グラナージ~機械仕掛けのメモリー~#18
第18話「三匹の機械虫」
文字数 1,360文字
ノームとは、メル・マナの地下に住むこびとのことだ。
いや、こびとには謎が多い。アル・マナの地下にもいるかもしれない。
いずれにしても、こびとは手先が器用で、何でも作ることが出来た。
グラナージ・アヌム(メル・マナの図書館)の鍵は、アルとメルが作った。しかし、メルがいない状態では、アル一人では作れないのだ。
そこで、アルはノームに頼むことにした。それも、「鍵作りのノーム」に。鍵作りの専門家のノームのことだ。
テントウは、アルの命令を聞き、機械虫たちに協力を仰いだ。
カエルとクモ、ヤママユガの三匹はすぐにやって来た。
緑色のカエルと、灰色のクモ、そして太い茶色の体に、茶色の羽の真ん中に目玉のような模様がついたヤママユガ。カエルとクモは、テントウと同じくらいの大きさだが、ヤママユガは、それより少し大きかった。
「いやあああ!!」
ハルカは怖がって大声を上げた。
「ヤママユちゃんのふさふさした触角は可愛いけどー、ちょーっとその羽ちゃんは…ビックリしちゃうかなー?」
苦笑いしながら、ナツキが言った。
男子二人は平気な顔をしているように見えたが、アキトの顔は少し青ざめていた。
「ああ、これね。今隠すから。」
ヤママユガは、羽を畳んだ。すると、太い体だけの姿になり、芋虫みたいになった。
「これでどうかな?」
「うーん…。怖くはないけど…。」
「ヤママユガをそんなに嫌うなよ。いい奴なんだ。まあ、怒らせるとマジ怖いけどな。」
テントウが言った。
「嫌ってるわけじゃないの。ただちょっと…苦手というか…。でも、羽を隠せばそうでもないかも。ごめんなさい、ヤママユガさん。」
ハルカは謝った。
「いや、大丈夫。慣れてるから。平気平気。」
ヤママユガは笑ってみせた。
「ノームって、こびとってことは、小さいの?」
「ああ。俺たちよりも小さいんだ、あいつら。それでも悪知恵の塊で。ヤママユガの羽で脅さないと絶対言う事を聞かないからな。」
「それもかわいそうじゃない?」
「ハルカは本当に優しいな。ノームはそんなにヤワな奴らじゃないんだ。地下に暮らしてるくらいだからな。タフだし頭も切れるし働き者だ。だが、金には汚い。今回のことだって、普通に交渉したらいくら請求されるか分かったものじゃない。だが、アル様の命令と聞けば話は違ってくるかもしれないし、更にヤママユガの脅しがあれば、いくらあいつらでも、言う事を聞いてくれるに違いない。」
「うーむ。金か…。金はメルが管理してるんだ。私は…今月の服代を我慢すれば少しはなんとかなるかもしれないが…。すまん。」
「アル様はそんなことを気にせずとも。大丈夫です。お任せ下さい!」
テントウは張り切っていた。
そして、早速地下のノームに会いに行くことになった。
地下へは、セーブポイントでは行けない。
そこへ通じる秘密の穴がメトロポリスの南側にある。
テントウは、道にあったマンホールを開けた。
「ここから地下へ行けるんだ。」
マンホールから下へ向かって梯子が伸びていた。
四人と子供竜のアカリ、それに機械虫たちは梯子を降りて、地下通路に到着した。
アカリが、尻尾の先に火を灯して、それが明かりになって、暗い道を照らし出した。
「いいぞ。アカリ。これで進みやすくなったな。」
テントウが先を行った。あとから皆ついて行った。