ダメな奴のダメな言説にツッコミを入れるエンタメの末路:日本ファクトチェックセンターを例に
これの続き。
日本ファクトチェックセンター「『石破総辞職へ』は誤り」
日本ファクトチェックセンター(JFC)が、「ツイッター速報が『石破総辞職へ』と拡散したが、これは誤り」という旨の「ファクトチェック記事」を出しました。
しかし、これは「総辞職」の言葉を「退陣」の意味に捉えた上で、単なる未来予測すら許さないという、言葉狩りに過ぎないものでした。
「総辞職」についての憲法上の手続スケジュール等については冒頭の記事で整理してあるので、対象となる投稿などはそちらを見てください。
ここでは追加的にJFC記事の問題点、そして、そこに潜む本質的禍毒を指摘します。
JFC記事はツイ速の記事を「退陣」の意味に勝手に言い換えている
文言と異なる意味を採用するならば、ここでの「総辞職」=「単なる退陣」の意味として扱われている、という事を認定しなければなりません。
例えば、総辞職するのは選挙の帰趨にかかわらず憲法上の手続として既定路線であるにもかかわらず敢えて「速報」と銘打っている事や、記事の大半を占める引用記事は「単なる過半数未達の結果による退陣」の予測であることから、ここでの「総辞職」は『負けた事による退陣』の意味だ、という認定をしてるならば、「退陣」と解した上でその言説の検討をするのは、理解できます。
しかし、そのような検討もなく勝手に退陣の意味であると即解するのは、打倒しやすい弱い論を創り出して叩くストローマン論法そのものです。
ストローマン論法:退陣の意味だとしても推測を許さないことに
しかも、「退陣」の意味だとしても、ツイ速の元記事では、25日付のYahoo記事が引用され、そこでは「衆院選で負けたら石破総理が退陣するのでは」という予測として語られています。
普通というか、これまでの政治の歴史を鑑みても、選挙で「負け」た総理が「退陣」するというのは、ありふれた予測であって、それは実際に首班指名が行われてみない事には分かりません。
「退陣」には、自発的に辞任の意を表明する、の意味が強いですが、支持が得られなくて国会での首班指名の競争に負けて強制的に引き摺り下ろされる、の意味でも使われたとしても違和感はないでしょう。
なので、石破氏本人が現時点で退陣を否定していても、なんらのファクトになってません。JFCは、石破氏が「28日午後、記者会見で「国民の御批判にきちんと厳粛に適切におこたえをしながら、現下の厳しい課題に取り組んでいく。国民生活と日本を守ることで職責を果たしていきたい」と述べ、政権継続に意欲を示した。」としていることからツイ速の投稿を「根拠不明」と断じていますが、そのファクトは将来予測に対して何らの意味を持ちません。
つまりJFCは、【将来予測すら許さない】という態度なわけです。
ダメな輩のダメな言説をサルベージしてツッコミをするエンタメ空間
JFCはずっとツイ速をターゲットに「ファクトチェック」記事を乱立させてきました。そのほとんどが取るに足らない内容で、他に取り上げるべき言説はあるだろ、と突っ込みたくなるような代物です。
要するに「雑魚狩り」してるだけです。ダメな輩のダメな言説は打ち倒しやすい、低コストでチェックできるので、そういう論だけ相手にしてるんですよ。
これはネット上のダメな文化と変わらないです。
ここでも指摘しましたが、ネット上ではSNS上の変な発言に批判を加えるエンタメが行われています。中にはフォロワー数1桁2桁のまったく拡散されていないモノをわざわざ発掘・サルベージして行われています。
それによって、より有益なアカウント・情報・知見が埋もれている現状があります。そういう行動の仕方を変えるべきなんですよ、皆が。
もちろん、それをゼロにしろとは言いませんが、そういう言説が著しく多い、それによってインプレッションが稼げてしまっている現実から、そういう情報を中心に習い性のように追いかけている言論空間があります。
何かをバカにできる言説が好きで、一日一善ならぬ、一日いちアングリーが習慣になっている。怒りの経済圏が出来上がっているレイジエコノミー。
そこに現実を先に進める意思はどこにもない。
JFCの今回のファクトチェック記事は、その系統と軌を一にする態度の末路です。
以上