エピソード9.5「嫌いなゲーム」
私は、小学校生活を一人で過ごしていた。
しかし、そんな私でも、人と関わらなければいけない時間があった。
たとえば、体育の時間。クラス全員で、スポーツをしたり、ゲームをしたりする。「一人ぼっちなのでできません」とはとても言えないので、私も当然参加する。
私は、いつかの体育の授業で行った、とあるゲームが大嫌いだ。
それは、クラス全員で行い、先生が指定した人数で、各自グループを作り、グループが定員に達したらその人たちで輪を作り、「アウトー!」と皆で叫んでその場に座る、というものだ。
私は、このゲームになぞって、こんな妄想をしてしまう。
私が小学生だった時、私の学年は56人で構成されていた。
そのゲームのように、学年全員の中で、「55人」のグループがそこに作られ、私以外の全員がみんなで輪を作って「アウトー!」と叫んで座っていて、私はもう、その輪の中には入れてもらえない。私は一人、その大きな輪をうらやましそうに見つめながら立ち尽くしている。そんな妄想をしてしまう。
私はもう、アウトなのだ。
そこはもう、定員オーバーなのだ。
私はもう、必要とされないのだ。
私はもう、邪魔なのだ。
そんな妄想をしてしまう。