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ドラマ【御上先生】名台詞集
2025年1月期 TBS日曜劇場「御上先生」より、心に残った台詞をまとめました。
*鑑賞時に書き起こした台詞を記録しているため、表記や文言は脚本と異なる場合があります。恐れ入りますがご了承いただけますようお願いいたします。
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第1話
その孤独を僕は見捨てない
「その殺人事件が起こったのが今日だったことは、何かの運命なのか。教育を改革する。それがこの硬直する社会を変えるために必要だということは誰もがわかっているのに、そのための本丸であるはずのここは、こんな事件にもやけにはしゃいで野次馬を決め込んでいる。自分がその事件の主役になってしまう可能性を、実際なるまでは誰も考えようとしない。君は今、社会の歪の責任を一身に背負わされ、そこで一人きりだ。その孤独を、僕は見捨てない。帰るべき場所を、君も探している。君たちの中に眠っている可能性が、僕を導く。泥水を啜る覚悟なら出来ている。あなたの声にならない叫びを、聞こえないことにしない。愛と憎しみはとても近くにあると、あなたに教えられた。僕は行く。」
第1話冒頭の御上のモノローグです。
この物語の軸に流れる御上の信念が伝わってくるようなメッセージでした。
力は弱くても戦い方次第で勝てる
-御上孝「敵は僕じゃありませんよ。」
-是枝文香「そんなことわかってます。」
-御上孝「ならスローロリスを見習わないと。」
-是枝文香「…意味が分かりません。」
-御上孝「力は弱くても、戦い方次第で勝てるってことです。」
御上が是枝にかけた言葉です。
文科省からの派遣で是枝に代わり担任となった御上。
御上にポジションを奪われるかたちとなった是枝に、御上は理不尽に担任の座を奪われたのだから戦うべきだとも声をかけていました。
志だけで変えられるならとっくに変わってる
-神崎拓斗「俺はそうはならない。記者クラブなんてあんな馬鹿げたもの、終わらせるべきなんだよ。」
-御上孝「志だけで変えられるならとっくに変わってる。明治時代から百年以上何も変わらなかったシステムをどうやって変えるんだ?」
-神崎拓斗「ちゃんと取材して独自の記事を書き続ける。最後に自分の名前を記すのにふさわしい記者になる。そうすることで日本の報道システムを変えてく。」
-御上孝「そこまで高い理想を持っているのに、僕に対しての取材もしなければ確認もしなかった。あげく書いたのがこんなゴシップ記事だなんておかしいと思わない?」
-神崎拓斗「ゴシップ記事?どこがだよ。」
-御上孝「今からでも取材してみたら?なんでも答えるよ。」
-神崎拓斗「は?くだらない。」
-御上孝「官僚自らなんでも答えるなんてそうない機会だよ。それをくだらないって言葉で断ち切るつもり?」
御上がこの学校にやってきた理由について記事にして校内に流した生徒の神崎。
父親のような記者クラブぶら下がりの記者にはならないと息巻く神崎に向き合った御上が、生徒たちの前で言った言葉です。
そんな簡単に見えるものを闇とは呼ばない
-御上孝「そもそも僕が文科省に入ったのは教育を変えるためだ。何も成し遂げないまま文科省を手放すわけにはいかない。」
-神崎拓斗「へえ。それでやったことが人の不正の肩代わり?矛盾してませんか?」
