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【3期4話を深掘りする】「最高の笑顔になれる日」とはいつのことなのか?
ファイティングコーーーーーーーーール!
どうも。ナト改め、ファイティングコール・ナトです。いい曲ですよね、ファイティングコール。2期生推しにとっては大切な一曲です。歌詞の1フレーズ1フレーズが具体的な情景を思い起こさせて、2期生の歩んできた道を照らしているようで、心に沁み入ります。
そんなファイティングコールと密接に関わるのが3期4話「No Rain, No Rainbow」です。個人的には、3期で一番刺さった回でもあります。
今回はこの回について、深掘りしていこうと思います。
(※あくまで個人の解釈なので、それを踏まえてよろしくお願いします。)
導入
あらすじ
まずはあらすじを振り返っていきましょう。ザックリ言えば、
冬毬と夏美の確執が明らかになる
夏美の過去が掘り下げられ、確執の原因が明らかになる
2期生に励まされた夏美が冬毬に想いを伝える
といった回でした。鬼塚姉妹にフォーカスが当たった回でしたね。そしてなにより、2期生推しとしてはとても大事な回です。先輩たちを頼らなくても自分たちで壁を乗り越えていける2期生の成長が、非常に嬉しかったです。涙が止まりませんでした。
問題提起
さて、この4話、冬毬ちゃんはかなり深いテーマを提示してくれているように思います。ラブライブ!スーパースター!!という作品は「君も一歩踏み出して夢をかなえよう!」というメッセージを投げかけていますが、冬毬ちゃんは「夢を見ることは無駄なことだ」と真逆の意見を投げかけています。作品テーマへの真っ向勝負とも言えます。
しかし、彼女の言ってることも確かに分かります。夢に傷つく姉者の姿を見て、自分も傷ついて、論理で心を守ってきた冬毬ちゃん。そんな彼女の言う「正論」は論理的で、客観的に見てこっちのほうが正しいようにさえ感じてしまいます。
そんな「正論」に対し、夏美ちゃんは4話の最後のシーンにて「夢を追いかけることは素晴らしいこと、いつか最高の笑顔になれる日が来るから」と、冬毬に語りかけています。冬毬の意見とは逆のものです。
ということは、冬毬ちゃんの「正論」に対して何らかの反論が提示されているはずです。それは一体なんでしょうか?鬼塚冬毬ちゃんは理知的な判断を得意とする、論理の鬼。そんな彼女が納得してくれそうなレベルで「論理」を組み上げて、「夢を追うことは素晴らしいんだ!」って説明してみたいと思いませんか?そうしたらこの作品のメッセージを、より多角的に捉えられそうな気がしませんか?
今回はそういった視点で3期4話を深掘りしていきます。
冬毬の意見
主張の整理
手始めに、冬毬ちゃんの主張を整理しましょう。
4話の前半パート、物語が動き始めた場面では以下のようなセリフがありました。
🪼「私は全力で姉者に思い知ってもらいます。夢を追いかけることが、いかに無駄かということを。」
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「夢を追いかけることは無駄である」がメインの主張のようです。
実際、後半パートで鬼塚姉妹の家を訪問した千砂都部長とのやり取りでも同じようなことを言っています。
🐙「冬毬ちゃんは、夢を追いかけるなんて意味がないって思っているんでしょう?」
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🪼「姉者が夢を追いかけても、無意味です。」
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なるほど。冬毬ちゃんの主張の軸はここにありそうです。
ただ、かのんちゃんとのやり取りでは、かのんちゃんが夢を追いかけることについては「意味がない」とは言っていないようにも見えます。
🎧「そんなこと分からないよ!夢を持っているから、自分が思っていた以上の力を出せる。出来ないことや、大変なことでも乗り越えられる!」
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🪼「それはかのん先輩に夢を叶える才能があるからです。」
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冬毬ちゃんは、かのんちゃんには「夢を追いかけることは無意味」とは言っていません。その理由として「夢を叶える才能」を挙げています。
つまり、冬毬ちゃんの主張はこう言えるでしょう。
主張1
叶わない夢を追いかけることは無駄である。
確かに、翌日の教室のシーンでも夏美ちゃんはこう言っていました。
🥤「みなさんも、冬毬と同じ考えですよね。こんな私が夢を追いかけても無駄だって。」
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「こんな私」というのは「たくさんの夢を諦めて、叶えられなかった私」のことです。となると、やはり冬毬ちゃんの主張の軸はここにあると考えられます。
理由
冬毬ちゃんの主張が分かったところで、こう思う理由について掘り下げてみます。4話の中で述べられていたいくつか理由について、整理して順番に見ていきましょう。
理由1
夢が叶わなかったとき、傷つく。その傷は一生残る。
これは鬼塚姉妹の過去が裏付ける事実でしょう。
4話で描かれた回想の中で、夏美ちゃんは何度も夢を見て、何度も諦めてきました。そしてその度に傷ついて涙を流してきました。
あの時も
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あの時も。
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その傷は本人だけのものではありません。姉者の夢に憧れていた冬毬ちゃんも深く傷ついてしまいました。
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叶わない夢を見ることは、傷つくことなんです。
理由2
叶わなかった夢を追いかけた時間は無駄である。
だって姉者は捨ててたじゃないですか、夢ノートを。つまりはそう思っているのでしょう?
