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角川『俳句』5月号

遅ればせながら、この号に拙句12句を寄稿しました。

原稿締切は3月19日だったのですが、このコロナ禍ですから、遠出もできず、近所を吟行してあれこれ作句していました。これでいいかなあと、拙句をまとめていた3月11日、突然、義父の訃報が。急きょ、葬儀のために諏訪まで出かけました。

義父は諏訪湖のほとりの施設に暮らしていました。そばに居てほしいと願いましたが、自らの意志で都内から諏訪へと移転していました。フランス文学者で都立大教授でした。東大ではバイオリンを抱えた星新一氏をよく見かけたという享年94歳でした。

義父の話で俳句にまつわる興味深いことがありました。義父の後輩の平井照敏氏に、義父が青山短大の職を紹介すると、平井氏はそこで加藤楸邨氏と出会い、詩から俳句へと転向されたということでした。

私はかつて、平井照敏氏の作品を鑑賞したことがあり、ご挨拶に義父の話をすると平井先生は大層驚かれて、お手紙をいただいたことがありました。

喪のかなしみもさることながら、私の心残りは、義父に作句をすすめられなかったことです。諏訪湖のほとりで俳句を始めていたら、義父はさらに充実した余生を楽しめたのでは・・・と思う後悔です。 

葬儀のあとで、諏訪湖で拙句を詠み、結局その拙句を12句にまとめて編集部に送りました。

幾度も訪ねた諏訪湖でしたが、めずらしくその日は、雨の諏訪湖でした。


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