武蔵野市の住民投票条例案、松下市長・行政・議会は住民への広報を尽くしていたのか?
武蔵野市の住民投票条例案が否決され、その問題点として住民への周知の不十分さ、政治的日程の粗雑さが指摘されています。
住民への周知が不徹底だったという点については上掲記事等にて
・パブリックコメント等を実施しているが意見を寄せる数が少ない
・パブコメで争点化した外国人への投票権付与について松下市長が10月の市長選で論じていない
こうした指摘をしていますが、ここでは追加で判明した事情から、やはり住民への周知が不徹底であり、「住民自治の促進」というスローガンは嘘だったんじゃないかという思いを強くしました。
市報むさしのでの住民投票条例案の記述
市内全世帯を対象に戸別配布を行っている市報むさしのという市政だより。
HPからも内容が確認できます。
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住民投票制度について最初に市報むさしので触れたのが2月15日号。
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以降、住民投票条例案があることやアンケートの実施、パブリックコメントの存在については何度か記述がありますが、扱いは小さい。
以下の8月パブコメ時のものが最も詳細だが…
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「外国籍の方を含む」という記述が右側にちょこっとあるだけ。
何度も言うが、外国人への投票権付与とその資格要件が日本人と同じことについては、パブリックコメントにおいても争点とされていた内容です。
この扱いで十分でしょうか?
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市報むさしの 令和3年12月15日号 2184号
その後はこの通りで、住民投票条例案の争点について住民が知り得るとすれば8月号の当該記述を見た者に限定される。
市報むさしのは、新型コロナウイルスに関する特別号も発行しているのだが、住民投票条例案についても同様の熱量が必要だったのではないか?
ありがとうございます。
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) December 23, 2021
例えば私の住む宮城県では水道コンセッションに移行する際、こよように各家庭に県政だよりが配布されました。
中身は現状では水道費高騰の流れと対策手段としてのコンセッション方式の説明、パブリックコメント実施の周知などです。
これくらいやっていれば納得なのですが。 pic.twitter.com/OsXERevqjk
なお、宮城県では水道コンセッションに移行する際にパブコメ実施前にこうした冊子が戸別配布されています。
表紙からして水道事業について重点を置いているのが分かります。
これに比べて、武蔵野市は最も詳細に記述していた8月15日号でも、表紙は新型コロナワクチンの接種に関する内容であり、住民投票条例案について興味を惹かせるデザインにはなっていません。
これが「住民自治の促進」を謳った住民投票条例案の扱いとして適切なんでしょうか?
市議会だより
武蔵野市の市議会だよりをみても、住民投票条例案について触れている部分があるというだけで、外国人への投票権付与については一切書かれていませんでした。
議会は市長の権限下ではないのですが、賛成議員も多数居たのならここで明言しておくべきでしょう。
動画もUPしていたが…
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武蔵野市はYoutube動画もUPしていましたが(動画の再生回数は現時点で1000にも満たない)、上掲図のシーンで市民参加や情報共有を謳っておきながら、市報むさしのがあのような惨状です。
松下市長はTwitterアカウントも持ち、youtube動画のシェアを何度もしているが、なんと、この動画のシェアはまったく無し。
動画の最後に詳しい内容について市民会館等に逐条解説等を置いてある旨が言及されていますが、条例の争点については動画ではまったく触れていません。
これらの事情から、本気で「住民自治の促進」を考えていたのか?という点を疑問に思わざるを得ず、別の後ろ暗い目的があったのでは?と感じても無理は無いでしょう。
法的拘束力の無い住民投票の意義とは
そもそも今回のような住民投票というのは市長や議会が機能しない場合の代替手段という位置づけであり、そこに至る前までに自浄作用を働かせたり住民が陳情をしたりして是正するのが本来の筋。
しかし、それではやはり漏れてしまう意見があり、自治の精度を高めたいよね、というのが今回のような住民投票制度でしょう。そうした住民意識への働きかけの無いまま住民投票制度だけ創設したところでほとんど意味が無いどころか制度維持のためのコストがかかるだけだと思います。
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