-御上孝「言ったよね。志だけで変えられるならとっくに変わってる。官僚が出世したいと思ったら手を汚さずに上には行けない。のらくらした官僚候補を使いこなして答弁を乗り切り政治家のオーダーには秒で答える。自分の理想なんてものは横に置いて進めていく先でようやくこの国の行政とやらに参加する資格が出来る。かもしれない。神崎くん。君が記事にしたことは、闇なんてごたいそうなものじゃない。ただの日常だよ。YouTubeとやらでやってるモーニングルーティンみたいにね。そんな簡単に見えるものを闇とは呼ばない。」
御上と神崎の続きの会話です。
神崎は御上の過去から闇を暴いたと息巻き記事にしましたが、そんなものは闇ではないと、御上は淡々と言い放ちます。
真のエリートが寄り添うべき他者とはつまり弱者のことだ
-御上孝「神崎君が不倫をリークした女性教師。彼女は自主退職し、後に離婚した。そして男性教師は、」
-神崎拓斗「系列の学習塾に飛ばされた。」
-御上孝「なんで辞めたのは女性教師で男性教師じゃなかったんだろうね。」
-神崎拓斗「それ関係ある?今この話と。」
-御上孝「君がたたき壊した人生の話だよ。」
-神崎拓斗「不倫するような教師の人生とかどうでもいいから。」
-御上孝「Personal is Political.」
-神崎拓斗「は?」
-御上孝「個人的なことは政治的なこと。」
-神崎拓斗「その言葉なら知ってるよ。」
-御上孝「ならどうしてただゴシップを垂れ流した?そこに想像力を使わなかった?」
-神崎拓斗「…。」
-御上孝「伝えたはずだ。君たちが今考えてるエリートはただの上級国民予備軍だって。みんなどんな思いで今受験勉強してる?過酷な、過酷過ぎる競争を勝ち抜いてようやく掴み取った人生が上級国民で本当にいいの?言ったよね、エリートは神に選ばれた人だと。なぜ選ばれるか。それは普通の人間なら負けてしまうような欲やエゴに打ち勝てる人だから。自分の利益のためではなく他者や物事のために尽くせる人だから。僕はそこに付け加えたい。真のエリートが寄り添うべき他者とは、つまり弱者のことだ。政治家の機嫌をとる御用記者と、不倫する教師の人生はどうでもいいと切り捨てる新聞記者。僕には何が違うのかさっぱりわからないな。」
-神崎拓斗「…やってられっかよこんな茶番。」
-御上孝「神崎君。闇を見たくないのか?」
-神崎拓斗「は?」
-御上孝「だとしたら僕はこれ以上ない情報源だ。手放すな。もし本当に闇を見る気があるなら、今日の放課後、ここで話そう。」
御上と神崎の会話の続きです。
何の痛みもなく人は人を殺すことがある
-御上孝「バタフライエフェクト。知ってるよね?」
-神崎拓斗「ブラジルで蝶が羽ばたくと、テキサスで竜巻が起こる。」
-御上孝「小さな出来事が連鎖して大きな出来事に繋がることがある。よく知られたカオス理論ってやつだね。でもここで肝心なことは、ブラジルで羽ばたく蝶は、自分の羽ばたきが竜巻となり、たくさんの人や動物を殺したかもしれないことを知らないってことだ。何の痛みもなく、人は人を殺すことがある。だって蝶は羽ばたいてるだけなんだから。言ったよね。本当の闇を見たければ僕を手放すなと。」
-神崎拓斗「あんた…、なんでそんな俺に構うの?」
-御上孝「…似てるからかな。」
-神崎拓斗「え?」
-御上孝「本当に似てる。だから、君を見捨てるわけにはいかないんだ。」
放課後、あらためて二人きりで教室で話した御上と神崎の会話です。
第2話
人生に大切じゃない時期なんてありませんよね
-是枝文香「神崎君の事なんですけど、フォローが必要かなって思ってるんですよね。」
-御上孝「フォロー?」
-是枝文香「大切な時期なのに追い詰められてる気がして…。」
-御上孝「大切な時期って?ああ、受験だからですか?それおかしくないですか?」
-是枝文香「え?」
-御上孝「だって、人生に大切じゃない時期なんてありませんよね?」
-是枝文香「…。」
生徒の神崎の様子を気に掛ける是枝に、御上が言った言葉です。
