【ベストトラック5】小袋成彬、踊ってばかりの国、GEZANなど
小袋成彬 「Daydreaming in Guam 」
2018年にリリースされた1stアルバム「分離派の夏」でソロデビューを果たした小袋成彬。
収録曲の中でも特に印象深かったのが「Daydreaming in Guam 」。ここまで歌い手の想いが伝わり、人の心を揺さぶる曲があるのだと強く衝撃を受けた。
美しくリアルな情景が浮かぶ言葉や、彼自身の優しく温かい歌声が琴線に触れる。ゆったりとした曲調だが、太陽が降り注ぐ晴れた日に相応しい曲だと思った。
2019年にセカンドアルバム「Piercing」をリリース。その中で印象的なのが5lackを迎えた「Gaia」。聴いていると恍惚としてつい我を忘れそうになる。聴くたびにリリックの意味に気づき、そのたびに本作への愛が深まる。5lackと小袋成彬の相乗効果は計り知れないものだということを実感した。
GEZAN 「DNA」
唯一無二の声とセンス、思想を持つボーカルのマヒトゥー・ザ・ピーポーを中心にギターとベース、ドラムの4人からなるGEZAN。
「DNA」は2018年にリリースされたアルバム「SILENCE WILL SPEAK」に収録された曲だ。この曲を聞いたあとはいつも幸福感に包まれる。「僕らは幸せになってもいいんだよ」というシンプルであり力強くもあるメッセージをはじめ、真実を優しく歌うリリックは多くの人を希望と愛で包む。
2020年にはアルバム「狂(KLUE)」をリリース。1曲目の「狂」は「今、お前はどこでこの声を聴いている?」と問いかけから始まる。1対1で自分自身に問いかけられている気持ちになり、初めて聴いたときはドキッとしてしまった。
GEZAN主催の全感覚祭、行ってみたい…。
踊ってばかりの国 「ghost」
結成から10年を迎えたサイケデリックロックンロールバンド「踊ってばかりの国」。ボーカルを務める下津光史はソロでも活躍している。
数ある作品の中でも、今の自分にフィットしたのは長めのイントロが印象的な「ghost」。2019年にリリースされたアルバム「光の中に」の収録曲だ。
曲が進むにつれて高まる高揚感、サビで全力を出し切るような爽快さが心地よい。心の奥底で眠る思いが解放されたような感覚になれるのだ。MVでギターを持ちながら人ゴミを掛け分けていく姿にも注目してほしい。
Tohji 「mAntle f**k (prod./dir. Tohji)」
「天才」「奇才」などと呼ばれ、圧倒的な存在感を持つtohji。独自の世界感を自由に表現したこの曲は、一度聴けば虜になる。
今回ピックアップした「mAntle f**k (prod./dir. Tohji)」は2018年にリリースしたEP「9.97」に収録された1曲。脳を溶かすような浮遊感あるビートが印象的で、何度も聴いてしまうような中毒性がある。
MVはTohji自身がディレクションを担当。映像からは不安や解放といった対極の感情が混じったような不思議な感覚が得られる。
常に変化し続けているTohjiが、今後どのような作品を生み出していくのが楽しみだ。
舐達麻(prod.GREEN ASSASSIN DOLLAR) 「100MILLIONS (REMIX)」
ジャジーなビートに、詩的でリアルなリリック。舐達麻の曲で初めて聴いたのは「100MILLIONS (REMIX)」だった。
舐達麻は埼玉県熊谷市を拠点に活動する3MCのヒップホップクルーだ。
自らの固定観念で舐達麻の曲を聞いたことがなかった頃、知人から舐達麻を勧められた。それを機に聴き始めると、美しいビートとメッセージ性の強いリリックに心そこ惹かれたのを覚えている。
芯はあるが気だるさと余裕を感じるBADSAIKUSHとGPLANTSの声、DELTA9KIDの美しくピュアなリリックが胸に残る。曲が終わっても煙のようにしばらく余韻が残る曲だ。