読書記録「猫を抱いて象と泳ぐ」
小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ」
高校の時にハードカバーで読んだものを文庫でもう一度読み直し。
チェスを音楽とみたて、棋譜を「奏でる」という表現がやっぱり好きだった。
中盤の、リトルアリョーヒンとミイラの間の感情の不均等と、終盤の手紙でのチェスのやり取り。きっと彼にとってミイラはそばにいることはできないけれども、ずっと大切な、心に据える人なのだろうと思わせる描写ですよね。
時間が流れるなか、リトルアリョーヒンの大事な人たちは、かならず何か為せなかった約束を残してこの世を去る。それがとても胸を締めつけるし、彼の最後も、同じで。
綺麗な言葉で、静かかつどうしようもない世界を描き出されると、殴られたような心地になりました。
小川洋子好きだなぁ。
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