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いまさら『52ヘルツのクジラたち』を語る

昨年の今頃に原作である小説読んだときから、こんなにも心をえぐられるような物語があるのかと感じたのを覚えています。トランスジェンダーやヤングケアラーの問題提起のようにも取れる作品ではあります。しかし、私は作品の根本にある「魂の番」が一番心に残っていました。実写映画を見た感想も「魂の番」を根本にあるけど心がえぐられるそんな気持ちになれたのが変な話嬉しかったのです。

ある方の映画の感想に「トランスジェンダーの話だった」と書かれてしまうのに寂しさを感じました。キナコと少年ムシの物語であり、アンさんは物語にスパイスを与えるような存在だと私は思っています。なのでアンさんがメインではないです。もちろん、キナコを語る上でアンさんの存在は大きいですが、それでも「トランスジェンダー」というカテゴリに入れて欲しくないというのが本音です。

私は『52ヘルツのクジラたち』は枠にとらわれることのない愛の物語であると思っています。小説も映画もその世界に触れあえあば心がえぐられていくなかにも希望が見えるような、これからも頑張れる勇気をもらえるような作品であると確信を持って言えます。
読んでみてほしいや映画をみて欲しいを大にして言えないのがこの作品の訴えるものの大きさでもあります。実際に当事者として生きている方々が傷つかないようにを監督・役者さん方の配慮をパンフレットや舞台挨拶からも感じ取れました。だからこそイメージが崩れない実写だったんだと思います。

この作品に出会えたとき、私はキナコとアンさんの関係性に羨ましさを感じ、アンさんの懐の深さや抱えているものの大きさに好きな人物でした。そんな人物を演じるのはどんな役者でも無理だろうというのが観る前に持っていた考えでした。しかし、アンさんの理解をし尽くしてくれていた志尊淳さんは本当にすごいと思いました。キナコ役の杉咲花さんもここまで投影してくれるのかと。

映画を見て、書籍を読んだ時のような気持ちになれたのもこの二方をはじめとする役者さんのおかげであると感じつつ、制作スタッフさんに感謝してもしきれません。

『52ヘルツのクジラたち』の世界に触れあえたら、身近な人に優しくしようや、もしかしたら何か助けてと叫んでいないかと気をつけるようになりました。手を差し伸べられる人の強さと背景にある弱さをこの作品で学べたような気がします。

最後まで読んでくださりありがとうございました。また読んでくださると嬉しいです。


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