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現実主義者からすれば、叶わなかった夢を追いかけていた時間は何もしていないのと一緒。高校でもまた叶わない夢を追いかけてしまったら、今度は高校生活をロストしてしまうのですよ?
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理由3
「才能」という現実があり、すべての夢が叶うわけではない。
姉者はこれまでたくさんの夢を追いかけ、叶えてこられませんでした。ラブライブ!で優勝するという夢は生半可なものではなく、叶えられるとは限らないでしょう。
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夏美の想い
4話のラストシーン、冬毬に語りかける言葉こそが夏美の「答え」のはずです。何度見返したか分からない牛久シャトーのシーン、夏美は冬毬に向けてこう語りかけています。
🥤「落ち込むことや傷つくときがあったとしても、スクールアイドルに出会えて分かったの。本当に楽しいって思える笑顔、マニーよりももっともっと素敵な、最高の笑顔になれる日が来ると信じているの。」
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このセリフと上との対応関係を整理しましょう。まず、主張1に対して夏美はこう主張しています。
主張2
夢を追いかけることは意味がある。「最高の笑顔」になれる日が来るから。
続けて、上の「理由1」に対応して、夏美はこう主張しています。
主張3
夢を追う中で傷つくこともあるが、「最高の笑顔になれる日」を信じているから受け入れることができる。
さて、ここで出てきた新ワードこそが今日の本題です。「最高の笑顔」「最高の笑顔になれる日」とは何なんでしょうか?この正体がわかれば、冬毬ちゃんもアグリーしてくれそうです。
これを紐解くには夏美に考えに変化が起きたシーン、教室での2年生同士のやり取りが肝となるでしょう。このシーンのセリフを振り返ってみます。
🦊「夢を叶えようと思ったら、傷ついたり落ち込んだりするから、笑顔になれる日が来るんすよね。」
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🧪「No Rain, No Rainbow.」
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この「笑顔になれる日」と「Rainbow」こそが「最高の笑顔になれる日」の正体でしょうか。「最高の笑顔になれる日」とは、心に雨が降った後の晴れ晴れした気持ちのことを指しているようです。
そう言われてもイマイチピンと来ません。もう少し掘り下げていきましょう。
スクールアイドル活動で出会った「最高の笑顔」
「最高の笑顔」とは、具体的になんのことでしょうか?わかりやすいのは「夢が叶った日」のことでしょうか。
夏美は「スクールアイドルに出会って分かった」と言ってるので、彼女のスクールアイドルとしての活動で考えてみましょう。思い当たるものは2つです。
1つは、1年生の学園祭にて『ビタミンSUMMER』のセンターを務め上げたあとの笑顔。
🥤「見つけたかも、私の夢」
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もう1つは、『未来の音が聞こえる』でラブライブ!優勝という夢を掴み取ったあとの笑顔。
🥤「初めての一等賞。」
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たしかに、その笑顔は最高に輝いてます。どちらも輝きを掴み取った日の笑顔です。
つまりこういうことでしょうか。
仮説1
「最高の笑顔になれる日」とは、夢が叶った日のことである。
果たして本当にそうでしょうか?
