OWVというグループの話(11)
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この「OWVというグループの話」のシリーズの1番最初に私はOWVについて「ライブで生きていく人たちだ」と感じた話を書いた。
念の為ここにも再度記しておくが「ライブで生きていく人たちだ」と感じたのはあくまで私個人の感想で、またあくまで「概念」の話で、別に本人たちがそう言っていたわけでもないし、ライブ活動しかしないという意味でもない。
私がOWVのライブを見てそう感じたのは1年前の2021年8月のことで、この記事を書いている今、あれから約1年が経過した。
そしてより一層、「OWVはライブで生きていく人たちだ」という思いを強く持った。
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「OWVというグループの話(1)」にも書いたように彼らは初めての有観客ライブ「AWAKE」(2021.4.11)から「WIND」(2021.8.1(東京)8.22(大阪))の間に大きく成長しており、たった4ヶ月で明らかにAWAKEでの反省点を修正し、さらに自分たちの見せたいかたちを明確化して戻ってきたと感じた。
歌やダンスの基礎力の底上げはもちろん、激しく踊る楽曲が多いのでライブ1本(しかもOWVは基本昼夜2公演)を駆け抜けられるだけのスタミナ、ライブのテーマ性とそれを反映したセトリや演出、OWVとして自分たちをどう見せたいか、あるいは自分たちをどういう方向性に持っていこうとしているのか。ファンへのメッセージ、MCの長さやテンポ。
また声を出すことのできない観客をどう巻き込んでライブを盛り上げていくのかをしっかり考えてくれているのだなとも強く感じた。
WINDは2部公演制になっており、1部はTalk Eventとしてパフォーマンスもするがトークなどのバラエティ部分が多め。
2部ではパフォーマンス中心のLive Stage。
2部はまず「Bling Bling」という楽曲からスタートした。
「真夏の夜 誰もいない場所へ 君以外全部 暗闇の世界で」(作詞:HIROMI)という歌詞から始まるこの曲は、熱帯夜の大人な恋愛を描いた歌だ。
「Bling Bling」はジュエリーが光っている様子を表す言葉で、どちらかというと上品に輝くというよりドギツイほどにギラギラと、派手に光っているというニュアンスらしい。
重厚で不穏な低音から始まるイントロとともに幕が上がり、ステージが高くなっているいわゆる「ステージの2階」部分からOWVの姿が見えてくる。
黒い衣装に身を包んだOWV4人が並んで現れ、浦野からはじまる歌のパートに突入する。
最初はあえて踊らず、4人が等間隔に並んで立ったままAパート、Bパート、そしてサビまで歌い続ける。
サビのあとのCパートで4人はおもむろにステージの2階部分から階段を降り、ステージの1階へと移動をするとまたすぐにくるサビでは今度はバキバキに踊り始めた。
本来なら歌い出しからコレオ(ダンス)がある楽曲なのだが、あえて1サビを終えるまでそれをせず、ステージの2階部分に威風堂々と立っている4人の姿は彼らが見せたい「OWV」というもののイメージなのだろうと感じた。
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その後もステージを重ねるごとに彼らは見せ方を知り、強みを増やしていった。
多くの楽曲を歌うことができ、また基本的には彼らのことを知っているファンが観客のほとんどを占める単独ライブでは彼らが「見せたい姿」「進みたい道」「ファンへのメッセージやプレゼント」をたっぷり盛り込み、持ち時間も短くOWVを知らない人が多いフェスなどの外部のイベントでは冒頭で「OWVらしさ」を提示するような“強い曲”を見せたあとMCで緩和し、その後は彼らを知らない人も含めて一緒に盛り上がれる曲を選んでいるように感じた。
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私自身、先日2022年9月6日に豊洲PITで行われた、松崎しげるさん主催の「黒フェス」に参加してきた。
様々なアーティストが出演するこのフェスの大半はOWV以外のファンが占めていた。
私の体感だが8割かそれ以上は他のアーティストのファンに思えた。
黒フェスは観客席の前半分がスタンディングエリアとなっており、後ろ半分は指定席(立つこと自体はOK)というレイアウトになっており、私は後ろの指定席エリアからライブを見ていた。
OWVの出番がやってきて、指定席エリアで立ち上がっているのはほぼOWVのファンのみに見えた。
