1分短編「君の名前」

#1 「君の名前」

そこにぽつんと在る椿を見つけた。
「ねぇ、椿。君は美しいね」
真白の花弁に雄蕊の黄色が映えている。
「何にも染まらない凛とした白。僕とは大違い」
言葉に流され本当の自分がどこにいるのかわからない僕が椿を見る視線は羨ましげだっただろう。
「貴方の心は魅力のある白」
椿はそう答えた。
「誰の目にもとまらなかった私を見つけた貴方はとても純粋で美しいはず。心の声をよく聞いて」
「心の声……。僕に聞こえるだろうか……」
椿は自信満々に花弁を揺する。
「貴方ならもちろんできるようになる。それまで私と練習をしたらいい」
「こんな僕に付き合ってくれるの」
「貴方が私に見合う美しい名前をつけてくれるなら」
「君の名前は……」

「愛彩凛」


100本ノック1本目。
数年ぶりの物書きなので、拙いし読みづらいと思いますが、ご容赦ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?