良い教師像はそのテレビドラマシリーズに支配され続けています
-御上孝「こんな話があるんです。とある有名な学園ドラマの新シリーズが始まる度に、日本中の学校が荒れて学級崩壊を起こす。」
-是枝文香「え、そのドラマってあの…?」
-御上孝「はい、そうです。あなたも多分憧れたあのドラマです。」
-是枝文香「…それってどういうことですか?」
-御上孝「生徒のために奔走するスーパー熱血教師以外は教師にあらず、という空気を作ってしまった。保護者たちの教師への要求はエスカレート。教育の理想を描いた学園ドラマが、驚くなかれ、モンスターペアレンツ製造マシンになるんです。」
-是枝文香「私はスーパー熱血教師になんて…」
-御上孝「少なからず僕は憧れましたけどね。以来四十年以上、良い教師像はそのテレビドラマシリーズに支配され続けています。」
御上が是枝に言った言葉です。
伝説とも呼ばれる有名な学園ドラマを制作したTBSが、今現在の日曜劇場で、この台詞を御上に言わせる。
背景も含め、この物語に賭けるもの、時代や教育に向き合う覚悟を感じる台詞でした。
バージョンアップではなくリビルド
-御上孝「そもそも考えてみてください。全国の高校教師は約25万人。その人たち全部がスーパ熱血教師になるのと、良い教師像自体を考え直すのと、どっちが現実的だと思いますか?」
-是枝文香「…そんな風に考えたことがありませんでした。」
-御上孝「学校も官僚も、驚くほどの前例主義。それで成し遂げられる教育改革は無いと思います。今教育に必要なのは、バージョンアップではなくリビルド。既存のシステムやプロセスを根本的に見直し再構築することです。」
御上が神崎に言った言葉です。
バージョンアップではなく、抜本的なリビルド。
教育のみならず、あらゆる仕組みに必要なことですね。
霞が関文学が漏れちゃってましたか
-溝端完「今一度確認しておきます。これは、事実無根ということで大丈夫ですね?」
-御上孝「はい。僕の記憶が確かなら。」
-溝端完「何ですか、その嫌味な言い回し。いずれにしても、赴任早々神崎君にこんな記事を書かれるなんて脇が甘すぎます。」
-御上孝「はい。それは確かに不徳の致すところです。」
-溝端完「官僚みたいな答弁ですね。」
-御上孝「ああ、また霞が関文学が漏れちゃってましたか。あるんですよそういうのが。例えばそうだな、"覚えておりませんのでこれ以上のことは申し上げようがありません"とか。」
-溝端完「ここは霞が関ではありませんよ。」
-御上孝「便利ですよ?柔軟で。いろんな取り方が出来る。官僚による官僚のための唯一無二の文学なんです。日々精進して参ります。」
職員室での御上と溝端の会話です。
霞が関文学。
くだらないと嫌いながらもその世界で粛々と仕事をしてきた御上が感じられる、松坂桃李さんの絶妙な言い回しとお芝居でした。
今回は永田町文学ですかね
-溝端完「これから生徒に説明ですか?」
-御上孝「はい。そうですね。」
-溝端完「これ以上の事は申し上げられませんとでも説明するんですか?」
-御上孝「ええ。今回は永田町文学ですかね。"誠に遺憾の極みです"。では、失礼します。」
不倫スキャンダルで学園を辞めた元教師の冴島の息子が先日発生した殺人事件の犯人であると世間で騒ぎ立てられ、生徒たちへの説明のために教室へ向かう御上と是枝。
嫌味を言う溝端に、御上が返した言葉です。
この直前、校門前に殺到するメディアを前に、自分がかつて書いたフリンスキャンダル記事がきっかけになったかもしれないと考える神崎が立ち尽くしていた時、御上は後ろからやってきて、「おはよう」とだけ声をかけ、神崎の背中に手を添えて、教室へと向かって行きました。
裁判でもお前は犯罪者だから黙ってろって言うのかな
