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エピソード4「救世主」

それは、突然の出会いだった。孤独な生活に、救世主が現れた。


母は、車でよく音楽を流していた。車に乗っていた私も、当然ながらその音楽を聴いていた。母は音楽を広く浅く聴く人で、車で出かける度に、違うCDを流していた。

そんなある日、とある音楽を聴いていると、私は今までにない感覚を味わった。魂が突き動かされるような、心に火がつくような、そんな快感だった。


それは、ロックだった。


ほとばしるエレキギターの音、ボーカルの魂のシャウト、軽快なビート、ノリノリのグルーヴ。私はそれらに魅入られ、たちまちロックが大好きになった。

それから、生前の父に買ってもらっていたラジカセで、私は日常的にロックを聴くようになった。いつ聴いても、ロックは私の魂を揺さぶった。幼いながら、私は一人、ロックに熱中していった。

ロックは私の友達だった。現実世界に友達がいない私の、唯一の友達だった。そして、現実世界での寂しさを埋めてくれる、救世主でもあった。

今思えば、それが私の音楽愛の始まりだった。音楽は、孤独の寂しさをいつだって埋めてくれた。今だって、一人で家に籠りっきりになる生活の中で、音楽は心を羽ばたかせてくれる。私が見捨てない限り、音楽はいつも私の友達でいてくれる。こうして、私は音楽の大親友になった。


「いつでも背中を押してくれる、頼れるヒーロー」それが、私のロックに対するイメージだ。

ロックがそばにいてくれるなら、私はどうにか生きていけるかもしれない。

その音楽は、孤独に苦しんでいた10歳の私に、生きる希望を与えた。ここから私の、音楽と共に生きる日々が始まった。


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