国葬の予備費と警備費用に関する報道の混乱と認識誘導
国葬の予備費と警備費用に関して報道が混乱してたので記録します。
また、「37億」という数字も独り歩きしてるので出どころを明示します。
「37億」の出所は女性自身記事での「社会部記者の想像
安倍元首相の国葬に2億円も警備費は含まれず…“吉田茂”超えで高まる血税37億円投入の公算 記事投稿日:2022/08/25 11:00 最終更新日:2022/08/25 11:00 『女性自身』編集部
①複数報道から予備費2億円とは別に警備費
②「社会部記者」が昭和天皇の大喪の礼の際の警備費用24億円や19年10月の今上天皇の即位礼正殿の儀では28億5000万円だったことに加え、これまで以上に警備が強化されることが予想されるから35億円ほどに増えてもおかしくない、と予想
③この合算が37億円
SNSでは「37億円」がまるで政府側から発せられた情報であるかのように記述されていたり、既定路線であるかのように書かれているものがありますが、出どころは8月25日の女性自身の記事です。
「複数報道から予備費とは別に」とはこの時点での話ですが、実際にも政府は約2億5000万円の予備費の支出を閣議決定し、警備費用は既定予算=当初予算で対応するということが8月26日の官房長官記者会見で示されました。
NHKは予備費として警備費を報道:他の報道は…
8月25日時点のNHK報道では、2億5000万円という支出予定はそのままに、「警備の強化」を予備費の内訳として報道していました。
「国葬のための予備費およそ2億5,000万円」のあとに「国葬の経費としては」「セキュリティー強化の費用に加え、一般献花の費用を含める」とあることから予備費に含めるニュアンスが読み取れます(国葬のために一般献花の費用が発生するのは当然なので)。
振り返ってみれば、「強化」前のもともとの警備費用とは別だという意味なのでしょう。予備費とは別に通常予算から警備費用がかかるということは先例などから指摘する者も居ましたが、ならばなぜ明示しなかったのか不思議です。
他の報道はというと、以下は警備費については触れていません。
安倍元首相の国葬費用、2億5000万円で調整 26日にも閣議決定
毎日新聞 2022/8/25 09:56(最終更新 8/25 09:56)
安倍元首相の国葬費用2億5千万円見込み…政府調整、参列者6400人程度 2022/08/25 05:00 読売新聞オンライン
安倍氏国葬費用は2億5千万円 弔意表明求める閣議見送りも 2022/8/25 23:58 産経新聞
安倍氏国葬、2億5000万円で調整 所要1時間、6400人参列―政府
2022年08月25日19時27分 時事通信
安倍元総理の国葬 最大6400人規模を想定 政府 [2022/08/25 12:10] テレ朝news
警備費は予備費とは別であるということをこの段階で明記していたのはたとえば以下の媒体です。
女性自身の25日11時以前に報じたもので予備費2億5000万円閣議決定予定、だがそれに警備費などは含まれないとしているのは共同通信の記事くらいです。
「警備費の大半は含まれない」「参列者の数にあわせ警備費も膨らむことが予想され」とあり、この時点で最も正確な予想となっています。
ほか、予備費との関係を明示しないまま「2億円以外に警備費がかかると予想」する媒体がありました。
女性自身の「複数報道」って、いったい何の話だったんでしょうか?
共同通信の記事が他紙で配信されるものを指していたんでしょうか?
30日には「35億円」を他社も報じる:警視庁OB勝丸氏
なお、30日になると「35億円」(つまり2億と合わせて37億になる)を他社も報じるようになります。
※追記
マスメディアが作り出そうとしてるナラティブは「予備費とは別に警備費用がこんなにかかるのだ⇒こんなに税金が使われてる!」というものです。
しかし、人の命を守るための警備費用についてその多寡を論じるのは、いったい誰の視点なんでしょうか?
財政民主主義を論じるなら前提として内閣が国葬実施する法的根拠が無いという立場を取ったうえで予備費として内閣が支出する事はできない、とする主張になりますが、それについては破綻している事は別稿で示してる通りです。予備費とは別の予算枠で支出されることが何か別の問題を発生させるわけではありません。
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