File2.アツさと繊細さで周りを巻き込む台風の目、ゆうたろうさん
ゆうたろうさん
マッサージ師として働きながら、 イベントのオーガナイザー・ DJ・ Poppingダンサーなど様々な姿を持つ、台風の目のような人。
彼について書くのは非常に難しい。
何せ、どれだけ話を聞いても、彼という人間がつかめた気がしない。
引き出しの多さというより、まるで、開けるたびに違うものが入っている、ドラえもんのポケットのような感じ。
「え?この前ここの引き出しにこれ入ってたよね?なんか増えてない?中身変わってない?」と言いたくなるような様な人。
でも今の私に書けるだけ、今の私が思うゆうたろうさんの魅力を文章にしたいと思う。
まずは彼を語る上で必要な、彼の肩書の話をしたい。
DJとしてクラブやイベントに出る一方で、Poppingダンサーとして自身もダンスを楽しむ彼。
数年前、もともと好きだった音楽から、何か趣味にできる物はないかと探して、DJを教わったことからスタート。
クラブやイベントでDJをしているうちに、そこで踊られているダンスにも興味が向き、そこからダンスの世界へ。
最初に手を出したHip-hopはしっくり来なかったらしいが、その後友人にすすすめられたPoppingというダンスは、彼の感覚を刺激しすぐにハマったらしい。
ダンスをよく知らなかった私には馴染みがなく、初めて聞いたこのPoppingというジャンルのダンス。イメージとしてざっくり伝えるなら、ロボットダンスに近いと言えば想像してもらいやすいだろうか。
簡単に言えば、身体の筋肉と関節を自由自在に使いこなし、人間離れした動きで見る人を魅了する不思議なダンス。
(動画が載せられればいいのだが、写真しか載せられないため、何も知らない素人の浅はかな解釈しか出来なくて申し訳ない、、)
カナダのワーホリ時代に教わったというPoppingを、7年たった今でも、周りのダンサーたちから日々刺激を受けながら、独学で続けている。
メルボルンではバスキングという、パーミッションを得た者が投げ銭をもらいながら路上でパフォーマンスをしたり、物を売ったりする文化が定着しており、彼もバスカーの一人で、天気のいい空き時間には、ダンサー仲間とともにバスキングを楽しんでいる。
彼が仕事にしているマッサージでは、全身の筋肉や関節の仕組みを理解すること、何よりマッサージ師自身が、手だけではなく全身を使って施術をすることが重要となる。
先にダンスで感覚的に身体の使い方を学んでいた彼は、マッサージのコツをつかむのも早かったらしい。
今年からダンサー仲間の勧めで始めたマッサージは、自宅にマッサージテーブルを買うほどになっていて、空き時間で友人からの依頼を受け、個人マッサージができる環境を作っている。
今はリラックスの為のマッサージだけしか行っていないが、いずれは身体異常の治療・改善などのマッサージも勉強していきたいと考えているという。
そしてイベントのオーガナイズについて。
そもそもは、パーティーがしたい、自分がDJとして楽しめる場所を自分で作りたい、という想いから、友人らの協力を得て動き出したという。
「Japan Night」と名付けられ、1,2か月に1度、メルボルンのシティー内のクラブを貸し切って定期的に開催されるこのイベント。
ダンサーだけでなく、ペインターやシンガーなど幅広く、メルボルンで活躍する様々なアーティストをゲストとして招き、初回にして150人を集客するイベントとなった。
ここまではまだ彼の肩書。彼の魅力はまだまだこれから。
私が彼を最初に知ったのは2018年5月、メルボルンの日本人留学生を中心とした、あるバスケットボールのコミュニティ。
彼は、一回会っただけで印象に残る、とても独特な雰囲気を持つ人だった。
私はバスケの経験も知識も全くなかったが、彼のバスケはリズムが周りと違うように感じた。
それが、彼のバスケの技術からくるものなのか、彼の人間性や雰囲気から感じられるものなのかは、素人の私にはわからなかったが、
周りの人が一歩ずつ確実に歩いている間をスルスルと泳ぐ魚みたいに。彼一人だけ、違う次元の中にいるみたいに。規則正しく決まった振付じゃなく、突然かかった曲に合わせて踊るフリースタイルのダンスみたいに。
そんな、つかめない、でも見ていてとても楽しい、パフォーマンスのようなバスケをする人。
それが私が彼に抱いた最初の印象だった。
だがそれだけではなかった。
さらなる彼の魅力は、人を巻き込んでいく力。
だれでも分け経てなく付き合っていけるのは彼の魅力だと思う。
