妄想のはじまり③
家に帰ると誰もいない。
母は私が小さい頃に離婚しており、それ以降母の実家で暮らしている。実家には祖父母と母の妹である叔母さんも一緒に住んでおり、日中はみんな仕事で家を空ける事が多い。
母は個人事業主として在宅でIT系(3Dのキャラクターを作っている)の仕事をしているので、基本的にはずっと家にいる。本人も外出するよりも家に引きこもっている方が好きだと公言しており、買い物や家族で出かけるとき以外は大体家にいるのだ。なので家に私一人になることは珍しい。
(母さんは買い物かな?)
今がチャンスと自分の部屋に駆け込み、友達から借りたエロ本を片手に自分の欲望に対峙する。
自分好みだと思った本を片手に行為にふけるものの、この日は何故か物足りなく感じてあと一歩で冷めてしまう。
『ひょっとして家族にバレないようにするのに興奮してたのか?』なんてことを真剣に考えてしまうくらいこの時は気分が盛り上がらなかった。
そして友達に強引に押し付けられた熟女物の本に恐る恐る手を伸ばす。
(うぇ。。。。やっぱりオバサンじゃん・・・・)
友達が言っていたように、私が今まで見てきた本の中では断トツにエロいのだが、そのビジュアルにどうしても興奮することができない・・・・
(こりゃダメだな💦)
そう思った矢先、ページをめくる手が止まった。
『激白!!決して許されない禁断の愛』
激白や禁断という言葉に釣られたのか、今まで気にも留めていなかった白黒のページに目が留まる。
中身は母親が自分の息子と禁断の関係になったことを告白していく特集記事のようであり体験談のような内容だった。
何故かそのページを引き込まれるように読んでいた。
文字が多めで白黒のみのページ。ところどころに白黒の写真が散りばめられ、その1つ1つがやたらとリアル感を出してくる。
このページを見た私の興奮はそれまで経験したことがないほどの高まりをみせた。一体それまでのもどかしさは何だったのか?
自分自身が物凄く高揚しているのがわかる。そして最後の瞬間、決して想像してはいけない人を想像して果ててしまった。
本の写真とは似ても似つかぬ自分自身の母を。
そのあとは自分自身への嫌悪感と罪悪感で気持ち悪くなったのを覚えている。決して想像してはいけない人なのに。。。。
頭ではそう思うのだが、過去に経験のないほどの興奮を味わってしまったことにも気付いていた。自分の中の理性や常識と現実のギャップにしばらく苦悩することになった。
結局この本の特集記事は私の一番の興奮材料となり、スマホで撮ってバレないようにその後も何度も利用させてもらった。そのたびに母を想像してしまったのは言うまでもないだろう。