
ドラマ【MIU404】名台詞集
2020年6月期 TBS金曜ドラマ「MIU404」より、心に残った台詞をまとめました。
*鑑賞時に書き起こした台詞を記録しているため、表記や文言は脚本と異なる場合があります。恐れ入りますがご了承いただけますようお願いいたします。
●作品情報
公式サイト
●名台詞集
第1話
自分のことを正義だと思ってるやつ
「俺は、自分のことを正義だと思ってるやつは一番嫌いだ。」
志摩が伊吹との会話の中で志摩が言った言葉です。
自分が信じる正義を貫くことは、誇りを持ってまっすぐに生きていくために必要かもしれない。
でも、自分にとっての正義が、全てにとっての正義だとは限らない。
自分の正義は、歪んでいるかもしれない。
ひとりよがりの正義は、正義といえるのか。
志摩の冷たい表情も含めて印象に残ったシーンでした。
誰かが最悪の事態になる前に止められる
「機捜っていいな。誰かが最悪の事態になる前に止められるんだよ。超いい仕事じゃん。」
機捜に異動してきた伊吹の言葉です。
何かが起きてからの対処ではなく、何かが起こる前に止めること。
本来はそんな風に、「何も起きなかった」が一番良くて。
そうやって何も起きない毎日は、誰かが守ってくれている世界。
そんなことをふと思わせてくれる言葉でした。
人は信じたいものを信じる
「人は、信じたいものを信じるんだよ。」
人はいつも、それぞれが信じたいものを信じる。
必ずしもそれが事実とは限らない。
いくつものフィルターがかかったものを信じている。
第3話
自分は周りに迷惑かけてないって思ってる
「九重さんってさ、自己評価高いよね。自分は周りに迷惑かけてないって思ってる。」
新人の九重に志摩が淡々とかけた言葉です。
人のことは粗ばかりが見えてしまうけれど、自分のことを棚に上げていないか。
自分は正しい、自分は出来るという思いが、傲慢になっていないか。
はっとさせられる言葉でした。
この人の行く先を変えるスイッチは何か
「自分の道は自分で決めるべきだ。俺もそう思う。だけど、人によって障害物の数は違う。正しい道に戻れる人もいれば、取り返しがつかなくなる人もいる。誰と出会うか、出会わないか。この人の行く先を変えるスイッチは何か。その時が来るまで、誰にもわからない。」
誰と出会うか、出会わないか。
毎日はいくつものスイッチで溢れていて、たったひとつのスイッチが、人生を大きく左右するかもしれない。
誰かにとって、自分の存在や態度や言葉がスイッチになっているかもしれない。
"いたずら"っていう言い方やめませんか
-桔梗ゆづる「"いたずら"っていう言い方、やめませんか。たとえば"いじめ"は暴行傷害、強要、侮辱罪。"児童への性的ないたずら"と呼ばれる行為は、いたずらなんて軽いもんじゃない。性的な加害、性暴力です。日本語の表現は柔らかくて美しい。だけど、重大な問題までオブラートで包み隠してしまう。」
-我孫子豆治「さすが。女性は細かいことに気が付く。」
-桔梗ゆづる「今女性関係ありません。」
男社会の警察組織で実力でのしあがってきた桔梗の言葉です。
この物語でも、女性の立場はひとつの重要なテーマとして描かれています。
日本語の柔らかさは、美しいけれど、大切なことをぼやけさせてしまう。
目を背けたいからでしょうか。
5年後10年後の治安はそこにかかってる
-九重世人「大人が馬鹿なんですよ。若い人が何も考えてないと思ってる。そういう意味では、相手が未成年でも厳しく処罰するべきだと思います。減刑も必要ない。等しく罪の責任をとらせるべきです。」
-桔梗ゆづる「もちろん相手が未成年だとしても取り返しのつかない犯罪はあって、それ相応の罰は受けてもらう。だけど救うべきところは救おうというのが少年法。」
-九重世人「その少年自身が未成年を重ね着て好き放題していてもですか?」