教室のシーンにて、夏美はこうも言っています。
🥤「実際、冬毬の言うとおりですの。ここにいるメンバーで頑張ったって、届かなかった時はきっと…」
🧪「傷ついて落ち込む。」
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夏美はこれまでもたくさんの夢を見て、諦めてきました。夢を叶えるということは並大抵のことではないのです。「夢が叶わないかもしれない」という可能性を誰よりも現実のこととして考えている彼女が、果たして「夢は叶うから素敵なんだ」なんて言うでしょうか?裏を返せば、叶わなかった夢は素敵ではないのでしょうか?夏美がこれまで諦めてきた数々の夢は、無意味なのでしょうか?
むしろ、こう考えるのが自然でしょう。
仮説2
「夢を追いかける」のは、そのこと自体が素敵だからである。たとえ叶わなかったとしても。
原点回帰
周囲のシーンを見返しても「最高の笑顔になれる日」とはいつのことなのかイマイチわかりませんでした。
では原点に立ち返って、「主張2」を再度見てみましょう。
主張2(再掲)
夢を追いかけることは意味がある。「最高の笑顔」になれる日が来るから。
曰く、「最高の笑顔」になると、「夢を追いかけることに意味があった」と思えるそうです。ということは、同語反復的ではありますが、こう言えるのではないでしょうか?
仮説3
「最高の笑顔になれる日」とは、「夢を追いかけた意味があったと思える日」である。
夢が叶った場合と叶わなかった場合で場合分けをしましょう。
前者の場合、「夢を追いかけた意味があったと思える日」とは紛れもなく「夢が叶った日」のことを指しています。では後者についてはどうでしょうか?
「夢ノート」が教えてくれたこと
夏美が叶えられなかった数々の夢の象徴である夢ノート。その夢ノートついて、きな子とメイはこのように語りかけていました。
🦊「きな子、このノートを見たとき感動したっす!夏美ちゃん、こんなにたくさん挑戦してきたんだって!」
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🐾「私は大して失敗してないのにクヨクヨしたこともあって、カッコ悪いな自分、って思った…だから夏美はすげぇよ!」
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夏美にとっては失敗の塊で、ビリビリに破いてゴミ箱に捨てたくなるような夢ノート。そんな叶わなかった夢だって、他の誰かを感動させるし、すげぇって思わせる力を持っているのなのです。そしてなにより、「夢を追うなんて無意味だ」と主張してた現実主義者がテープで繋ぎ合わせて大事に取っておくくらい、大事なものなのです。
そのことを知った夏美はきっと思ったことでしょう。
叶わなかった夢を追いかけたあの日々は無駄じゃなかったんだって。
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1年前、優勝候補といわれたLiella!が代々木スクールアイドルフェスティバルで2位に終わってしまったとき。「Liella!はこの学校のスターなんだよ!」と言ってくれた結ヶ丘のみんなが気付かせてくれたように。
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誰もが、誰かのスーパースター。
あなたが自分自身で「失敗」って思ってようが、そんなのは関係ない。私は「感動」したし、私は「すげぇ」って思った。夢を追いかけてきたあなたは、私にとっての「スーパースター」なんです。私の憧れにあんまりひどいこと言わないでもらえますか?
あのときは「うるさい」って言ってシャットアウトしてしまったけど。
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自分の挑戦を「すごい」って思ってくれる人がいるから、支えてくれる仲間がいるから。
だから夢を追いかけるんじゃないんですか?たとえ叶わなかったとしても、無意味ではなかったと思えるはずだから。そう思える未来を信じられるから。
まとめ
夢を追いかけることは無駄なことではないか?傷つくことばかりし、叶うとも限らない。
いや、無駄ではない。傷ついたって、叶わなくたって、「夢を追いかけて良かった」と思える日がいつかやって来る。そんな日には、きっと最高の笑顔になれる。そう信じられるから。