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さよならの痛み

手を繋ぎながら、長い旅をおえて、それじゃあねと、雑踏の中に消えていく背中。それを見守るわたしの胸は、きゅう、と小さく締め付けられた。

それを、かなしさと呼ぶのも不自然で、さみしいと呼ぶのもなんだかしっくりこなくて。ああ、これは、「次に会うときまで、どうか無事でいてという、願いのようなものだ。」

自分の力が及ばない大きな流れにのみこまれてしまわないように。どうか手の中からすり抜けてしまわないように。

小さな「さよなら」の痛みを繰り返したい。そうすれば、本当のさよならのときに、きっと自分自身を保つことができるだろうから。


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