-御上孝「放置したから問題が深くなった。ここでまた放置したらもっと集中出来なくなるんじゃないの?」
-櫻井未知留「そんなこと言う資格、先生にありますか?」
-御上孝「櫻井さん弁護士になりたいんだよね?」
-櫻井未知留「え?」
-御上孝「裁判でもお前は犯罪者だから黙ってろって言うのかな。そして僕の知る限り君たちがなろうとしている職業はいついかなる時も集中しなきゃ出来ない仕事ばかりだよ。」
御上の赴任以来立て続けに様々なことが起こり、勉強に集中が出来ないと意見した生徒の櫻井。
櫻井や生徒たちに、御上が言った言葉です。
自分を過信しないほうがいい
-御上孝「この写真のその後知ってる?」
-神崎拓斗「その子供は後に食料センターで保護されて生き延びたことが判明してる。だけど、批判にさらされたカメラマンは精神を病んで自ら死を選んだ。」
-御上孝「さすがだね。」
-神崎拓斗「その写真がリビングに飾られてる家で育ったんで。」
-御上孝「君ならシャッターを押す?」
-神崎拓斗「押します。」
-御上孝「即答だね。」
-神崎拓斗「俺は、そんなんじゃ絶対死なないんで。」
-御上孝「自分を過信しないほうがいい。」
「ハゲワシと少女」の写真を黒板に投影しながら、御上が言った言葉です。
生贄の羊なら下等な生き物がいいだろうと選ばれただけ
-御上孝「僕はみんなに聞いたよね。なぜ辞めたのは女性教師で男性教師ではなかったか。是枝先生、今の三年が二年だった時、担任の女性教師は是枝先生だけでしたよね?」
-是枝文香「そうですね。」
-御上孝「僕に変えられたのはそのせいだと思いませんか?」
-是枝文香「…思います。」
-御上孝「生贄の羊なら下等な生き物がいいだろうと選ばれただけ。」
-東雲温「その言い方ひどすぎます!」
-御上孝「なら東雲さんは変えた人にそういう意識がなかったと言い切れるの?そして冴島先生も、同じじゃないのか?」
-神崎拓斗「…ケビンカーターがシャッターを押さなければ誰にも届かなかった貧困があった。だからシャッターを押すべきだと俺は信じて…でも…あの時の俺は、冴島先生を食おうとするハゲワシの正体を見ようとしなかった。だから…これからでも…俺は絶対それを捕まえる。」
-御上孝「…そうだね。」
-富永蒼「ほらやっぱり。"別に"じゃなかったじゃん。
-御上孝「ありがとう。良い意見交換でした。」
教室での話し合いにて、御上と神崎たちの会話です。
優秀な生徒たちが集まるこのクラスでは、無駄に騒いだり噛みつくような生徒はおらず、先生の話はきちんと聞くし、自分の頭を使って何事も考える聡明さがある。
御上も、偉ぶったり権力を振りかざしたりするタイプでもなく、クールだが生徒達に無頓着なわけでもない。
"学園ドラマ"としてはとても新しい生徒像であり教師像。
今後の展開がますます楽しみです。
そのままにしておくと感染症が蔓延します
-溝端完「時間かかりましたね~。」
-御上孝「でも良い話し合いになりました。ハゲワシを捕まえにいくそうです。」
-溝端完「え?ハゲワシ?」
-御上孝「ええ。そういう腐った肉を主食とする動物をスカベンジャーと言うんですが、動物の死骸をそのままにしておくと感染症が蔓延します。スカベンジャーたちは感染症蔓延を阻止する存在でもあるんです。しかし同時に殺戮の証拠を消したりもしてしまう。」
教室での話し合いを終えて職員室に戻った御上と溝端の会話です。
どこか含みを持たせた御上の言い方でした。
第3話
君の戦いが孤独だったことを多分僕は知ってる
-御上孝「君がやったことに何の意味も無いとは言わない。でも社会とやらが一ミリも変わらないのは確かだ。いや少し変わったか。君が若くて美しい女性だということで塀の外ではファンクラブが出来てる。屈辱的だろう。わかるよ。でも事実だ。そしてそれが社会だろう。君が変えたかった、浅はかで思慮の足りない社会。」
