かろやかなステップで人生を、ドラムとともに
ピアノ、ギター、キーボード…、音楽をやっている人は多い。
私もドラムをやって10年以上経った。
バンドをやりたいとか、そもそも音楽が好きとか、その楽器に興味があった、とか。
音楽を始めるきっかけは人それぞれ。
私がドラムを始めたきっかけはちょっと変わってるようだ。今日は、そのお話を。
ドラマー誕生の瞬間
10数年前の私は考えていた。
なんだか、人生のステップが狂っている。どんくさく、いつもつまずくような気がする。
もっと小気味よく、リズミカルに人生のステップを歩めないものか。
「あ、そうか、リズム感か!ドラムをやってみよう!」
それが、ドラマーになったきっかけだ。
私はすぐに音楽教室に連絡をし、気に入った先生の教室に申し込んだ。自宅に、電子ドラムもやってきた(偶然が重なって、タダでもらった)。
へたくそなりに、練習する日々が始まった。
自宅に電子ドラムがあるせいで、引っ越しの時には気を使った。
下に住人がいない1階がいいけど、防犯上2階以上がいいなぁ…と、いつもそんな要望を不動産屋に伝えていたものだ。
ある時、紹介される物件に移動する車の中で不動産屋の営業に「なんでドラムやってるんですか」と聞かれた。
「人生のテンポを良くしたいから」
そう答えると、彼は「僕の知り合いにドラマーいますけど、そんなに人生のテンポ良くないっすよ。」と笑われた。
そりゃそうだろ、と私は思ったけど言わなかった。
例えば、人は毎日、何かしらで字を書くけど、毎日書こうが汚い人は汚い。
「きれいに書こう」そう思わなけりゃ上達もしない。
「ドン、タ!ドン、タ!のリズムでステップ踏んで人生を歩んでみよう!」
と思っていなけりゃ、ドラマーだろうがそりゃどんくさいままだ。
音にはその人のこころが表れる
ドラムに限らず、楽器はその時の自分をよく表してると思う。
先生から指摘される度に、痛感した。
「頭で考えすぎて、身体が動いてない。」
と言われた時は、何かに悩んで考え事ばかりして行動できていない時と重なる。
「諦めようとしてない?うまく叩けそうになくても右手だけでも続けろ。」
と言われた時は、ものごとを全部うまく進めようとしすぎて逆に立ち止まってる時と重なる。
ドラムをとおして私はその時その時の自分を客観視できたものだ。
いつだったか、ドラムの先生に「人生のテンポを良くしたいからドラムを始めた」と伝えたことがある。
ゴリゴリのバンドマンの先生には「何言ってるの?」と否定されるかと思った。
けれど彼は「いいやん!」と即答で答えてくれた。
ずっと私のドラムを見ててくれた先生にそう言われた時、自分が選んだことが間違ってないと肯定されたようでとても嬉しかった。
そんな日は、レッスンの帰りの足取りも軽い。
リズミカル。
あ、やっぱりドラムやって、人生のステップがうまくなってる。
うんうん、と私はうなずいていた。
書いた人(絵と文)
なつめももこ/webライター、管理栄養士
noteには私の日常、過去のこと、考えていることをゆるゆると綴っています。
今日ものんびりと、どうぞ。
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