-桔梗ゆづる「私はそれを、彼らが教育を受ける機会を損失した結果だと考えてる。社会全体でそういう子どもたちをどれだけ掬い上げられるか。5年後、10年後の治安は、そこにかかってる。」
未成年の犯罪に対するこの桔梗の考えが、とても印象に残っています。
子供に教育を施すのは、学校や教育機関だけではない。
すべての大人が、社会が、それぞれの役割に沿って子供に教え、導く。
社会が未来を作っていく。
野木さん脚本の「アンナチュラル」でも、「法医学は未来のための仕事」という台詞がありました。
アンナチュラル、MIU404。
この世界線では、繰り返さないことや、間に合わせるということが、軸にあります。
世間が好き勝手に私的制裁を加えていい理由にはならない
「ネットに広まったおかげで、本来受ける以上の社会的制裁は受けてる。罪を裁くのは司法の仕事。世間が好き勝手に私的制裁を加えていい理由にはならない。」
犯罪に関与した未成年の少年たちの情報がネットで拡散された時の桔梗の言葉です。
SNSなどであらゆる情報が溢れてしまう時代。
どんなにその人が許されない罪を犯したとしても、その人を裁くのは、司法のみ。
よく聞く「社会的制裁」により、必要以上の罰を受けてしまうことがある。
犯罪というものに限らず、人が誰かを非難したり評価したりする時にも通じるものがある言葉だと感じました。
第4話
その割に世界はよくならん
-伊吹藍「誰だって良いことしたいだろ。」
-志摩一未「そうかね。その割に世界はよくならん。」
その割に世界はよくならん。
志摩がつぶやいた言葉が、とても印象に残りました。
誰だっていいことがしたいし、いい方がいい。
それなのに、その割に、世界は苦しいことが溢れている。
私たちはいつも間に合わない
「彼女が最後に見た景色は絶望だった。私たちは、いつも間に合わない。」
桔梗が過去に救えなかった人を思い言った言葉です。
この物語の大きなテーマのひとつ、"間に合う"ということ。
誰かが、何かが、最悪の事態になる前に、間に合わせたい。
その思いで働く桔梗たちの姿が、忘れられません。
第5話
そいつの軸足はどこだ
「なんで自分が信じられなくなったんだろうな。他人を信じないのは、刑事やってりゃ当然だ。優秀なやつほどそうなる。でも、自分を信じられないとなると、そいつの軸足はどこだ?ゴム底がついてない靴で油の上を走るようなもんだ。大丈夫なのか、そいつは。」
伊吹から志摩のことを聞いた蒲郡が、志摩について言った言葉です。
自分を信じられない人の軸足はどこにあるのか。
信じるということは、自分を持つということ。
自分を信じられないからっぽな状態で、どう歩いていけるのか。
問いかけるような言葉でした。
ズレに気付いて逃げるかまた目を瞑るか
「見えてないんじゃない?見ないほうが楽だ。見てしまったら、世界が僅かでもズレる。そのズレに気付いて、逃げるか、また目を瞑るか。」
人は見たいものだけを見る。
見たいもの以外見えないのではなくて、見えてしまっても、見たいものだけを選ぶ。
そんなずるさで、自分を守っていく。
何を恐れてるんだろうね
-陣馬耕平「気を付けろよ。女の隊長を面白く思っていないやつはいまだに多い。」
-桔梗ゆづる「何を恐れてるんだろうね。ただここにいて働いてるだけなのに。」
桔梗の言葉、働く女性の代弁のような台詞が多くありました。
男社会で女が生きていく時、普通に同じように仕事をしているのに、女だからと言われたり思われたりフィルターをかけられることは、現実にはまだ多くある。
男性だけで守られていたポジションに女性が入ると、自分たちのポジションを奪われるように感じるからなのでしょうか。
何を恐れているのか。
共感出来た女性は多かったのではないでしょうか。
第6話
全部がスイッチでなんだか人生じゃん
