理想と妄想をプラスする、SNSのファンの世界
彼女はとてもモテる人だった。
あっさりとした性格で、美人で、センスもよかった。いつも笑ってた。ちょっとへらへらもしてた。
彼女はたくさんの人に愛されていて、私も彼女の魅力にひかれる1人。
彼女は既婚者だったけど、まわりはそんなことも全く関係なかった。人妻だろうと、好きになってしまう人は好きになってしまう。
共通の知人がある時「ゆうさんって既婚者だったよなぁ?ゆうさんと結婚するにはどうしたらいいんだ!」と私にうったえてきたことがある。
「知らねぇよ!」
といいながら、モテる人はどういう立場になってもモテるもんなんだなとモテない独身の私は思ったものだ。
(ちなみに彼女は家族をとても大切にしている人だったので誰も相手にされていない)
いつだったか、彼女と2人でお酒を飲む機会があった時のこと。
「私もゆうさんみたいなモテたいなぁ」
と、私は彼女にそう話した。
「モテたい?モテたいって、どういう風にモテたいの?」
彼女からは意外な返事が返ってきた。
どういう風にモテたいのか?
モテたいなー、と言いつつ、どうモテたいのかなんて考えたこともなかった。
私は「うーん」と少し想像してみた。
正直言って、別に恋愛対象としてあっちからこっちからじゃんじゃん好かれたいとは思わない。
でも、モテたい、という感情。
「あ、私、ファンがほしいんです」
ひらめいたように、私は答えた。
彼女と話したあの日からもう15年以上経つのかな。
「ファンがほしい。」
最近SNSを日常的にするようになったせいか、あの日の自分のセリフをふと思い出した。
SNSの世界はファンができやすいし、自分もまたファンになりやすい。
近いようで近くない、遠いようで遠くないSNSの世界は、うっすら妄想と理想をプラスして相手を見てしまう傾向がある。
もしかしたら、あの時ほしかった私のファンになってくれる人が、自分が思ってる以上にあらわれることも夢じゃないのかも。
あわい夢をいだいて、今日もまた文字を書いてみよう。
書いた人(絵と文)
なつめももこ/webライター、管理栄養士
noteには私の日常、過去のこと、考えていることをゆるゆると綴っています。
今日ものんびりと、どうぞ。
Twitterもやってます。