
NHKは「女性に対するAED」の記事を定期的に大量シェアしている
「女性に対するAED」に関する話題で、2022年6月中旬、ネット上で大きな騒ぎが生じています。実は、NHKは約一か月毎にSNSアカウントにおいて過去記事を定期的にシェアしているので、ネット上で何度も話題が生じています。
今後も定期的に話題になると予測されるので、ここでまとめておきます。
NHKの「女性に対するAED」記事
心停止となった人の心臓の動きを正常に戻す医療機器、AED。
— NHKニュース (@nhk_news) June 11, 2022
救急車が到着する前に、心臓マッサージ(=胸骨圧迫)とともに使えば、何もしない場合よりも救命率が4倍上がるとされています。
しかし「倒れた人が女性だった」ことを理由に使われない、という事態が起きています。https://t.co/dKFh7HdkBg
2022年6月中旬にネット上が騒がしくなったのはこの記事のシェアが原因。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/miraiswitch/article/article23/
しかし、この特集記事は2019年5月31日UPされていることから分かるように、過去のものです。先に出された記事は以下ですが、特集として書かれたものではないニュース記事であるため現在は削除されています。
AED 女性への使用に抵抗感? 京大調査2019年5月6日 7時31分
2020年12月にシェアが始まり、2021年10月からは毎月シェア、中には1か月に3回シェアされることもあります。

【女性だからとためらわないで】
— NHKニュース (@nhk_news) June 25, 2019
救命に欠かせないAED。それが「倒れた人が女性だった」ことを理由に使われないという事態が起きています。AEDが使われず、後遺症に苦しんでいる女性を取材しました。https://t.co/1rbkgL2bCq
なお、https://www.nhk.or.jp/d-navi/2020/article_23.htmlのURLで同内容のものがUPされていましたが、「未来スイッチ」の方のURLに統一したのか、こちらは消されています。このURLのNHKによるシェアは一回でしたし、Twitter上でも大きな非難は起こっていません。
NHKの他の「女性へのAED」記事
この記事のほかに「女性へのAED」記事がありますが、こちらは比較的シェアされているのが少ないです。
「女性が倒れた時にAEDの使用をためらわないで」
— NHKニュース (@nhk_news) November 11, 2021
未来スイッチで伝えたところたくさんのご意見をいただきました。
ご意見を紹介するとともに、女性にAEDが使われない問題に
取り組んだ新たな動きをお伝えします。https://t.co/AfygqrlV4h

https://www3.nhk.or.jp/news/special/miraiswitch/article/article55/
2020年12月に6回シェアされた後、2021年2月にも6回、その後は月1~2回ペースでシェアされ、2021年11月を最後にシェアされていません。
「ネット上の声」として女性へのAED使用をリスクと感じる男性と思われる者の意見を取り上げたり、「女性に配慮」という文言があるものの、SNSでは大きな批判対象にはなっていません。
先に挙げた記事との大きな違いは、先に挙げた記事の方は「女性へのAED使用が少ない」とする論文が取り上げられ、その原因として「倒れた人が女性の場合、素肌を出してAEDを使うことに一定の抵抗感があるのではないか」と研究チームが分析していること、記事中に「セクハラはありえない」と日本AED財団の顧問の武蔵野大学法学部特任教授の樋口範雄が解説していることが挙げられます。
注意すべきは、論文は「男性がリスクを感じるから」とは断定してませんし(予測の一つとして性的暴行と誤解されるリスクは書いている)、この記事自体も「セクハラリスク」を論文の解説としては書いていないというコトです。
1:若い(妙齢の)女性の衣服を脱がすことへの抵抗感
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) June 25, 2022
1-1:その年代の女性にとって好ましくないと考える
1-2:自分がその行為をすることに抵抗がある
1-2-1:生理的嫌悪感
1-2-2:本人・他者からの非難を予想する
1-2-2-1:特に男性が行うことで起こると予想される種々の非難
これくらい階層が違う
(1/n
2:女性に対してAED適用かわからない
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) June 25, 2022
2-1:アクセサリ装着だとAEDダメだと思い込んでる
3:衣服の破損(とそれによる賠償)をおそれてる
3-2:特に男性が女性の衣服の構造がわからず慎重になる
これくらいの原因を思い浮かぶ
上掲1-2-2-1のセクハラ・訴訟リスクに一足飛びできるものではない
(2/n
他のNHKのAED特集記事
「娘はあのときAEDが必要だったのに」
— NHKニュース (@nhk_news) June 13, 2022
学校や保育園などでの突然死。
亡くなった500人のデータ分析では7割でAEDを使ったのかどうか確認することが出来ませんでした。
どういうことなのか、取材しました。 https://t.co/ysZXCrw4mk
中学校の部活動の練習中、顧問の先生が突然、心停止で倒れました。
— NHKニュース (@nhk_news) March 10, 2022
命を救ったのは、その場にいた中学生でした。
新型コロナの影響でAEDの使用率が低下していると指摘されるなか、ためらわずにAEDを使うために私たちにできることを考えました。https://t.co/AdRClFECiF
AEDへのいろいろな不安をみんなで無くして、有効に活用しようというアプリが開発されました。
— NHKニュース (@nhk_news) December 23, 2020
みんなで作るAEDマップです。https://t.co/aHoGAjO3C1
他のTwitterアカウントによって何度もシェアされている「AED特集記事」はこれらが見つかります。これら以外にもあるかもしれません。
なお、検索すると他にもニュース記事が見つかりますが、ここでは取り上げません。ニュース記事はすぐに削除されるという傾向があります。
属性の限定なくAEDの使用を求める・子供へのAED使用を躊躇わないよう伝えるNHK
【救える命を救うために】心停止から命を救うためのAEDの普及率は世界一。でも実際に使われたのは5%足らず。命を救うためにできるのはAEDのある場所を知り、何かあれば持ってくること。電源を入れれば、あとはAEDが指示をしてくれます。https://t.co/T62VnvSkB2
— NHKニュース (@nhk_news) July 28, 2018
AED 幼い子どもにも積極的に使って! #nhk_news https://t.co/oKUUq3pS0Z
— NHKニュース (@nhk_news) May 9, 2019
乳幼児にもAED 保育士が使い方学ぶ 大阪 #nhk_news https://t.co/jLZ1uMbKpV
— NHKニュース (@nhk_news) May 12, 2019
AED 幼い子どもにも積極的に使って!2019年5月9日 16時50分
乳幼児にもAED 保育士が使い方学ぶ 大阪2019年5月12日 19時46分
シリーズ 2020 知ってほしい 変えてほしい救える命、私が救う7月25日 20時30分
NHKは他にも、「日本は世界一のAED普及率」と言われることもあるにもかかわらず、全年代・全属性者へのAED使用や、子供・乳幼児へのAED使用が(必要な人なのに)少ない、ということを伝え、使用を訴えていました。
ただ、これらは「女性へのAEDが少ない」よりもあまり発信されておらず、ネット上の反応も薄いです。

「女性へのAEDが少ない」ということ以前に、「男性に対してもAEDの使用が少ない」という現実があるのですから、そちらも併せて啓発するべきでしょう。
もっとも、「女性に対するAED」という、具体的な状況下で事前知識を入れて頭を整理することは、救命処置を早めることにもなります。「配慮」の二文字で拒否反応を起こしたり、一般人を下に見て能力を過小評価するのではなく、そうした正の側面を伝えていけば良いと思います。

なお、海外のAEDに関するサイトでは、図表に女性の絵を用いてるなどして、言外に「女性への使用も衣服を脱がしたうえで当たり前にして行われるのだ」ということを認識させるようになっていることに気づきます。
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