「玉突きされて入った俺が404で志摩と組むことになって、2人で犯人追っかけて、その一個一個一個、全部がスイッチで、なんだか、人生じゃん。一個一個、大事にしてえの。諦めたくねえの。志摩と全力で走んのに必要なんすよ。」
伊吹の台詞です。
人生で起こる出来事のひとつひとつは、偶然かもしれない、必然かもしれない。
だけどそのすべてが、自分の道をつくり、自分を成り立たせていく。
そのひとつひとつを、大切にしていく。
それが自分を大切にすることにつながる。
それは権力の暴走だ
「警察は法律が定める手続きによってのみ、個人の自由を制限出来る。法を守らずに力をふるったら、それは権力の暴走だ。」
志摩がこの作品の中で度々口にしていた信念です。
どんなに感情的になろうと、どんなに許しがたい犯罪であろうと、決まったルールのもとで仕事をすることでしか立ち向かえない。
警察官は、正義の味方。
そんなイメージがあるけれど、その正義はきっとこうした規律の積み重ねで守られて保たれているもの。
印象に残った言葉でした。
間違いも失敗も言えるようになれ
-九重世人「俺が香坂刑事だったら、志摩さんに言えたかな。自分がつかえないやつだって認めるのは怖いですよ。」
-陣馬耕平「間違いも失敗も言えるようになれ。ばーんってあけっぴろげによ、最初から裸だったら、なんだって出来るよ。」
新人の九重に相棒の陣馬がかけた言葉です。
自分が若い時に、こんな風に声をかけてくれる先輩がいたら。
九重はこうした愛と優しさを受けて、自分が恵まれた環境にいることを理解し、成長していきました。
全部見過ごした。見ないふりした。
「あれから何度も、何度も何度も何度も何度も何度も、頭の中で繰り返す。あの時声かけていたら。あの時屋上に行っていたら。もっと前にあいつの異変に気付いていたら。スイッチはもういくらでもあった。だけど現実の俺はそれを全部見過ごした。見ないふりした。」
志摩が、過去にバディを組んだ相棒であった香坂への想いを伊吹に話した時の言葉です。
志摩は、香坂の変化に気付いていながらも、直接触れない接し方を選んだ。
そこには志摩なりの考えがあったはず。
ただ、香坂を失った後、別の選択をしていればと悔やんでも悔やみきれなかった。
相棒が自分でなければと、後悔の念しかなかった。
どんなに悔やんでも、やり直せない。時は戻らない。
人生は選択の連続。
すべてがスイッチ。
第9話
全部聞く
-成川岳「嘘をついて、麦さんを呼び出しました。ドーナツEPを売りました。他にも…」
-九重世人「全部聞く。」
目の前にして自分が逃してしまった成川。
その成川が、どんどん堕ちていき、自分はそれを止めてあげることが出来なかった。
間に合わなかった。
その思いをずっと抱えていた九重が、再び姿を現し逮捕を求める成川に言った言葉です。
全部聞く。
成川はずっと、見つかりたかった。
見つけてもらった今、すべてを話したかった。
救われたかった。
まだ間に合う。
九重の成長とともに、この物語はありました。
第10話
ふざけんなっつーの。働いてんだよこっちは。
「ふざけんなっつーの。働いてんだよこっちは。古臭い男社会の中でめげずにきっちりやってきた人の努力をさ、なんだと思ってんの?馬鹿なの?」
女だからという理由であることないことを世間に言われ、叩かれ、それでも食いしばってやってきた桔梗が、初めて志摩の前で涙を見せた時の言葉です。
働いてんだよこっちは。
仕事がしたいだけ。
仕事をしているだけ。
仕事をさせてくれ。
仕事で評価してくれ。
女性なら抱いたことのある思いなのではないでしょうか。
どこまでも正しく清廉潔白でいなくちゃならない
-桔梗ゆづる「手段を選ばない相手と、どう戦えばいいんだろう。」
-志摩一未「俺たち警察は、弱い者を守りながら、どこまでも正しく清廉潔白でいなくちゃならない。」
