0時9分
はじめてばかりなデートだった。
忘れないための形容詞としてのはじめてではなく、事実として初めてな経験だった。
こんなにも会話を楽しみながらデートをしたことがなかったきがする。
相手の話に合わせて「うんうん」「へー」「そうなんだ」「それから?」をいれて、私の話はスルー。それが当たり前だった。
歩くスピードが違ったりスマホばっかりだったり同じ時間同じ場所の共有が中途半端だった。
あなたは私の歩くスピードに合わせて隣を歩いてくれて、私の話を受け止めてちゃんとラリーを返してくれる。(しかも温度感が一緒)当たり前なことに見えるけどとても気を使ってくれていたと思う。
家で一人今日を思い返して私に向けてくれたたくさんの気遣いを思いやりに対して感謝じゃなくて謝罪を述べてしまいそうになる。
きっとそんなの望んでないよな。
だめだめな私を洗い流すように片づけを始めた。物も、人も。
いつか胸を張ってあなたの隣を歩けたらいいな。
でも、今は少しでも長くあなたの近くにいる方法を考えてしまう。