何もしないことを選べば責任はないの？

トロッコ問題。

あなたの目の前には二つに分かれた線路がある。
どちらの線路上にも人がいて、このままトロッコが進んでいくと轢かれてしまう。
片方には5人。もう片方には1人。いま、トロッコの軌道は5人がいる方にセットされている。
あなたの手元にはトロッコの軌道を切り替えるレバーがある。線路上の人を逃げさせることができない時、あなたはどうする？

これ、倫理の思考実験的な問題で正解があるわけじゃないと思う。

条件を変えて、5人側に身内がいたら？とか1人がとても地位や権力のある人間だったら？とかバリエーションもある。

今回はシンプルに、5人も1人も赤の他人としよう。

選択肢は
・5人の命を選んでレバーを操作する
だけじゃなくて、
例えば
・レバーを操作しない
ことも選べる。

この場合、5人が犠牲になるわけだけど、自ら手を下したことによってではなく、そのままの状態を維持しただけで人が犠牲になるから、罪悪感が軽減されると考える。

でも、“何もしない”ことを選べば責任はなくなるのだろうか。
少なくともゼロにはならないような気がしている。
だって、レバーを操作できる状況にあったんだから。

自分に技術も知識もなく、環境も整っておらず、何もできない状況なら責任がなくなるのは理解できる。
でも、そうじゃないなら“何もしないことを選んだ”ことになるじゃないか。
少なくとも、選択したことへの責任はあるでしょう？

なんでこんなことを考えたかといえば、仕事をしていて、例えば何か問題が起こった時に自分が関与していないなら責任はない、みたいな態度の人がいたから。

自戒の意味も込めて、何もしないことを選んだ責任はあるぞ、と言いたい。