や変なこと言い出した??」と本意もよく分かるわけもなく。「どうしたんだろ〜〇〇先生?ママ女医の△△先生馬鹿にしてんのかなー、争い起きないといいなあ、、、」と見当違いなこと考えてたけど、今はよくわかります。

その先生はその後大学での時短や勤務変更などは認められず、認められないなら大学本院の仕事は自分にはどうしても合わない、キャパがない、自分は家庭に時間を割きたいという旨を、当時の医局長とよく話したそうです。
(後日、本人談。)

現在は円満に移動し、今は大学医局関連の市中病院の優しいおじさん勤務医として、レジデントの教育や臨床をされています。

ママ女医問題って、結局医局の勤務環境、人事労務の問題が整ってないから起こる不公平を現場の同僚で争っているだけですよね。

特に医者同士の夫婦は、出産した瞬間にマミートラックに乗せられてしまう女医側と、逆に男性医師や独身医師の休ませてもらえない構造が顕著ですよね。


マミートラックbyCarlin

上の絵はマミートラックの風刺画です。

マミートラックとは
出産や育児休業後に職場に復帰した女性社員が、キャリアアップが遅くなる、昇進や昇格とは縁遠いキャリアコースに乗ってしまう状態を指します。

d’s JOURNALさんより


この絵を見て、いろんな人がいろんな感想があると思いますが、

私は女性側より、男性側のトラックに何も障害がないように設定されていて「障害がないなら走り切れるよね??」って無理やり走らされることが、そもそもの問題なのではないか感じます。

早くどの医局でも男性医師が育休取れたり、長時間勤務している独身医師が見合う報酬をもらうようになれば、ママ女医問題なんて対立構造なくなるのではとってます。


働き方改革、共働き時代にうまく適応する医局。


アラフォーにもなると出身の違う先生ともお知り合いになるので、いろんな医局の話を聞くことも増えます。もちろん共働き、核家族、女医が増えている時代に合わせてうまくやってる医局もあるようです。

女性が多い医局がうまくいってるわけでもなくて、医局長、教授が何度も何度も医局員の働き方について相談したり、人事労務に関して柔軟な考え方ができると良いようです。(主治医性をチーム制に変えるとか、フレックス取り入れたり、誰が休んでもできるだけスムーズに代替できるように日々準備しておく)

あとは、これは運ですが地味に中堅どころに「良い人」が多い医局も円滑に回るようですね。

いろんなハンデを抱えた勤務者が働けるように、しっかり働いている人が損をしないように、勤務環境が整えられていて、真面目で働く優しい良い人が多い。

そうなると当たり前ですが、医局の雰囲気が良くなるから、雰囲気が良い医局にはレジデントが入る。好循環。研修医って本当によく見てる、進路としてもちろん科も大事だけど、最後は医局の雰囲気を作る「人」を見て入る子も多い。

そしてその反対、労働環境が悪い、人が入らない、ますます労働環境悪くなる、精神的余裕がなく「良い人」も疲れて悪い人になってしまう、は、悪循環。どこの医局もそういう時代あったりしますよね。

良い医局になるか、地獄のような医局になるかは、もちろん科の特性や地域性もあるけど、私は医局運営側(大学経営側、教授、医局長)の考え方や、手腕が大事だと思っていて、上が現場の労働環境への理解がなければ、良い医局存続は難しいと思う。


医局を俯瞰して見る。


それで、なんで医局の運営側ってうまくいかないことが多いんだろうって、部外者として俯瞰して考えてみましたが、多分医局運営経営や人事労務に詳しい人がやってないからですよね。

ここから私個人の妄想考察です。異論は大いに認めます。

一般企業の人事課って、大きいところほど人事労務の知識が豊富で(というか勉強する仕組みがある)社労士さんの監査受けたり、勤務環境について定期的に話し合ってますよね。

大学病院って人数が多い看護師の勤務環境などは各師長が勉強して機能していると思うんですけど、医者ってどうですかね、、、。

経営人事労務の知識ある人が医局の管理者やってますかね?医局の管理者になってから勉強してますかね?私はあんまりそういう会議や勉強会見たことも医局長の先生から聞いたこともないですね。たまに厚労省の労働環境監査来る時、バレたらやばいって焦って書類上見直すのはよく聞きますけど。

医局の管理者はもちろん勤務医がなるので、経営人事労務の知識がないばかりか、雇用側運営側の考え方より一労働者の視点でしか考えられていないことが多いのも医局運営の難しい原因かも。

教授や医局長までなれた勤務医管理者の
生存者バイアスが効きすぎていて

「俺ができたからできる!」
「みんな今までどうにかなってるから大丈夫でしょ?」
「医者はこういうもんだよ!」

生存者バイアスとやりがい搾取で成り立つ医者世界.com

って考えだと、時代の変化や医局内弱者の視点を考えること難しく、弱者は必ず去っていき強者も疲弊するので、スマートな運営はなかなか難しいですよね。

学会も、医局の上の方のお偉い先生方で構成されてるので同じですよね。

学会の考える「医師の働き方」に関しては、そもそも学会運営側のバイアスが結構かかってると思うんですよ。だから学会の定義するキャリアなんて意味、、、って思っちゃう。おぉっとこれはただの悪口、やめとこ。