手段を選ばない相手にも、ルールのもとで戦わなければならない。
警察官も、人間。
MIUのメンバーからは人間らしい憤りを強く感じましたが、それでも、仕事をすることで戦う姿は、とても美しく凛々しいものでした。
正義ってすんげえ弱いのかもしんねえな
-桔梗ゆたか「悪いやつはルールを守んないんでしょ?ズルだよ。」
-伊吹藍「それでも、ルールは守んなきゃいけないっていつも志摩が言ってる。じゃないと正義のはずが不正義になるんだ。正しくないってこと。いやあ、正義って、すんげえ弱いのかもしんねえな。」
-桔梗ゆたか「弱くちゃだめじゃん。」
-伊吹藍「痛いとこ突くな。弱いから、大切にしてみんなで応援しないと、消えてなくなっちまうのかもしんないな。」
ゆたかと伊吹の会話です。
正義って、教科書のようにそこにあってブレないものじゃない。
ひとりひとり、それぞれが大切に守らなければ、簡単に揺らいでしまうもの。
生きてりゃ何回でも勝つチャンスがある
「死んだやつには勝てないって言ってたけど、それ違うよ。生きてりゃ何回でも勝つチャンスがある。」
桔梗への想いを抱きつつ、桔梗の亡くなった夫には勝てないと言う志摩に、伊吹がかけた言葉です。
生きていれば何度でもチャンスはある。
第11話
もう疲れたわ
「そっか。辞めたいのかもな。うん、辞めたいのかもしれない。強くて、清くて、正しい警察官でいることに、もう疲れたわ。」
志摩が呟いた言葉です。
自分はそうあらねばならないと思うことで自分を奮い立たせて、本心に蓋をしていることって、ある。
ああ、辞めたいんだ。
ああ、苦しいんだ。
そう気付いた時の、肩の力が抜ける感じと、どうしようもなく虚しい感じが、強く伝わってくるシーンでした。
俺はあいつに正しいままでいてほしい
「伊吹は危なっかしいけど正しいやつで、俺はあいつに正しいままでいてほしい。ああいう刑事が一人くらいいたっていい。それに助けられる人がきっとたくさんいる。」
志摩が伊吹のことを話した言葉です。
正しいままでいてほしい。
志摩にとっての正義は、伊吹の中にあったのかもしれません。
面目のために未来を捨てるんですか
「面目のために未来を捨てるんですか。久住をここで逃したら、新たに被害者を生み、その被害者がまた加害者になる。面目や体面のために出来ることをやらないのなら、私たちがいる意味って何ですか?小さな正義をひとつひとつ拾ったその先に、少しでも明るい未来があるんじゃないんですか?」
久住を逮捕するために現場の指揮をとる許可を我孫子に求めた時の桔梗の言葉です。
面目や体面は、保たなければならない場面はある。
だけど、何が一番大切かを、その時その時で見極めて、正しく選んでいくことでしか、未来は切り拓けない。
この桔梗の言葉が、我孫子を動かしました。
未来を優先
「いいからやらせろ。未来を優先。以上。」
桔梗の言葉を受けて我孫子が現場に指示をした時の台詞です。
未来を優先。
今の目の前の面目な体裁ではなく、あるべき未来を優先した判断でした。
お前たちの物語にはならない
「俺は、お前たちの物語にはならない。」
逮捕された久住が黙秘を貫く前、最後に残した言葉です。
可哀想な生い立ちや、同情せざるを得ない動機。
世間は勝手に背景を想像し、コメントし、物語をつくっていく。
俺はそんな物語にはならない。
この言葉を吐いた久住には、ぞっとしました。
間違えてもここから
「毎日は選択の連続。また間違えるかもな。まあ、間違えても、ここからか。」
この作品の最後に、伊吹との会話の中で志摩が言った言葉です。
間に合わなかったことや、間違えたこと。
それに縛られずっと苦しかった志摩が、この言葉を言った時、人が変わりまたひとつ踏み出すスイッチを目の当たりにした気がしました。
以上、ドラマ「MIU404」の名台詞集でした。