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求めあう

「あのね、授乳はお母さんと赤ちゃんのセックスって言われてるのよ。
そのうち気持ちよくなるから」

出産後、助産院での5日間の入院生活中は

私も赤ちゃんも上手く授乳ができず
おっぱいが出ているのかもわからず
岩のように硬くなり

泣きっ面の私に70代の大先生は、冒頭の言葉をかけた。


「そうなんですね」と返事をしたものの
こんなにも授乳は面倒で苦しいのか、とさえ思っていたから
意味もわからなかった。

だけど授乳にも慣れてきた頃
それが腑に落ちたのを覚えている。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

赤ちゃんが
「ほぇ〜ん、ほぇ〜ん」と
お腹が空いて泣いていた夜のこと。

私は眠っていたにも関わらず、
その泣き声を聞いて 胸がキリキリし出した。
泣き声が大きくなっていく度に 更に胸が張る。

早く吸ってほしい。

あんなにも休みたい、泣かないでほしいと思っていたのに
胸はこの子に吸われるのを 求めて求めて仕方がない。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

そんな時にあの言葉を思い出す。

「授乳はお母さんと赤ちゃんのセックスよ」

今では昔のことになってしまったけれど、
後ろからハグされたり、
優しい言葉をパートナーからかけられる度に
子宮のあたりが ぎゅいんぎゅいんと感じ
体が大好きな人を求めているあの感じを

胸が泣き声に反応したときに 一瞬にして思い出す。

大きな口を開け乳首を覆い
ごっくんごっくんと飲んでいく我が子。

自分の体からおっぱいが出ていくのを感じ
張りがなくなり、胸が楽になる。

「気持ちよくなるから」

先生の言葉が頭の中で反芻する。


セックスの気持ち良さのように
何も考えなくても、体が求め
そして気持ちよくなることも体が知っている。

愛おしくて愛おしくて
おっぱいを一生懸命飲んでいるその頬をなでた。

「あぁ、こういうことなのかな」
先生の言っていた言葉がわかったような気がした。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

人類が子を育てるのは、よくできていると思う。
何も心配しなくていい。
体の仕組みは子を産み育てることができるように
プログラミングされている。

だけど、子育てが苦に感じることもある。
それは、きっと現代の環境のせいなのかも。

どのように子を産み育てるのか、
日常の生活で見ることはない。

経験者が近くにいて
「大丈夫よ、そんな感じでいいのよ」と
声をかけてくれることも、
肩を抱きしめてくれることもない。

これでいいのだろうか?と迷いながら、
時には孤独を感じながら子育てをする。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

大丈夫、子を産み育てることは
苦労だけで語られるものではない。
妊娠、出産、子育てを快感でしかない
と感じる人たちもいるくらいだから。

そんな人たちは、辛い苦しいと感じる人と
何が違うのだろう?
そんな暮らしの中の智慧について
知って欲しい、聞いて欲しい。

きっと、あなたの人生が喜びに満ちていくから。

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お産はゴールではなく、スタートだから。
産後のことも妊娠中から一緒に考えていきたい。
妊娠中の少しの工夫で、産後母子ともに
気持ちの良い生活を始められるから。


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