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ガバナンスについて考える~オンラインマーケットにおける製品の安全性を支える仕組み~①


オンラインマーケットにおける製品の安全性を支える仕組みについては「イノベーションガバナンスエキスパート養成プログラム」でも大きなトピックの一つでした。私、「ネットショッピングが大好きなコンサルタント」が当時の模様を会話形式で振り返ってみます。

受講生1(敏腕さん):オンラインマーケット運営企業の敏腕社員
受講生2(買い物好き):ネットショッピングが大好きなコンサルタント

敏腕さん:オンラインマーケットにこそ”ガバナンス”が必要だということを強く物申したい!

買い物好き:??どういうことですか??毎日のようにネットで買い物しているので凄く気になります・・・・。

敏腕さん:最近のデジタル化の流れとコロナ禍の影響で、オンラインマーケットはどんどん多様化し、拡大しているんですが、さまざまな課題も抱えています。特に、利益を狙って劣悪な商品を故意に販売する人も増えてきてしまうという問題は、場合によっては消費者の生命を脅かすような事故につながることにもなりかねず、とても深刻だと感じています。

買い物好き:たしかにオンラインマーケットにはものすごくたくさんのショップがあり、中にはそういう悪い人もいそうですね。

敏腕さん:オンラインマーケットの販売形態にもいろいろありますが、商品を販売したい事業者とそれを購入したい消費者の売買を、アマゾンや楽天などオンラインマーケット企業が仲介するかたちになるオンラインモール型というのがあります。このオンラインモール型では、そういう質の悪い販売者に対応するための仕組みが実際のところ不完全で、先ほどの問題に対処しきれていないと指摘されているのが現状です。仲介しているオンラインマーケット企業の実際の負担が重すぎるんです。

買い物好き:そんなことまったく気にも留めずに買い物してました。

敏腕さん:オンラインモール型の場合、基本はオンラインマーケット企業は仲介する役割で、劣悪な商品が販売された場合には、当然販売者や製造者などに責任がかかり、実際にはオンラインマーケット企業には出品製品の製品安全に関する法律上の義務は課されていないんです。ただ、オンラインマーケット企業の名のもとに一定の信頼をおいて購入を判断する場合があるというインターネット取引の特性から、出品される製品の安全性についても一定の道義的責任をオンラインマーケット企業が社会から期待されているということもあり、皆さんがすぐ名前を思いつくようなオンラインマーケット企業は製品安全のために各社ものすごい努力をしているんです。ただ、それにも限界があって、オンラインマーケットで販売される製品の数はとてつもなく多く、劣悪な商品の販売手口も巧妙な場合があるので、安全性を全て確かめて対応するというのは、どんなに大きなオンラインマーケット企業でもやり切れることではないんです。

買い物好き:私は購入時に評価とか口コミとか見ますが、それでも劣悪な商品を買ったらオンラインマーケット企業がなんとかしてくれるのではないかと期待してしまっていたところがありました。

敏腕さん:オンラインマーケット企業は大きな会社が多いですし、購入する人は当然そう思いますよね。実際に、出品製品についてもその製品に不備があれば返金・再送などの補償サービスを提供している企業もあります。しかし、残念ながら、オンラインマーケット企業がどんなに頑張っても、その対策の網をかいくぐって、粗悪な製品が売買されてしまうこともあります。

買い物好き:そういえば、買って楽しみにしていたら、壊れている製品が届いたこともありました。

敏腕さん:製品安全のためにどうしたらよいか色々と頭を悩ませながら毎日仕事をしていると思う時があります。私たちだけではなく社会全体で協力して、質の悪い販売者をオンラインマーケット市場から締め出す仕組みが作れれば皆がハッピーなのではないかと。そういう意味で、オンラインマーケット市場を社会全体で支えていく、大きな意味での”ガバナンス”が必要だと思うんです。

焦る買い物好き:なるほど・・・確かに運営される方たちだけでなく、社会全体で協力したらそういうことも可能かもしれませんね!

敏腕さん:オンラインマーケットにおける製品安全の在り方については、官庁をはじめとしていろいろなところで議論がされていて、それでも抜本的な解決には至っていません。ネットショッピングがお好きな方ならこの問題の重要性も理解いただけると思うので、いろいろ話し合ってみませんか。

買い物好き:承知しました!

(②に続く・・・・)


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