もちろん彼の中にも、仲のいい人や気心の知れた人という枠は存在するだろう。
でも彼は、全く知らない人にもどんどん興味を持ち、話かける。彼自身が取り繕わない自然体で絡んでいくので、話掛けられた側も、少し圧倒されつつも、彼の無害感を感じて、つい、いつも初対面の人を前にすると被ってしまうような皮を脱いで話してしまう、そんな親しみやすさがある。
そして、彼は人と人をつなげる。
「この人、おもしろい。おれ、すきです。紹介します。」
と、彼と居るといろんな人を紹介される。
彼の話には色んな人の名前が出てくる。
彼の持つ独特なリズムが、人を楽しくさせる。
人に合わせて徐々にコミュニケーションをはかっていくというより、彼の周りにいる人たちがみんな、どんどん彼のリズムに飲み込まれ、巻き込まれていくような感じ。
まさに真ん中は陽気な晴れ間、周りの雲をどんどん巻き込んで行く台風の目のような人である。
彼を知る人に、彼のイメージを問えば、
面白い人・変わった人
なんて答えがかえって来るだろう。
私も例外なくそう思っていた。
でも、彼を知れば知るほど、それだけじゃない、と感じる。
彼は、掘れば掘るほど、新たな一面がどんどん出てくる。
彼はハマるととことん熱中して突き詰める。
何に対しても”アツい”。
「ダメです。」「まだまだです。」「もっと練習します」
これらは彼からよく送られてくるメッセージ。
ダンスやバスケ、イベントのオーガナイズなど、とことん熱中する一方で、何度も首をかしげ、「なんか違う」「もっと、こう、、」
と言葉にならない自分の中の目標や欲求と常に向き合っている。
全力で楽しむために、自分と向き合い、向上心を持ち、周りを見て刺激を受けては触発され、それをモチベーションに変えて、また自分と向き合っていく。
「大人」になるにつれて徐々に少なく、難しくなっていく、何かに真剣に取り組むとか、とことん熱中するという意欲。
この意欲を何に対しても持ち、やりたいことに真剣に向き合って取り組める彼の”アツさ”こそ、周りの人が彼に抱く、面白い、変わっていると思う根源だと思う。
一方で、彼と話しをするにつれて見えてきた、アツさの裏側にある魅力的な一面。
彼がもつ様々な引き出しの中で、私が一番魅力を感じる部分。
こんな風に一見堂々としていて、存在感をもつ彼から、私は不器用さと繊細さを感じたのだ。
先述した彼の、「まだまだ」「もっとこう、」と自分の中の目標や理想と向き合う様子からもわかるように、突っ走りながらも、周りをみて、自分の振る舞いや、周りの様子を確かめるような一面がある。
Japan Night のオーガナイズにおいても、やりたいこと、招きたいパフォーマー、イベントの構成などとことん熱を持って作り込みながら、スタッフの動き、パフォーマーへの配慮、参加者の様子など細かなところへも目を向け、イベントが終わる度に反省を繰り返しながら、常に、周りの人たちがどう感じているかを考えている。
イベントのオーガナイザーという立場であれば、そうあるべきなのかもしれないが、実際にそれをできるかどうかは別問題。
特にJapanNightのように、大きな会社がバックについているわけではなく、一個人が企画しているイベントの場合、すべて理想的な状態でイベントができるとは限らない。受け入れてくれる場所や、パフォーマー、来てくれる参加者など、周りの環境に対して向けるべき感謝は非常に大きい。
2回3回とイベントを重ねても驕り高ぶることなく、理想と現実を照らし合わせながら、反省や試行錯誤を重ねていくことを、しっかりしている彼。
これはバスケやダンスにおいても同じで、決して言葉巧みに、その反省点と向き合った上で生まれる不安を口にするわけではないけれど、言葉にならない思いを彼自身の中で何とか咀嚼して、それを解消する為にまたモチベーションを上げて向上を目指していく。
この、周りや自分の行動を振り返り、臆病なまでに反省点と向き合うことのできる繊細さがあるからこそ、彼の向上心や周りを巻き込むほどの”アツさ”が生まれ、彼という人間の魅力が光るのだと思う。
File2:ぶんごゆうたろう
自身の持つ独特なリズムと、何事にも真剣に向き合う”アツさ”と繊細さで自然と周りを巻き込む、台風の目のような人。
これからも、開けるたびに違う引き出しから、どんな魅力が出てくるのか楽しみ。
聞けば聞くほど深みにはまっていくようなゆうたろうさんを書くのは、ほんっとに難しかったです。笑
でもそれも、それだけ彼が魅力的だという証。
話聞かせていただけて、本当に良かったです。
ありがとうございました!