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愛犬も母親も歳をとる


愛犬が今12歳。小型犬だから人間で言うと64歳になる。
10月になれば13歳になるから、68歳になる。

生活に支障はなくとも病気持ちなので、数年前に「いつどうなってもおかしくない」と先生から言われた日は母と泣いた。今では数値も安定しているし、つい先日サマーカットにした途端に身体に大きめのシコリを見つけたときは本当に不安だったけど脂肪腫だったから問題なかったし、なんだかんだ元気で嬉しい。無事に13歳の誕生日を迎えられますように。
それからは基本的に後悔しない過ごし方を!と母と決めてなるべく私が帰省したときは一緒にいようねって、犬との時間を意識しながら過ごしてきた。
外食をしても食べたらすぐ帰るし、できるだけテイクアウトして一緒の部屋で過ごせるようにしている。カフェなんかもテラス席があって一緒に連れて行けるところや、ドライズスルーが多め。

この前、SNSで「14歳のおばあちゃん犬」という私の愛犬と同じ犬種の写真を見て、驚いた。私の犬はまだ12歳だけど、比べたら全然違う見た目であんなにも「老い」を感じるようになるのか?と思った。けど、2年以内であんなに老けてしまうことが考えられないほど、今が元気いっぱい!と言うポジティブな印象と、あと2年も経たないうちにあんなにも老いてしまうのか?と言うネガティブな印象が混ざり合っている。
ただ確信したのは、私の母が日々愛犬のことを第一に考えて生活をしているおかげで、今の状況が作れていると言うこと。
・朝夕ごはんの時間を守る
・足腰が生まれつき弱いので、雨じゃない限りは少しでも必ずお散歩にいく
・お散歩中、足の負担になる段差は必ず抱っこする
・お散歩の時間帯も、犬がしんどくないように気温を気にして季節ごと調整
・太り過ぎはダメだけど、必要以上におやつを我慢させない(食べることが1番好きな子なので)
・夏は扇風機、冬はストーブ。自分よりも犬が心地よく過ごせるように配置している
・雨でお散歩ができない日は、家の中でたくさん遊ぶ
・お昼に寝ている時間が長くなった今は、着信音やテレビの音に気をつけて生活している
・出かけても、お散歩やごはんの時間に合わせて必ず帰宅する
・ペットホテルもストレスになるから(神経質な犬なので)できるだけ外泊はしない

最近は病院とシャンプーの日を分けて、なるべく身体に負担をかけ過ぎないようにしている。母からその提案がなかったら、私はそれが負担になっていることに気がつけなかったと思う。
小さいことまで書き出したら書ききれないくらい、母は基本的に愛犬ファースト。だからか、年々愛犬の顔つきがどんどん良くなっている気がする。
愛情をたくさんもらっているような顔になってきていて、帰省するたびに母の過ごし方を見るたびに納得する。

最初は私が高校生の時にお年玉で買った犬だった。「動物(命)の世話をする」と言うことが全く理解できていなかった私は、大して世話をせずに遊んでばかりいた気がする。それでよく母に怒られていた。今でも母はぐちぐち言いながらも「あんたが買った犬」と言う。確かに私が「この子を飼いたい」と言わなければウチに来ることもなかっただろうけど、母の力なしではこの子が今、こんなにもいい顔をしていることはなかっただろうと思う。この歳になるまでそういうことを理解できなくて情けない気持ちと、ずーーっとぐちぐち言いながらも実家でずっとこの子を育ててくれた母へ感謝している気持ちが交互にやってくる。

父と母が離婚した時、もう一匹犬を飼っていた。それは母が選んで飼った犬。離婚した時、流石に一匹しか連れて行けない。と判断した母は自分の犬を父の元へ置いたまま、私が買った今の愛犬を連れてきてくれた。
離婚したばかりの頃は私は一人暮らしをしていたし、両親の事情よりも自分のバイトや学校生活や就活など、自分のことばかりで母には甘えっぱなしだったこともあって、その時の母の気持ちなんて全然考えもしなかった。「この子を連れてきてくれてありがとう」の一言も言った記憶がない。
父の元へ置いてきた子は、4年前に亡くなっていた。当時近所に住んでいた方と偶然会った母が聞いたらしい。いつか父が不在の時間を狙って一度くらい見に行こうか。なんて話していたけど、間に合わなかった。亡くなったことを母から電話で聞いたとき、なんとも言えない気持ちになったのをよく覚えている。1番辛いのは母だろうけど、私も辛いなんて同調する資格がない気がしたから。しばらくしてから母は「今の子の最期には、後悔しないようにしようね。私たちにできることはそれしかないと思う」と言っていた。だからその分、いつ何が起きて、いきなり今までの当たり前が取り上げれても、辛くて悲しくても後悔はないよね。と言い合えるように過ごしたいと思っている。私は市外に住んでいるから月に1度しか帰省していないけど、その分、一緒に過ごす時間を大切にし続けたい。

なんて言いながらも、母も母で歳をとっている。身体がまだピンピンしているうちにもっとどこか連れて行ってあげたい気持ちもあるから難しい。
特別な思い出として旅行や遠出にこだわり過ぎなくても、愛犬と3人で日常の積み重ねを大切にすることも大切なのかもしれない。また今度、このことを母に話して聞いてみよう。子供に気を遣って本心は教えてくれないかもしれないけど。私が「〜だろう」と思い込んでいるだけは1番良くない気がした。

愛犬に対しての母を見ていると、私をどうやって育ててくれたのかも想像ができた。私はまだ子供がいないから、母の気持ちまでは分からないけど。きっと母なりにいろんなことを抱えながら何よりもまっすぐ私を見てきてくれたんだと思う。複雑な過去もたくさんある分、他の人より大変なことが多かっただろうから、私には理解できない言動が多くていまだに喧嘩もするけど。一緒に過ごせる時間を大切にしよう。まだ身体がピンピン元気なうちに出掛けたり喧嘩したりもっといろんなことを本心で話せるようになりたい。少しずつ、過去の溝とかしこりが取れて行けばいいな。


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