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対話から生まれるデザインの発想法

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科クリエイティブリーダーシップコース「クリエイティブリーダシップ特論2021」第11回:関 治之さん
2021年9月20日 by コク カイ

「クリエイティブリーダーシップ特論2021」は武蔵野美術大学大学院造形構想研究科クリエイティブリーダーシップコース(通称「ムサビCL学科」)が行われている、クリエイティブとビジネスを活用して実際に活躍されているゲスト講師を招いて、参加者全員で議論を行う形の講義です。受講生たちは毎回の内容をレポート形式でnoteで連載しています。

今回のゲストはグラフィックデザイナーで大阪芸術大学教授の三木 健さんです。

三木さんと言えば、あの国内外で高い評価を得てきた教育メソッド「APPLE」を開発して、りんごで「デザインの学び方」を教える人としてよく知られています。今回の特別講義で、彼は「デザインの発想法」という新しいテーマを通じて、これまでデザインの仕事で培ってきた思考と実践のノウハウを紹介しました。

対話から生まれるデザイン

アメリカスタンフォード大学d.schoolによって提唱されたデザイン思考は、人のニーズをうまく見出し、課題定義から解決策提案までの一連の流れとして、ビジネスを皮切りに多くの領域に活用されています。この言葉自体は知っている人は多いが、ただ「その中で一番難しい部分はどこか?」という問題については、答えはそれぞれだと思います。

私から見ればそれはアイディエーションの部分です。いいアイデアに出会うのはとても大変なことであって、そこにたどり着くまでに我々は多くの道草や寄り道をしてしまいます。

ただ三木さんの観点からすると、それらの道草や寄り道は全て無意味ではなく、むしろそこが大事にするべきところであって、うまく運用すればいつか自分の中でひらめく瞬間が訪れます。それがセレンディピティ(Serendipity)とも呼ばれて、偶然に幸運に出会ったり、予想外のものを発見することを指します。彼がそれらを「良き隣人の法則」と呼んでいて、思いも寄らない情報(道草や寄り道)が繋がり発想がジャンプすることです。

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話すデザイン

これも彼は普段の仕事から心がけていることです。デザイナーの仕事はいつも対話から始まっていて、そして対話を通じて進みます。対話がどれほど重要なことかは言うまでもないが、その中からセレンティピティを見つけ出して、一つのコンセプトに加工することが三木さんの強みです。これを「話すデザイン」と彼は名付けました。

話すようにデザインすることはどういうことかというと、話しの中で重要なところをいくつかピックアップして、そこから自分でストーリー(仮説)を創ることです。余談の中でも実は発想の種が含まれていて、その拾い方でアイデアのクオリティをかなり左右されます。そしてワンパターンではなく、いくつかのストーリー(仮説)を創って、可視化することで、より立体的に話す側の思いを捉えることができます。

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聞くデザイン

そしてもう一つ欠かせないのは「聞くデザイン」です。話すデザインも話の受け止め方を重要視するが、この聞くデザインでさらに強調したいのはいかに感性を生かして聞くことです。我々は外からの情報を単に耳で聞いているのではなく、鼻、目、唇、皮膚などにも何かを感じているはずです。ただ多くの人はそこを意識せずに、言葉だけに集中してしまって、感性を生かすことができなかった。

それを防ぐために、話を聞いている中でも五感を立ち上げながらデザイン情報を受け止めることが重要だと、三木さんが強調しました。三木さんがそれを造語で「借脳(しゃのう)」と呼んでいて、他人からアイデアを借りて発想を促すことを指します。それをうまく活用するために、対話で感じたこと、気づいたことをいかなる形でもいいが、できるだけ可視化して、そこからコンセプト作りするべきだと三木さんが指摘しました。

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