医局や学会運営側をけなしすぎましたが、どんなに医局員に寄り添った管理者がいても、科の特性や地域によっては、人を確保したり給与を確保したり、運営が難しいことももちろんありますよね。特に外科系は大変そう。患者さんも主治医制度好きだしね、、、。大学内でだって教授や医局の力がある程度強くないと、最終決定側の大学側と交渉できないこともあるし。

それでも諦めないで「勤務環境を整える」って、
組織運営する管理者として大事だと思うんですよね。

私はレジデントの時、同じ科の他の大学の医局より待遇(主に給与)が良かったんです。(お花畑レジデント当時は気づかず、数年後に知る。)同期や上下の先生が偶然多かったこともあるんですけど、その頃の医局長たち(2-3人とも)めちゃくちゃお金にうるさかったんです。笑。

教授はお金に興味ない医学オタクみたいな人だったんで「みんな大学で臨床と研究の時間多い方が嬉しいよね?大学でいっぱい働いて勉強したいだろうから、非常勤減らそう?!1週間ずっと大学にいよう?!」って教授が言い出したのを、毎日毎日「それじゃ医局員逃げちゃうyo!!」って話し合ってくれて、外勤先にはヤクザと呼ばれるくらい圧をかけて医局員に有利な契約をしてくれてたみたいです。

あの時の医局長たちはヤクザみたいで怖かったけど、よくひよっこたちの話も聞いてくれたし、医局員がどう思っているか不公平を感じていないか、いつもチェックしてくれていた気がします。同じような方針の医局長が、人が変わっても続いたのも良かったのかもしれない。もちろんママ女医との不和なんてなかったよ。私はママさんのカボチャの煮付け差し入れに餌付けされてた。はー、懐かしい。

医学オタクな教授も尊敬してたよ!com


医局を運営したこともない、ただ横で見ていた女医の妄想と考察ですが、大学で継続して働いているだけで尊敬の念でいっぱいなので、医局がうまく運営できて、大学の頑張っている先生方に相応しい報酬があれば、と思わずにはいられないです。

学会のお偉い先生方は、直美を阻止したり、joslerを厳しくしたり、初期研修の地方回りの話を作ったり、学会側で若い医者に色々制限を厳しくしていくより、大学の経営改善だったり、医局の医師の勤務環境改善だったりやることは他にあるんじゃないかとは思ってます。

偉そうにすんまへん。

ココ先生、悔しい思いを現在抱えるママ女医さんへ。


学会でキャリア問題について考えようとしているってことは、育児をしながらも自分の仕事と医学としっかり向き合おうとしている証拠です。

子育てしながら向き合うなんてそれだけで尊い。

私のコンサルで出会った女医の先生たちも育児しながら、大学臨床や大学院生されてる方たくさんいらっしゃいました。私は、そういう先生をめちゃくちゃ尊敬してるし応援したいです。

そして「時短勤務はキャリア外」なんて言葉は、忘れ去って良いぐらいただの暴言。気にしなくてよし!

そんなこと思ってる時短勤務経験者はほぼいないよ。ピーチクパーチクうるさいのは当事者じゃない無責任な人たち。

私は大学での仕事に一旦満足して、今は医局から離れて市中で臨床しかやっていませんし、臨床しか興味なかったので大した研究も論文も書きませんでしたが(昔の医局長ごめんなさい)、それでも最初のポスト通り、私は自分のキャリアに満足しています。

「それは自分が歩いてきた道、否定したくないからでしょ?」

え?それの何が悪いの?それでいいじゃない。
私は一生懸命生きてきた過去の自分否定する気なんかさらさらないよ。
人生そういうもんでしょ?その方が楽しいよ。

自分のキャリアなんて自分が気にしてるだけで、しっかり目の前の仕事ができていれば、他人は自分が思うよりあんまり気にしてないよ。

子供産んで時短取得しながら歯を食いしばって幼児を育てて、医局の下の子も教育して必死に臨床して頑張って働いたあの日々も、研修医レジデント生活と同じくらい、それ以上に誇らしく思っているし、あの日々があったからこそ今の仕事や臨床につながっていると思っています。

つまらない人間の評価は気にせず、
自分が誇れる道を歩けるように、応援しています。

え?ここまで来れた人いんの?
読んでくれてありがとう!!
終始偉そうにしてごめんなさい。

そしてまた自分にドン引き。書きすぎなのよ。

それではまた。




今まで自分が女医の道を歩いてきて考えた記事はこちらです。

学会にロールモデルはいないと言い切ってたりします。

私の口の悪さが好きな人はこちらの記事おすすめ。

大学医局勤めてる時のダラダラ愚痴はこちらです。

女医さんが(もしくは育児に疲れたお父さん医師)「わかるわー。」って読んでくれたら嬉しいです。

ママ女医問題アンチ派はイライラするので読まないでね!読まないでねって言ったかんね!



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もう少し詳しくはこちらの記事で書いてます。

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なつ🌱女医
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