-真山弓弦「黙れ。」
-御上孝「地下鉄でビニール袋に傘を突き立てても、飛行機でビルに突っ込んで何千人という人が死んでも、世界は一ミリも変わらなかった。なのになんでたった一人、人を殺したくらいのことで社会が変えられると思った?」
-真山弓弦「そんなやつらと一緒にすんな。」
-御上孝「彼らにだって彼らなりの正義があった。その先に素晴らしい世界があると信じていた。君と何が違う?論理的に説明出来る?」
-真山弓弦「私は!」
-御上孝「誤解しないで。僕は君を裁くために来たわけじゃない。君の戦いが孤独だったことを、多分僕は知ってる。」
-真山弓弦「帰れ。」
-御上孝「忘れられないはずだ。自分が殺した人の顔が。また来る。」
真山弓弦と面会した御上の言葉です。
まず、聞いてよ
-倉吉由芽「私、帰国子女なのね。」
-櫻井未知留「は?それ関係ある?」
-倉吉由芽「アメリカだと授業でもなんでも意見言わされることが多いんだよ。高校生はディベートの授業もあるし。」
-櫻井未知留「私はそんなこと言ってるんじゃなくて、」
-倉吉由芽「まず、聞いてよ。ちゃんと最後まで聞くの、議論では大切だって教わるよ。…みたいなことを日本帰ってからも言ってた。でもそれじゃだめなんだね。言いたいことは胸にしまっておかないと、空気読めないやつだって嫌われる。この国は本音と建前の国なんだって思い知らされて、すごく怖くなった。」
-東雲温「倉吉がそんな風に思ってたの知らなかった。」
-倉吉由芽「だから、自分にとって大切なことほど呑み込む癖がついた。そんな自分嫌になる。でも、神崎の話、聞きたいって思ったから。」
意見を遮られそうになりながらも神崎のことを知りたいと話を聞いた倉吉。
櫻井との会話の中での彼女の言葉です。
まず、聞く。知る。そして、考える。
御上がずっと、生徒達に問いかけていることですね。
第4話
どっちも間違いでしたって伝えてほしい
-倉吉由芽「日本はもっと早く戦争をやめるべきだったし、アメリカはそれでも原爆を落としちゃいけなかった。つまり、どっちも間違いだった。」
-御上孝「それはどうして?」
-倉吉由芽「沖縄では、民間の人も含めてたくさんの人が亡くなりました。それは、日本が自分の判断で戦争をやめきゃいけないくらいの数だったんです。」
-御上孝「じゃあアメリカは?」
-倉吉由芽「原爆は一瞬でたくさんの命を奪ったから許されないってみんな言います。でも、人数の問題だけなのかなってぐるぐるして、すごく悩みました。だけどやっぱり、細胞を破壊して何十年も続く健康被害をもたらすそんな爆弾は、どう考えても、使っちゃいけなかった。」
-御上孝「そうだね。」
-倉吉由芽「だからこそ、これからの授業では、どっちも間違いでしたって伝えてほしいです。」
日本への原爆投下についてアメリカの学校ではどのように教わったか、御上からの問いかけに答えた時の倉吉の言葉です。
前クールの「海に眠るダイヤモンド」に続き、本作でも扱われた原爆。
日曜劇場という枠で放つメッセージに対する覚悟が伝わってくるようなシーンでした。
自分の正義だけが通ると信じていたら、誰とも話は出来ないよ
-東雲温「何が言いたいんですか?倉吉にこんなことまで言わせてトラウマほじくり返して。」
-御上孝「分かってる?これ結構センシティブなテーマだってこと。」
-東雲温「もちろんです。」
-御上孝「倉吉さんの話聞いてたよね。原爆を肯定する言葉が載っている教科書がある。なぜならそれはその国の正義だからだ。同じように人や国の数だけ正義はあるんだ。自分の正義だけが通ると信じていたら、誰とも話は出来ないよ。」