スタンディングエリアは全員が立っているのでファンかどうかの判別が難しいが、指定席エリアで立っているOWVのファンはおそらく1割にも満たなかったと思う(キョロキョロ見ていたわけではないのであくまで私の体感です。またスタンディングエリアに移動した人もいるので実際はもう少し多かったとも思います)
黒フェス、OWVの1曲目は「UBA UBA」
サビはノリの良い曲でもあるのだが、全体的には強さや荒々しさも感じる曲で、ファン以外の観客の方はまだどうノッていいのかわからず「様子見」という感じに見えた。(もちろんペンラを振ったり手を叩いて一緒に応援してくれてる方もいた)
2曲目は「Time Jackerz」
ペンラやクラップで一緒に楽しんでる方はまた1曲目より少し増えた印象はあるが、Time Jackerzが重低音響くEDMということもありまだ戸惑いつつ…という印象。
「Time Jackerz」をバチバチにキメてパフォーマンスし終わるとMCパートに入った。
「僕たちOWVをはじめて見たという方?」という質問にはやはり多くの人の手が挙がった。
さっきまで重低音響くEDMをバチバチに歌い踊っていた人とは思えないゆるゆるな自己紹介と芸人さんに教えてもらったギャグをやり、観客全体を巻き込む拍手遊び(浦野の拍手を観客が真似る)をやると場の空気が一気に柔らかく、そして初めましてのお客さんも多くの人の関心がOWVに向かっているような感覚がした。
そして3曲目「Summer Days」に突入する。
タオルをぶんぶん回したくなる、ノリのいい夏曲だ。
曲のノリの良さと、MCで心を掴んだのもあってか、多くのお客さんがペンラやタオルや手を振り回してくれていたように見えた。
そして最後の4曲目、「What you waitin' for」。
こちらもOWVのライブの定番曲と言っていいみんながのれる楽しい曲だ。
このときにはほとんどの方が心からノリノリで楽しんでいるように私には見えた。
1段高くなっている後ろの指定席エリアから見ていて、ファン以外のお客さんが少しずつ巻き込まれていくのが手に取るように見えた。
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黒フェスに限らず、OWVが出演したフェスなどのイベントで彼らがファン以外の観客の心を掴む瞬間を他にも幾度も見てきた。
たとえば時は少し遡るが2022年5月14・15日に幕張メッセで行われたKCON 2022 Premiereというイベント。
OWVは持ち曲2曲とカバー曲1曲という構成だったが多くの人が「あれすごかったよね」と口にしたのがカバーでやったBTSの「IDOL」という楽曲。
BTSの楽曲をやってほしいというのは主催側からの要望だったそうだが、OWVは爆発的に売れたBTSの「Dynamite」や「Butter」ではなく、「IDOL」という楽曲を選んだ。
理由としてはメンバーの佐野がダンサー時代にBTSのバックダンサーで踊った曲だからということだそうだが、楽曲の空気感や歌詞の内容もとてもOWVらしい選択だったと感じた。
歌詞は「俺のことをアーティストと呼ぼうが、アイドルと呼ぼうが気にしない」「俺は俺だから」「俺はやるべきことをやる」「俺が俺を好きになることを誰も止めることはできない」といった内容でBTSの決意表明のようにも思えるが、それがOWVの主張や彼らのメッセージにも近いように思えた。
もちろん彼らがそこまで思ってこの楽曲を選んだかは分からないが、オンラインで見ていた私はそう感じたし、他の観客や視聴者も何かを感じ取ったのではないかと勝手に思っている。
それくらい、あの「IDOL」を歌い踊るOWVにはパワーがあった。
自分の持ち曲であってもそうでなくても、自分たちのファンがほとんどを占める単独イベントでもOWVを知らない人がたくさん集まるフェスでも、その場にいる人を楽しませ、歌を届けるという思いの強さに変わりはなくどれも丁寧に大切に取り組んでいるのがOWVから伝わった。
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OWVは2022年、これまでコロナの影響であまり出演することのできなかったフェスにたくさん出演している。
ファン以外の多くの観客を巻き込み、単独イベントでは得られない経験値を得て、また彼らはどんどんライブに強くなるのだろうなと思う。
ずっと書きかけだったこの記事を仕上げている今日は2022年9月16日。
OWVは明日から滋賀で行われるイナズマロックフェスの初日、しかも1発目のアーティスト。
私はホテルの部屋で明日のフェスにワクワクしながらこの記事を書いている。