-東雲温「じゃあどうしろって言うんですか?」
-御上孝「僕に指示出されたい?」
-東雲温「…。」
-御上孝「嫌だよね。」
-倉吉由芽「温。あのね、トラウマじゃないよ。トラウマになりそうだったから一生懸命勉強したし、帰国することが決まった時、同級生とちゃんと話した。私言ったよ。私は大好きなみんなと絶対戦争したくないって。」
-東雲温「みんななんて答えたの?」
-倉吉由芽「由芽の言う通りだね。僕たちは何があっても核のボタンは押しちゃいけない。だから答えた。私も日本が核兵器を保有しない原則絶対に守るって。ちゃんと話した。だからトラウマじゃない。なのに、日本帰ってきたら出来ない話になっちゃった。そっちのほうが苦しかった。」
前回、温の父親がかつて教科書を使用しなかったことで学習指導要領違反の罪に問われた問題。
文化祭に有志参加で教科書検定に関する展示を行おうと発案した温の危うさに気付いた御上が、教室で話した言葉です。
わからないから、目を閉じる。知らないから、背を向ける。
そうやって誤魔化して通り過ぎようとしてしまいがちな空気を断ち切るかのように、この後クラスは皆でディベートを行い、全員できちんと話をした上で、文化祭での展示に向けて動き出しました。
じゃあなんで十八歳に選挙権くれるんですかって話でしょ
-御上孝「言った通りだよ。教室の使用許可、このままだと取り消されるかもしれない。」
-生徒「理由は?」
-御上孝「政治性の強いものは高校生の文化祭にふさわしくない。」
-生徒「出たよ、じゃあなんで十八歳に選挙権くれるんですかって話でしょ。」
教科書検定を題材にした文化祭展示について、学校側からの教室使用許可が下りないかもしれないという問題が生じ、その理由を御上が伝えた時の生徒たちの言葉です。
さらっと言われた台詞でしたが、ドラマの台詞としてはなかなか鋭いものだったと思います。
第5話
信じるってことの具現化なんだって思ったら
「私、こないだみんなと話してて気付いたことがあって。(千円札を広げて)これをお金にしているのは私たちだってこと。だってこれ、ただの紙じゃないですか。紙で作ったもので物が買えるように出来たのは、それがまたお金として利用出来るという約束が守られると信じてるからなんだなって。私、これまでずっとお金って汚いものと思い込んでました。でも、信じるってことの具現化なんだって思ったら、なんかお金って、人間ってすごいなって。」
ビジコンで投資について発表しようとする生徒達に対して、家庭環境から金に対して良いイメージを持つことを出来ずにいた是枝が話した言葉です。
この言葉を機に気付きを得た生徒達は、ビジコンのテーマを定め、発表へと準備を進めました。
金融マン同士で倍返しし合っている場合ではありません
-冬木竜一郎「金融マン同士で倍返しし合っている場合ではありません。学校も金融ドラマも、僕たちに金融の本当の意味を教えてはくれない。金融の本来の意味、それは、信用と助け合いです。お金とは、信じることが形になったものなんです。僕たちは金融の一番始まりに立ち戻りたいと、そう思い、このプランを作りました。」
-宮澤涼「大人たちが忘れた投資の意味を問いかける、未来を創る金融投資。そんなビジネスプランを、僕たちは考えました。これで僕たちの発表を終わります。」
ビジコンで新しい投資プランについて発表をした生徒たちの登壇時の発表内容です。
以前も金八先生という学園ドラマについて、そして今回も半沢直樹を思わせる台詞が登場しました。
どちらもTBSの代表作中の代表作。
過去に創ってきたドラマを、時代を踏まえて超えていく。
TBSドラマの気概を感じる台詞が、第5話でも登場しましたね。
以上、ドラマ「御上先生」の名台詞集でした。